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認証を支援しているのぐ地久三事務所 認証部署「のぐ畜産事務所」が皆様の認証への理解やメリット・そうでないものあらゆる視点でお話ししています。これから認証を活用したと考えている方や既に取り組みをしていて感じる疑問をこのブログから発信しています。

タグ:農場HACCP

皆さんの農場で生産される畜産物。
安全な畜産物ですかと問われると、間違いなく安全な畜産物であると答えることでしょう。

なぜですかと問えば、事故報告を一度も受けていないし畜産物の事故報道もない。
だから、安全と言えるのです。
そう答えるのでしょうしそれが実情です。

では実際製品回収事例を見て見ましょう。

畜産物の場合
肉類では見ることはありません。
しかし、薬剤残存による県収去検査による回収は令和1年8月イソプロチオラン(農薬又は医薬品)による牛肉の製品回収がさいたま市であります。

多くは、加工品や味付け肉に関するもので、アレルゲンの不適切表示(欠落や誤表示)が見られます。
その他として、異物混入(20年3月豚スペアリブに硬質異物)や、品質不良(20年2月ウインナーの製品パック内に白濁がありネバツキが確認)があります。

また、加熱不良により健康被害の恐れがある焼き鳥(20年2月)もあります。
いずれも、原料が主因ではなく加工の段階又は販売先での問題がほとんどです。

また、牛乳に関しては品質不良が年1,2回報告されます。
19年10月1リットル牛乳に衛生管理不備による異常(風味異常)があり、
20年5月には1リットル牛乳の品質不良を理由にした回収が行われています。(本件は詳細情報がまだ発表されていません)

鶏卵は、残留農薬の検出事例が数年に1回報告されます。(過去は千葉県、埼玉県において発生)
また19年8月千葉県において品質劣化(腐敗卵)パック卵の回収が確認されており、鶏卵への信頼が揺らぐ事案が見られます。

その他、表示義務違反(指定重量に満たないパック卵の販売行為19年9月千葉県)があります。
本件は消費者より重さに満たない鶏卵が多くパック詰めしており問題とクレームがなされております。

(わざわざ卵1個を計量するとは、と思いましょうが消費者には様々な方がいます。表示物が重ね貼り付けしていれば、はがして不手際を確認したりと、製造者側の落ち度を興味本位で探す時代でもあります。だからこそ、正直であり続けること、一手間かけて努力を製品に入れる、あるいはわずかな手間を惜しまず製品にする等製造者側が意識をしっかり持つことが大事なのです。)

加工品では、20年4月群馬県で半熟味付け卵の加熱加工の失念(殺菌不良)があり、風味がおかしいという消費者からの苦情が発生し回収しています。

さて、皆さんの畜種から農場に起因するのか、その先の加工者が起因するのかお分かりいただけると思います。

まず肉類ですが、生の状態で出荷される畜産物は多くはそのまま喫食することはありません。
つまり、家畜がそのまま食卓に登らず切り身になるまでに危害が排除されるため原料が主因で事故が発生することはない可能性が高いといえます。

しかし、枝肉の段階で異物、病気による変異等食用に不適格な部位は一部廃棄されます。
参考として平成22年埼玉県と畜場での豚一部廃棄は33.4%となります。動物愛護に関係する情報ではもっと高いのですが裏付けデータが確認できませんでしたので割愛します。

理由として、多くの伝染性疾病の定着、動物医療医薬品の残留があるとされます。

これらは、病気の予防のための衛生管理の向上が最も重要です。
衛生的に管理できれば病気が近寄らず結果医薬品の使用に依存しない体質が農場に生まれ、費用の削減や畜産物の生産量の上昇と品質の向上が期待できます。

これらは農場HACCPが最も効果的です。

牛乳は生乳の保管過程での品質劣化もあり、必ずしも農場に起因しないとは断言できない状況です。
肉類は、と殺されるまでは品質が劣化しにくいと言えます。つまり出荷までの保管に品質が左右されにくいと言えます。

しかし、生乳は病原微生物の残存もありえますので速やかに殺菌を行い、直ちに冷却保持します。
このため農場では細菌の混入や増殖を防ぐために搾乳時の牛体汚染防止策、バルク等洗浄殺菌、乳房炎の発見と処置、バルク乳温の適正管理をされると思います。

農場HACCPではこのような重点管理点をCCPとして特別に管理を行い事故を未然に防ぎます。

このことで、生産農場での不適格を出荷しないシステムを構築しお客様(生乳加工者や消費者)に安心をお届けできます。

鶏卵は農場での腐敗卵出荷の可能性もあり中身が見えないないだけ万一の事故は甚大になります。
特に消費者が安価で食する卵は品質が第一の絶対条件ですが、先ほどの通り鶏卵の消費者クレームは少ないとは言えません。

その苦情も、品質クレームという最悪の事例から見えないが流通品検査から明らかになる薬剤残存、自農場でのパッキングの不適切まで一番苦情が起きやすいものです。

間に検査できるようなものが少ないのが主要因に見えますが、今の時代自社パッキングや加工は珍しい時代ではありません。

このため自社製品への強い安全安心を意識しないと、簡単に消費者からの苦情として現れます。

多くはこの点が十分に従事者等に浸透しないことによる事故として見ることが出来ます。
また取引先から一時的(多くは相当長い期間)な取引停止と製品回収が生じます。

中小が多い農場ですので製品回収費用の出費、信頼失墜による販路縮小による収入の著しい低下により市場から撤退というのも珍しくはありません。
また、品質事故でなくても鶏インフルエンザ罹患農場の再起が軌道に乗らず廃業という中規模農場もあります。(20年1月三重県)

星の数ほどある養鶏農場は代用が容易であり、結果市場シェアを失うと中々回復できないという現実があるようです。

そんな中でも、農場HACCPで防ぐことを徹底的に行う制度を活用することで、安全を提供し結果安心という信頼を得ることが出来ます。

それが鶏卵の付加価値ともいえます。

農場HACCPの普及しない誤った認識として、多くは製品の差別化でお金が多く手に入るという期待を込めている方もいると思います。

しかし、認証そのものには付加価値を生むことはありません。
だから利益ないものに投資はしないし、意義を感じないというコメントが多く寄せられます。
つまり1個100円のものが認証があることで明日から1000円になるということはないのです。

仮に1000円と値札を付け替えても購入する消費者はいません。
(ブログにも書きましたが同じ値段であれば認証品を購入するという意見が圧倒的に多い現実)

では、なぜ認証を求めていくのでしょうか。

それは、自社製品の安全を第三者に客観的に証明してもらいそれが、購入者(バイヤー)に選んでもらうということで自社製品の優位性を求めるのです。
また、自社製品の品質をある程度保証できるくらいの安全性システムのもと生産されていますので、先ほどお話した自社製品の回収事案に該当するような事例は回避できるはずです。
このことで、自社製品が代用品に置き換わる必要もないのです。

これが、商品安全の付加価値であり、安全性向上の畜産物といえるのです。

今の時代安全は当たり前であり必須事項です。
安全から逸脱して信用低下になったのちの事例は多くの報道の通り大変険しい信頼回復となります。
それは、代用品に置き換わることで納入先は基本困らないと言えるからです。
だから、一から営業をすることと言える同じくらい大変なことなのです。
ですから、信用回復は言葉以上に重く辛く大変なことなのです。

本年よりHACCP義務化とよばれる食品工場や製造事業者のHACCPシステムを取り入れる制度が始まります。(小規模飲食店は次回営業許可更新日から適用)

原料から安全なものを取り入れたい購入者は、今までと違い何らかの認証等安全の証明があるものを積極的に取り入れたいと考えています。

多くは、今の納品元に認証等安全を説明できるよう求めていますが、すべての事業者が満たせるかはわかりません。

であれば、認証があることで原料への不安を打ち消すことが出来るこの制度を積極的に活用したいと考えるのは自然の流れです。

様子見は大事ですがただ見ているだけでは何も変わりません。

偶然性の安全に期待するより、システム的に安全と言えるものを積極的に取り入れてはいかがでしょうか。

最後に5月1日時点での農場HACCP認証農場数をお伝えします。
認証農場数292農場(中央畜産会認証)
うち、牛(肉)68農場
牛(乳)33農場
豚110農場
鶏(採卵鶏)64農場
鶏(肉)14
となります。

皆さんの周りにも認証農場があるかもしれません。

多くの農場は次のステージに向け進んでいます。
繰り返しますが、偶然は明日も安全とはいえません。
季節要因(採卵鶏では夏)によっては去年は大丈夫だったが、本年も大丈夫なのか。

それは季節が終わってから分かります。

しかし、不運にも事故が発生した場合様子見の代償はとても大きいかもしれません。

従業員教育にも貢献できるこの認証制度は今後も増えていくと感じます。
その波に乗るのか、乗らないのかは経営者である皆さんが決めることができる唯一の選択権利です。

私たちは、より良い畜産農場を1つでも多く送り出すために努力をしております。

どうか安全は偶然で成り立つものでないということをお分かりいただければと思います。


ぜひその認証どのように進めるのか、費用はどうなのか。そんな疑問をまとめていますのでご覧ください。
また、費用をかけずに構築する方法もまとめていますのでご参考になさってください。

認証構築支援を行っている者として、多く聞かれるのはメリットと何が違い変わるのかという変化を尋ねられることがあると感じます。

農場HACCP認証には、畜産物の生産作業に危害やリスクを予め考えて対策を講じることで事故を防ぎ安全な畜産物を生産していることを客観的に証明するという目的があります。

畜産物の事故は多く報道されておらず、消費者から見てもHACCPがある畜産物とない畜産物の有益な違いを見いだすことはできないといえます。

それは、畜舎の近代化、畜糞と家畜の分離化が進んだこと、衛生対策の普及もあるといえましょう。

そんな中でも、認証を取得したいと考える農場の皆さんに共通するのは、安全な生産物であるのは自身が一番わかっているのだが、それを第三者に評価してもらいたいと考えていることです。

また、今年は食品HACCPと呼ばれる改正食品衛生法が施行され、食品供給先の原料が安全であることを示すことで販路を見つけていくという方もいます。

しかし、資金力や農場規模により取り組みするに躊躇する方もいますし、強制力がない現在ではこのような制度を活用するには早いと考える方もいます。

農場HACCP認証は規模を問わずとりいれることは可能ですが、システムの運営に外国人技能実習生では難しいと考える方もいます。
形だけのシステムはできるのだが、それはあまり意味を持たないと感じる農場もあります。

今日は、農場HACCP認証を取得したのち何が変わったのか、そのメリットとそうでない部分をお話しましょう。

1、認証取得後のメリット
多く聞かれるのは、農場作業者の安全な畜産物を生産することへの意識が改善するというものです。
実際、意識が変わることでリスクは何か、防ぐには何か。と考える作業者が増えていくのも事実です。


 先ほどのように、畜産物の事故はあまりないというのが実情であることから見方を変えると認証に従う生産工程と、何もない生産工程では違いがなく事故リスク率も違いがあるという状況ではないと言えます。

しかし、事故は今日発生しないので明日も発生しないということはなく、ただ確率が低いだけの話です。
また、事故発生時は重篤なことが多いのも実情ではないでしょうか。

例えば、使用禁止の添加物が検出されることはよく聞く事例です。鶏卵の場合では腐敗卵の製品混入もあります。

いずれも、そうそう発生しませんが発生時は販売先まで広範囲な被害となります。

このため、自社製品の安全な工程で作られる生産物には、事故を発生させないという意識が働き、事故が絶対ないという可能性は0でないものの、季節によるリスクや偶然を期待する安全な畜産物でないという客観的な評価を得ることができ、結果最終販売先をはじめ、消費者まで安全で安心という意識が生まれます。
(実際は、何も事故がないことが当たり前の評価で、発生した畜産物はマイナスというレッテルが貼られるだけです。)

現在の認証畜産物の評価は、安全安心という言葉よりも販売先に対する製品の一定品質保証になるのかもしれません。

今後は、訪日外国人の増加が見込まれるため、最終消費者まで安全な食品を提供するという機運が高まります。

そのための調理の手順や流通までを改正食品衛生法が担うことになります。
しかし、外食等産業はもう少し厳格な食品管理をします。その中の一つが、原料である畜産物や野菜等の受け入れ時の管理になります。
すでに資本力のある大手は改正食品衛生法に対応した対策を講じているといわれます。

調理でリスクが全て排除できれば問題ないのでしょうが、原料に問題があり、それが家畜由来でなく科学的要因(薬剤の残留)や物理的要因(異物の混入や残留)がある場合、調理では解決できず結果的に問題に発展することもありましょう。
その時の生産側の損害は大変大きくなり昨日までの安全であった神話は崩れ去ります。それどころか回収や信用の失墜というマイナスも生じます。

自社以外の畜産物が世の中なければ一時的な問題でしょうが、多くは大体品の取引先はいくつもあります。
その時、一時的に代替品に置き換わりまた元に戻るということもありましょうが、果たしてそこまで思惑通りになるのかは不透明です。

ですから、意識が変わるということは目には見えない無駄なものと捉えがちですが、実際はマイナスを事前に排除している大きな役割を果たすのです。

通常、問題ないかもという程度は多くは良いとして問題を見逃すことが多いはずです。
例えば鶏卵の腐敗卵は目視でわかる場合は相当の状況ですが、検出者の技量により検出力は左右されます。
しかし、問題ないかも。
その先のGPセンター(パック加工先)が除去するだろうと考え流通させるということもありましょう。
そして、その先も見逃す又は同じ考えであれば最終的に事故に発展します。


認証には、基準を設けていることが多いはずです。
このため事故品と疑われるので除去するということになり未然に防ぐことになります。

そのための教育も実施されますから、写真で排除基準を教えて除去させる等問題ないかもという意識を遠ざけることができ、一見利益を出さないと思われるも実際は事故によるマイナスを防いでいるというのが実情でしょう。

人の意識は価値換算が出来にくい分野です。

しかし基準を設けて排除することでリスクを回避している。そのリスクは毎日膨大な量ではない僅かなものですが、発生時の損害は大きい。
そう考えるとデメリットしかない制度よりもメリットが大きい認証制度ではないかと思えるのです。

2、認証のデメリット
では、デメリットは無いのかということですが、実際の声を聞くと「お金」「手間」「見えない価値による疑念」となります。
第三者の認証は一般的に相手の要求に応じた認証構築があり、問題なく運用されていることを評価するための手間とコストがかかります。

それは、認証のための費用と運用の手間があげられます。

また、見えにくい価値でもあり費用的に見て採算が取れるものでないという意見もあります。
先ほどの通り、畜産物の事故は多く聞くことはありません。多くは調理過程の問題や、保存・添加物の違反等で生産段階に起因するものはあまり聞くことはありません。
このこともあり、認証そのものにスタートから時間と労力・費用をかけることが出来ないというのも頷けます。

実際構築開始時は、専門の方の助言を得て開始すると思います。
しかし専門家も無償で実施することもありましょうが、多くは有償です。

また、数カ月で構築は完成しませんので先の見えない労力と相談のたびにかかる費用に心配するというのも実際あります。
もし断念すればそこまでの費用は全て無駄になるので、絶対の成功が確約できなければ中々前に進めないという声も聞きます。

ですから、利益に貢献できるか不透明であればそこに資金を投入できないというのは、経営されている方であればそのようになるのでしょうし不正解とは言えません。

認証そのものが不要と考える多くは、認証の価値に懐疑的であることより、必要を感じないものに労力とお金を投じられないというのが本音でしょう。

この認証があればこうなる!という強いメッセージがあれば心動くと思いますが、メリットにも書きましたが視覚に訴えるような良さが見えにくいというのが本音なのかもしれません。

しかし今後も、農場HACCP認証は無くなるということはないと言えます。

それは、法令に準拠し衛生対策を講じて運用する。
常に検証しシステムを最新化してリスクに対応するという考えを持っているため不要物と位置付けるものにはならないからです。

パソコンでご覧いただいている方には、この文書を見るにあたりウイルス対策ソフトを導入されていることでしょう。
それと同じで、事故を防ぐためのツールであると同時にその他の方に迷惑をかけないツールでもあるのです。

農場から出荷したら後は知らないでは済まされない時代です。
生産段階での事故はやはり生産側の問題になります。

販売先もギャンブルをしていません。
問題あれば仕入れの変更は当たり前ですし呉越同舟ですよとは言いません。

安全な製品は消費者から見れば当たり前。
安全でない製品になったときの被害は大きく、生産農場に起因する場合は生産計画の変更がありうるという現実。

そうならないためには、販売者は安全な製品を提供するのにどうするのか考えたとき、火を通すから何でもいいでしょうと考えるのか。
それともリスクを小さくしたいためにも原料調達には何らかの安全が欲しいと考えるのか。

それは、正直分かりません。

ですが安全が当たり前ならば認証を活用して安全な製品に客観的な安心を付加したいと考えるのも自然です。

農場HACCP認証の取得の多くは補助事業が県単位で行われています。
ですから、費用はある程度補助され、負担は小さくなるはずです。

認証後は、製品認証であるJGAPを取得するにも便利です。

まずは、自社の製品の将来を考えたとき何に対応していくのか。
食品業界は変わり続ける中生産者は今日も同じでいいのか。

今一度考えて見ると良いのかもしれません。

平成24年から認証が始まった農場HACCP認証ですが今年10月時点で、およそ310農場が認証を取得しています。
様々の場面で、自社の畜産物への安全と安心を消費者やバイヤーさんにお伝えし、従業員の意識向上や畜産物への付加価値に貢献できていればと思います。

内訳は、中央畜産会からの認証交付が最も多く259農場、SMC株式会社からの認証交付が52農場と合わせて311農場となります。

畜種別で見ますと、豚が多く141農場、採卵鶏農場が64農場、肉牛59農場、乳牛31農場、肉乳牛2農場、肉鶏14農場となります。

豚肉や肉牛は輸入品との競争が始まっているのかもしれません。スーパー等売り場の扱いが店舗によりますが少し変わったと感じます。
国産の隣にカナダやアメリカ産の豚肉、牛肉も国産の隣にアメリカ、ニュージーランド産の牛肉が並び価格で訴求していたりと消費者の関心を得ようとしているように感じます。

鶏肉も今年は国産も安い傾向ですが、外国産も量を多くし値打ち感を出している店舗もあります。
この中、消費者の心理をうまくつかみ自社畜産物への関心を持ってもらいたいと思う方も多いことでしょう。

消費者の関心は時代とともに変化しています。

昔は国産第一主義であった時代もありましたが、近年は少し変化があります。国産にこだわらないという年代が少しづつ増えており、価格とのバランスや中食等加工品を上手に取り入れたライフスタイルと、消費傾向は過去のデータだけでは測ることが出来ない新しい時代に入っていると感じます。

そんな中、食品衛生法の改正も来年度に予定されており、HACCPの考え方を取り入れた食品事業を構築しなければならない加工向け工場や小売店、一部はスーパーも該当します。

農場HACCP認証を構築された農場はご存知の事でしょうが、HACCPは工程ごとの危害を予測し対応することで事故を未然に防ぐ考えを持っています。そのため原料(受け入れる餌や水等)も安全であることを、確認しているはずです。

そのような考えを食品工場等も考え始めている傾向も浮かび上がります。

さて、農場HACCP認証も最初の認証から7年が経過しています。養豚の皆さんは5Sの取り組みや衛生管理向上のための取り組みに大変積極的と感じます。その傾向を示すように農場HACCP認証を積極的に取得されており認証数は最多です。

次回以降ふれますが、JGAP家畜畜産物も積極的です。一昔前に比べ衛生管理が行き届き不潔と言えた豚舎も今はだいぶ見ることもなくなりましたし、豚舎からの異臭もあまり感じることは少なくなっていると感じます。

経営規模による差はありますが、業界全体が衛生管理に熱心に取り組まれていることをお伺いする農場や近隣の農場で感じます。

採卵養鶏場の方も次いで64農場と多く取得されています。採卵養鶏での問題点として「腐敗卵の流通」や「残留検査での違反」「サルモネラ」とあげることが出来ます。
今年の猛暑は家畜の衰弱等問題もありましたでしょうが、一部は「腐敗卵の流通」による問題もありました。スーパーで購入した鶏卵を消費者が割卵したら黒い黄身が出た・・というもので、管理体制を問われかねない事例が報告されました。

該当したスーパーは回収お詫び広告を出し、納品先への取引はとりあえずと言われますが一時停止となりました。

店舗まで渡り消費者からの苦情は正直農場存続にかかわる事態です。
農場HACCP認証を取得される方は腐敗卵リスクを重点的に管理されると思います。このことで100%ないと断言できなくても、かなりの確率で未然に防ぎ信頼を失墜する事態を防ぐことが出来ます。

また数年に1度の割合で発生する傾向がある残留違反もあります。農場HACCP認証ではこの点を重点管理する農場もありましょうし、そのような事例にならないように管理されているところもあります。

現実発生した場合多くは消費者からの苦情でなく、県の接収検査(一部では買い上げ検査)で発覚し公表されます。
特に店頭で買い上げた検査ではそのダメージは大きいと言われます。どちらも回収となりますし農場名の公表もあり、取引先から大きな心配を与えます。
流通した場合は相手先店舗のお詫び広告をお願いしなければなりません。実際はそれ以上のご苦労があると言われます。

そのような事故を未然に防ぐためにも、原因を見つけ対策を講じる農場HACCP認証を今一度良いところとして見つめなおす時期なのかもしれません。

昔は、費用対効果論が根強く「儲けにならない」「やる意味がない」という意見が多かったのも事実です。

しかし今お話したように競争相手は大変多く、どこかがつまずくことでどこがが利益を得られる時代でもあります。うちは認証がなくても大丈夫と言えればよいのですが、それは分かりません。
なにしろ、客観的な根拠がないからです。
今までの自信でお話されているに過ぎないと感じます。実際構築最初のご相談をいただき農場を拝見しますと、滞留卵があり、寄生虫問題がありその消毒に基準がないという綱渡りのような状況も見ることがあります。

運がいいので事故が防げているという推論もできるところもありましょう。
しかし真剣に考えない限り本当に危害を除去できるという方策は見つけられないのが実情でしょう。

そうならないためにも農場HACCP認証を意識されている経営者が多くなってきたのだと感じます。
今後、農場HACCP認証に関心を持たれる方も多いと感じます。
製品認証であるJGAP家畜畜産物に農場HACCP認証の考えを取り入れる必要があるため、興味を持たれる農場もありましょう。
また審査を受ける際には一部免除が出来るころで農場HACCP認証を取得してJGAPを取得するというプロセスをお持ちの方もいましょう。

今後、食品衛生法の兼ね合いや消費者の関心、製品信頼のためにできること・・畜産物が当たり前に店頭に並び、当たり前以上の供給量となった現代。
何かに付加価値をつけて売るのも有効な手段ですが、まずは足元をしっかり固めることも大事な付加価値とも言えましょう。

そんな変化しつつある今こそ農場HACCP認証の良さを再発見している農場が増えているのかもしれません。

令和1年9月20日中央畜産会は新たに6農場を農場HACCP認証農場として登録したことを公表しました。
これにより、256農場が現在登録され、新たな衛生管理に取り組まれていくことでしょう。
この中のいくつかの農場には、私が構築指導した農場も含まれ、認証までもっていくことが出来たことに安堵と、これからシステムを継続していくという気を引き締める感覚が合わさりとてもうれしいと同時に新たな不安もあります。

農場経営者や責任者、担当者等様々な方のおかげで構築が出来ましたが、農場にあうシステムが構築できるまでにはたくさんの不安や不満、手間があり皆さんの話し合いでどう取りまとめるかが、大変であると同時に一つの目標に向けて様々なご努力をいただいた賜物であると感じます。


さて、その農場HACCP認証を始めるきっかけをお尋ねすると、少し前は付加価値への期待周りが取得しているので自社も取得したいから等この認証の趣旨と異なる点から出発したこともありました。
しかし、認証が始まり10年が経過し、付加価値をつける認証にはならず期待外れと感じる方や、周りが取得したので自社も取得したけどシステムが農場内でうまく回らずご苦労されている話も聞きます。

現在、農場HACCP認証を取得された方には、製品に認証マークをつけることが出来る制度が昨年から開始されています。
マークを商品に貼り付けたり販促POPにアピールしたりと、付加価値向上を目指している方もいましょう。

農場HACCP認証がある商品は、衛生管理が行き届き、商品が安全であるシステムのもと作られ、消費者へ安心をお届けできることでもあります。このことを積極的にアピールし認証品でない製品との差別化できるようにしていく新たな活路を見いだせるのかもしれません。

何度かブログでも紹介していますが、消費者はこの認証を知っている方はほとんどいません。
それは、そもそも農場システムに対して認証しているため積極的に示す必要がなかったこともあるかもしれません。

現実ISO22000とかISO9000と言われても消費者からすると分かりにくいというものです。
しかし、時が流れ生産物はどれも安全であると言う考えが広がり、価格が安いもの・広告で目に留まるもの等商品の良さが前面に出てこなくなりました。
結果、知名度があることや生産者名を商品に入れることで他と違うことを前面に販路を求めていきます。
しかし結果的に乱立状態となり、鶏卵ではスーパーで4種類から6種類のネーム卵が似た写真を張り付けて販売され、結果差別化が分かりにくくなっていきました。
このため折からの経済情勢もあり価格で選ばれる商品、いかにスーパーに好条件で納品できる商品にシフト等本当に安全安心の商品が忘れ去られていくようにも感じます。

肉も同じで、○○牧場の肉や△△農場直送品等差別化していきましたが、同じように価格で決められ、安い店の肉は良く売れて、そうでない店ではそれなりに売れ残り明日の弁当やスライス販売等加工に転用されたり違う加工をして再販売されていきます。
スーパーも目玉商品として肉類を販売しますが、それより外国産の充実で安定した売り上げを求めているところも多くなりました。

つまりそれだけモノが売れなくなり始めたようにも感じます。

消費者の購入意識は変化しており、どれも安全であれば高いものを購入する理由が薄れつつあるのです。
ブログにもありますが、消費者はおいしさは必ずしも国産であるということを考えなくなっています。
つまり味はどれも同じであるということです。
ですから、いつまでも「国産は安全安心でおいしい」という繰り返しアピールは消費者の心まで届きません。

その中システム認証である農場HACCP認証に製品にマークをつけることで差別化を期待する動きがあり平成30年7月からマークの貼付を認めることになりました。
現在16件がマーク使用の申請を行い、すでに貼付することが認められています。
牛肉が6件、豚肉に5件、卵に3件、牛乳に2件となります。
当初は、誰も知らない認証にマークをつけても何も変わらないという考えが多かったと思います。
確かにその通りでしょう。しかし先ほどの通りいつまでも国産神話にとらわれていてはいずれ先細りしていくことでしょう。
それは、消費者は国産に特別な期待を持たなくなりつつあるからだと感じます。
であれば、こちらが積極的にアピールすることで販路を広げていくことが重要です。ただ何せず意味がないと思うだけでは少しずつ販路が狭くなっていくことになるかもしれません。

マークを知る消費者はほとんどいません。

しかし商いは売ることだけ考えても商売になりません。消費者に教えることでわかってもらうことが大事なのです。
例えば、昔の商店はそのような考えがありました。
例えば肉屋では「今日は上肉が入ったよ。脂身が少なく炒め物やカレーにしてもいいよ」とか、一言添えます。
魚もそうです。「今日はサンマが入荷したよ、新鮮だから刺身にしてもいいよ」と教えて売るわけです。
スーパーではほとんどそのようなことはしません。低価格で販売するためには無駄なコストをかけないからです。商品を並べて売り、消費者が手に取りレジに持っていき自分で袋詰めをする。
そんな販売では消費者にアピールすることができません。
であれば安全安心あることをPOPに示して説明するのです。
言わなければ伝わらないは、よく聞く言葉です。
こちらからアピールすればお客様になっていただけるのです。
販売店の協力も必要ですが、お店にとっても悪い話ではありません。安心な製品を取り扱うことを示すことが出来ウインウインとなることでしょう。

ただ店舗に納品できれば安泰の時代は終わりを迎えつつあるように感じます。うちは生産者だから関係ないといえる時代ではないのです。
ただの商品は世の中沢山あります。そのような中販路を拡大するためオセロのように商品を入れ替える方もいましょうしそれが競争原理です。他社に遠慮するような時代ではありませんし、それが美徳とは言えない時代でもあります。

そのような時代に第三者が認証した衛生管理システムで生産した畜産物をアピールするこのシールはまさに画期的なものです。
しかし貼付すればよいと言わけにはいきません。消費者にお伝えしなければなりませんし、付加価値価格としてはいけません。
通常価格での販売で対抗していくことが重要です。
単価上昇より売り上げ数増加で収益を上げる戦略が重要でしょう。

まだ少ない認証マークですが、先に取得した方は新たな活路を求めていることでしょう。
マークの取得はまだ早いと言う段階ではないと感じます。先にいち早く取り入れて自社製品に注目してもらう考えがあっても良いと思います。
うちはJGAP家畜畜産物認証で十分という方もいましょうが、同じ問題で認知度がありません。
ですから、JGAPがメジャーになるまで待つと言うのも手でしょうが、同業に後れを取りかもしれません。
戦略も大事です。良くご検討いただき自社製品の安泰のための次なる一手を検討されてはいかがでしょうか。







農場HACCP認証が誕生して間もなく10年近くとなります。
第1号認証された方が平成24年4月ですから更新が2回されているという状況です。
以降、中央畜産会での認証は249件、エス・エム・シー株式会社で49件とおよそ300件が令和元年8月に認証されています。

一昔前はこの制度への意義に疑問を呈している方が多く、費用対効果から利益に貢献せず、手間ばかりかかる認証制度という評価からだいぶ少なくなったと思います。
実際数年前の農場HACCPについての畜産農家さん向け説明会でも、意味のない認証のために意味のない手順を定めた作業はできないし、そもそも事故を起こすような管理もしていないからあまり興味がない。という厳しいご意見もあり、農場HACCPの良さが伝わらないと感じておりました。

しかし、最近では実際お伺いすると、認証から利益が発生するというキーワードがだいぶなくなり、農場HACCP認証の良いところである「人の考え」「衛生面の向上」「整理整頓」と、直接利益に貢献しないかもしれませんが「考える力を身につけた従業員」「衛生管理の重要性を再認識し常に改善を求める姿勢」「いわゆる5sから来る、人の意識向上」等、やがてそれが利益に貢献すると思われることを期待して導入を検討される方が多いと感じています。

もちろん、衛生管理の向上から製品の品質向上に貢献しそれが信頼となり利益に貢献するのもあります。

また普通の製品と、認証がある製品の差別化を期待している方もいましょう。
実際消費者は付加価値分の金額を支払うことを好んでいないのが実情ですが、同一価格であれば認証品を選ぶ傾向があることから、将来の差別化に期待していることもありましょう。

さて、ここ最近は、認証に前向きに検討されている方や、構築をについてご相談いただく機会が多くなったと感じています。

畜種別の認証状況ですが、8月時点で豚136農場、採卵鶏63農場、肉養鶏14農場、乳牛29農場、肉牛55農場となります。(中央畜産会等2審査機関の認証合計)

圧倒的に養豚の方が積極的に取得されている状態ですが、採卵鶏も多く取得されています。
養豚に携る方々は、すべてではないと思いますが、5sの取り組み等良いと思われることに積極的な感じを私自身は感じています。

実際お伺いしている農場は5sまではいかなくても3sがしっかりと行われており、汚さないという意識のもと作業にあたっており結果5sまで実行されているように見えます。

5sも人の意識改革にはとても大事なものです。
そのような中で農場HACCPも取得していく姿はとても素晴らしいことで、従業員の皆さんも作業している目線は一つ上のように思えます。

今日のお話ですが、農場HACCP認証農場が増えているというものでなぜ多くなったのか考えて見ます。

先ほどの通り、数年前まではいろいろな主催者の中で農場HACCPを取り入れた管理をしましょうという講演があったと思います。

農場HACCPは、作業内容や飼養する資材等のリスクを洗い出し、危害を防ぐ方法を探し、手順通り実施することで危害を呼び込まないようにします。
そして、システムが良いものになるよう検証を行い、新しい内容を検討し実行するという「PDCAサイクル」を回します。

HACCPシステムの弱点である作業手順が問題なければシステムはそのまま動き続け古いシステムになっても変更するという概念がないことがあげられます。

しかし、農場HACCPではISO22000を取り入れて、見直しをするというシステムを取り入れて、絶えず新しい危害に対応し見直しをして、問題点を改善していくという良い循環が生まれるようになりました。

このことで衛生管理の向上が生まれ、事故のない製品が出荷し結果信頼を得て付加価値を生む(商品がバイヤー等から選ばれる安心な畜産物)という流れになります。

この点が重要で、少しずつですが認証商品とそうでない商品の採用に変化が生まれる又はそのようになりつつある時代に入り始めていることも要因かもしれません。

またJGAP家畜畜産物の認証を取得したいと考えている畜産家の皆さんも農場HACCP認証を取得しJGAP審査に一部除外審査を受けて取得していることもあります。
JGAPを除外しないいわゆるフル規格審査を受ける場合は、HACCPの考え方を取りいれる必要があるため、農場HACCPを知っていて構築する場合にくらべその内容を知る必要があり手間を感じることもあります。

ですから、費用から見て割が合わない、意味がないという一昔前の考えが薄くなり、従業員教育も兼ねてリスクを考え対策を講じ一歩先行く農場を想定していることもありましょう。

また将来の商品差別化のために取得する方もいることでしょう。

このように、少しづつ畜産環境の変化に対応し、市場・消費者の動向等自社製品の為に出来る手を打たれている一つの姿が農場HACCP認証を取得しているのかもしれません。

先を読む畜産家の皆さんは大々的に宣伝することなく、静かに自社にとって有用なものを取り入れて先を行くのでしょう。

もしかすると、まだ無意味な認証で費用対効果から見て必要なしと考える方もいるかもしれません。
しかし遅れをとった後の巻き返しが出来るのか、畜種関係なく大規模化が進んでいる現状で大規模畜産家に太刀打ちできるのか新たな課題が出てくるかもしれませんし、待ったなしになる可能性もありましょう。

ですから、農場HACCP認証を取得していない小規模の方々の一部は独自の販路(6次産業化)を持ち、競合を避けていく戦略もありましょう。

また何らかの事情で農場HACCP認証を返納する方もいます。
中央畜産会の発表では、認証農場6農場は維持審査を受検しなかったため認証を失効し、1農場は更新をしなかったためリストより削除されています。

満足を得ることが出来ない、又はHACCPの要が退職等で不在となり機能不全となったという理由もあるかもしれません。
実際、退職等のため責任者等の方が不在となり、審査対応に不安があり、切りが良いので認証継続を終了する判断をした方もいたと聞きます。
大変もったいないと感じます。安定した生産と安心を示すことが出来る認証の両輪で健全な経営に寄与できると考えています。

もし、何等か御事情があり苦渋の決断で返納を選択しなければならない場合は、ご相談いただきたいと思います。
せっかくの「認証」。また再取得することもあるかもしれませんが、継続することで衛生管理の向上や従事者の意識向上が進んでいきます。

見えない成果かもしれません。しかし確実に農場にとってプラスになっているはずです。
私どもは、ご支援し軌道に乗るための方策をお示しします。

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