12日午後3時前兵庫県佐用町のにある養鶏場で、作業していた50歳台の男性従業員がフォークリフトの下敷きになり現場で死亡が確認されました。
報道によれば、事故は12日午後2時50分ごろ養鶏場で作業していた作業員が大きな音を聞き確認したところ50代の男性作業員がフォークリフトの下敷きになり倒れていることを確認しました。
事故を起こした男性作業員は、ヒヨコの寝床用おがくずを移動する作業を行っており、高さ4メートルの のり面に作業員が投げ出され、その直後フォークリフトが転倒し下敷きになったというものです。
警察は重機の転倒原因を調べています。
さて、重機による死亡事故は毎年発生しており本年も被害が発生しています。
多くは、重機からの転落による重機の下敷きと言う無事では済まされないケースも散見されます。
今回の事故原因はわかりませんが、のり面に作業員が投げ出されたというキーワードから推察されるのは、のり面を高く積み上げる作業をしていたのかもしれません。
一般的におがくずを纏めたり、散らかす場合の多くはフォークリフトよりショベルローダーの方が適しており作業性が増します。
このため、スキッドステアローダーのように、豊富なアタッチメントがある重機であれば、ある時はフォークのツメを取り付ける、ある時は鶏糞等をすくうため、バケットを取り付けたりと自在で、小型で畜産業では良く見るものではないかと思います。
本体価格も安く、重量物を持ち上げたり移動したりと畜産業では必須の重機の1つかもしれません。
スキッドステアローダーは、機動戦士物のようにモビルスーツに乗る操縦者のように正面から乗り操縦席に着席します。
一般的なローダーは横から乗車するタイプで、前後左右の視界を妨げるような構造になっていません。
この手の重機と違い視界に難点がある性質があります。
特にバケット等を大きく持ち上げた状態で、移動したり、走行するとバランスを崩し横転することもあります。
また無理な斜面の上り下りでは、本体の小型化による弊害としてバランスを崩すというデメリットもあります。
これは、本体が小型化しているため持ち上げる等によりバランスを崩し横転したりと思わぬ事故を発生させることもあります。
また後退することを想定していない重機であるという変わった特徴を持ちます。
ユンボと同じ発想になりますが、ユンボの後退は一般的に見ることはありません。その場で転回をして進んだり、後退したりしますので、このような操作はしません。
その場所で転回し移動できるという操作性があるからです。
その理由は、周囲の安全確認がローダーと違い優れていないこともあり、無理に下がることで、バランスを崩してしまうというリスクを避ける目的もあります。
ショベルローダーのような操作性とは異なり、さながらユンボのような左右レバーで走行、移動、持ち上げと特徴ある操作を必要とします。
このためこのような重機では狭い場所で作業できる操作性、旋回、小回りと鶏舎内作業や周辺作業に大きな力を発揮します。
そして、比較的安価な本体価格、アタッチメントの豊富さから複数の専用重機を必要としないコスト性もあり畜産業では人気の車種です。
しかし、ショベルローダーでもバケットを持ち上げた状態で走行してハンドルを切るとバランスを崩しますし、車両を斜面横から走行してもバランスを崩します。
ですが、ショベルローダーは、フォークリフト同様、正面の重量物に対しては持ち上げても車両本体が重いことで安定した持ち上げ、移動作業ができるという安心感があります。
今回の事故では何をして転倒したのかという点を調べていますが、いずれにしてもショベルローダーの安全教育を受けていれば重機の特性、支点と力点ではありませんが、転倒限界点を知る事ができます。
でも有料で、操作性の教習という、簡単な操作性であえてお金を払い教習するという点を無駄と感じる農場もまた多いと思います。
JGAPのように操作する者には安全講習、免許と言った資格を取得させることを必須化したような認証もあります。
また本来は安全講習等を受けさせる義務が農場にはあります。
でも交通取り締まりのように、農場に視察があり取り締まりを受けるということはありません。
多くは事故なく毎日の作業に従事されていると思います。
でも事故を起こした時、この無講習体質や資格取得がないという無知が農場に災いとしてふりかかります。
今回はわかりませんが、このような畜産農場での事故の多くは、講習すら受けさせず、操作が簡単で伝承させれば運転・移動・片付けといった業務に従事できることで、この大事な点を疎かにして、ある日事故に至り結果従事者は大けがや死亡に至り、農場や責任者、経営者は労働安全衛生法違反により書類送検され、最終的に罰金刑に科せられるという流れになります。
重機の特性を知り、リスクを想定するという習慣を持たない農場でこのような事故が発生し話題になります。
もっと早く知っていれば、違う未来があったと事故を起こした農場は後になって後悔します。
周辺でも変死者が出た農場としばらく話題になり、農場に対するイメージは思いのほか深刻なダメージを受けています。
でも面と向かって、お前の農場は悪質でどうしようもない、それぐらいわからないのかとあえて言う人はいません。
それより、噂してそれが狭い集落、町内に囁かれ続けるという地味に長いイメージダウンが付きまとうことが多いと感じます。
屋号で呼ぶの○○の鳥屋、死亡事故出したってよ、亡くなったのは地域名○○の△△さんだってよ、可哀そうに・・・こうなります。
事あるごとに研修でお話ていますが「農場の常識は世間の非常識」という言葉をもう一度復唱してみてください。
きっと、至らない点、時代はこのような事故でも寛容に流してくれるような時代ではないということに気づくでしょう。
以下によく観察される事故事例を書きます。
皆さん農場ではどのような想定がありますか?
危害要因分析と言う視点で机上演習してみてください。
危害要因分析と言う視点で机上演習してみてください。
・鶏舎見回り時に、ホッパーのチェーンが緩い事に気づいたためテンションを張る作業中に、タイマーによりホッパーが動き出し、チェーンに指を挟まれた。 自動運転の設定になっていて、タイマーで停止していたが、電源を切らないまま作業し、タイマーの時間がきて動き出した。
事故は、幸い切断まで行くような事例に至らず全治5日程度の事故であった。
・鶏卵エレベータの清掃を本来電源を落として行うところ、落とさずに腕を入れたため、集卵場で動作スイッチが押されて、チェーンに巻き込まれ左腕を負傷した。
・ナイアガラと呼ばれる部分のベアリングを、ブレーカーを落として交換に入った際、ベアリングの取り付けが終わり、正常に動くか確認のため電源を入れモーターを動かす際に、修理したベアリングの部分とは違う足元にあるシャフトに右手を巻き込まれる。
回転は遅いが、力が強く右腕の裾から絡まり、右腕がシャフトに巻き込まれる形で肋骨までシャフトに引っ張られて骨折した。従業員は重体となり重大な事故と認定された。
皆さんも事故の事例から、ご自身の農場で防ぐ手立てを見つけて、事故ないように想定し指導してください。
回転は遅いが、力が強く右腕の裾から絡まり、右腕がシャフトに巻き込まれる形で肋骨までシャフトに引っ張られて骨折した。従業員は重体となり重大な事故と認定された。
皆さんも事故の事例から、ご自身の農場で防ぐ手立てを見つけて、事故ないように想定し指導してください。
コメント