鶏卵不足が加工向けに対し大きな影響を与えています。
4日カゴメは大豆等植物由来の原料を使用したスクランブルエッグを販売すると発表しました。
すでにこの分野にはキューピーも販売をしており鶏卵不足を埋めるべく新商品を展開しています。
健康志向の高まりや環境に良い物を前面に出し選択肢が1つ増えている状況です。
外食分野にも、液卵を使用したものも登場し殻付きが基本であった鶏卵の使用から少しづつ今の状況に合わせるような商品が登場しています。
その中輸入鶏卵も増加傾向にあり、すぐに加工向けは国産から撤退はないにしても選択肢を増やして状況に応じた原料を選択しているように見えます。
ご存じの通り加工向けは全て国産を使用しているということはありません。
その時期の相場値や供給状況を見て一部は輸入を使用しています。
その時期の相場値や供給状況を見て一部は輸入を使用しています。
加工向けには殻付き生卵より、凍結卵、粉卵が主流でわずかに殻付き卵になりますが、加工筋は凍結卵や粉卵を中心に輸入していると思います。
財務省の資料では令和5年の2月までの輸入実績は凍結全卵が851トンで前年576トンより多く前年比147%となります。
次いで卵白粉が1562トンで前年1514トンと比べ103%多くなっています。
昨年令和4年も5月まで鳥インフルエンザの発生が報じられました。その年度の輸入も多く12月までの1年間凍結全卵は4223トン前年3857トンで109%多く輸入しました。
これは令和3年は春から晩秋にかけて鶏卵の不足が話題になっていました。
いわゆる令和2年度の大流行の時期にあたります。
この時987万羽が殺処分されたことも記憶にあるかと思います。
いわゆる令和2年度の大流行の時期にあたります。
この時987万羽が殺処分されたことも記憶にあるかと思います。
このため加工各社は鶏卵価格との兼ね合いや国産の不足分を輸入に対応する方向に動いたとみられ、その流れが令和4年度も継続したと感じます。
ちなみに卵白粉も10681トンで前年9238トンで115%増加しました。
用途は皆さんご存じの通り、全卵は卵焼きやいり卵に使用されたり、パンやケーキの材料にも使用されます。
卵白粉は主に加工肉やねり魚製品に良く使用されます。
卵白粉は主に加工肉やねり魚製品に良く使用されます。
液卵は業界内の流通量としては加工向け10割のうちせいぜい2割とも言われますので、特別大きなシェアを持っているわけではありませんが、今年は加工向け10割のうち3割からもう少し上がるような状況です。
また輸入量もこの先増えると聞きますので、加工向けのシェアはこの先夏にかけて変化があるように感じます。
養鶏ブログ(はてなブログ)にも書きましたが、需要家は今回の供給不足に対しては大きな危機感を持つところが多くなっています。
それは注文数が少ない、または規定製造量に満たない供給となっており、それが会社の利益を損失している状況にあります。
鳥インフルエンザの大流行が本年は過去と比べ比較にならないくらいの深刻さが供給に現れています。
報道では養鶏家に対して温かいご支援や励ましの言葉をいただきますが、加工筋はそのようなことを言って製造を止めたり、製造ラインの作業者を解雇するようなことはできませんので、頭を抱えているところが多いのではないでしょうか。
ご存じの通り、代替品や鶏卵使用量を減らして販売を継続しているコンビニ各社もありますし、加工向けから活路を見つける外食店もあります。
パンやケーキ等殻付きにこだわらない産業は加工向け卵を使用していますが、その比率が国産から外国産の割合が高くなっているという状況が、輸入実績から見て取れます。
パンやケーキ等殻付きにこだわらない産業は加工向け卵を使用していますが、その比率が国産から外国産の割合が高くなっているという状況が、輸入実績から見て取れます。
国産や指定農場にこだわるスイーツ店や土産物店はまだ商品供給を停止していますが、一部は供給再開をしており供給が不安な中でも各社出来る手立てを探し進めているように感じます。
このように、加工向けは少しづつ何らかの策を講じてこの供給不足な中をどのようにやりくりしていくのか知恵をしぼり考え続けています。
この中3月31日農水大臣はブラジルから殻付き卵の輸入見込みがあることを会見で発表しています。
報道では、「国内になければ、輸入でも良いのではということで、近くブラジルから殻付き卵が船便で入るという動きがあり、輸入企業名はわからないが、冷凍に近い温度で輸送管理をしており、ほっとしている。」と話しています。
外国産であるため生食はできないものの、加工向けに利用できると想定しているようです。
これにより、テーブルエッグ向け比率を更に上げていきたいという思惑を感じますが、すでに多くの地域では県内の2割3割の鶏が殺処分されその地域の中規模店舗では欠品や入荷遅延が生じておりこの解消が進むことを期待しているようです。
皆さんの農場もテーブルエッグ向け出荷を求める声が多いと思います。
例えば加工向けの高日齢でもテーブルエッグ向けに振り替えたり、Sサイズ程度でも小玉ミックスに転用したりと各社、各箱問屋ともご苦労されていることでしょう。
国はこの供給不足に、輸入品が加わることで消費者に迷惑をかけけないように進めていきたいと話しており、この先加工向けから少しづつ国産鶏卵の取扱いに関して変化がある可能性があります。
鳥インフルエンザは天災であり防ぐことはできないと言います。
その通りなのかもしれませんが、衛生管理が十分でない農場も残念ながら存在します。
その通りなのかもしれませんが、衛生管理が十分でない農場も残念ながら存在します。
衛生管理の不十分さを例えば、金網の補修が不十分、ねずみの形跡があることで不十分、人の出入りに対し不十分と指摘される事例もあります。
金網が不十分で野鳥が入るから感染するとは言えませんが、少なくとも飼養衛生管理基準に違反している事実があります。
国が定めた基準ですが、これが完全に実行できて感染を防ぐがわかりませんが、少なくてもこの法令を意識した衛生管理はできていないということになり、やはり衛生対策、安全対策がおろそかになっていると言われても仕方はありません。
そして発生農場から隣の農場へ感染が移るということもあり、発生したから残念であり仕方ないでは少しプロ意識が薄いと言わざるを得ません。
大事なことは欠品させないという意識であり、そのために衛生管理を出来ることを本当に出来るだけ十二分にするしかありません。
昔に比べ発生農場に対する風当たりはだいぶなくなりました。
その要因には一時的に近隣農場の鶏卵は出荷停止とはなりますが、昔のように長くなることはほとんどないからです。
その要因には一時的に近隣農場の鶏卵は出荷停止とはなりますが、昔のように長くなることはほとんどないからです。
せいぜい2日で早ければ発生確認後数時間で許可されることもあり、ほか農場への影響が小さいことで風当たりが小さいと感じます。
ですから、昔のように発生農場になってしまい近隣との関係が難しいということはだいぶ聞かなくなりましたが、最近は2年連続発生する養鶏場(養鶏本体の会社)も見るようになりました。
これは何を意味しているのか真剣に考える必要があると感じます。
出来ることはしっかりやっている。なぜそうなったのかわからない・・よく聞く話ですが、農場現場と養鶏本体の会社では見方が異なります。
現場は、何が不備でこうなるリスクがあったのか知っていることが多いのですが、その上部となる本体の会社又は本社はそこまで物を見る位置にないためわからないという話を聞きます。
確かに見ていないのでわからないというでしょうし、必要な機材(消毒機材等)は用意しており運用しているはずと考えますから、設備から不備を感じることはありません。
ですから、その末端はどうかというとわからないのです。
大事なことは、小規模発生であれば個々の農場はこのような認識でもまあ仕方ないのかもしれませんが、これだけ全国広く発生し大規模農場でも普通に発生するような状況では結果的に養鶏業全体に大きな損失を与えてしまいます。
そして、不足が生じると外国から輸入できるという新しい選択ができたということです。
確かに国内すべてを輸入で賄うことはできません。
ですが一部は輸入に置き換えができるということです。
そして国産が安定供給できたから輸入を廃止するとは限らないということです。
ですが一部は輸入に置き換えができるということです。
そして国産が安定供給できたから輸入を廃止するとは限らないということです。
加工筋はいかに安定して安い鶏卵を手に入れることができるのかを考えます。
ですからテーブルエッグ向けを安く買いたたくことはしません。
ですからテーブルエッグ向けを安く買いたたくことはしません。
加工向け出荷が外国に置き換わるだけかもしれませんが、今出荷している破卵や液卵はもっと安く場合により無償出荷にならないまでもさらに安い出荷価格になる可能性もあります。
そうなると、傷玉を多く出荷してしまう農場は更に採算ラインを割り込み不採算農場になるでしょう。その時不採算だからこそどうするのか、慢性赤字の経営にならないように手を打てればよいでしょうが、多くは原因究明まではできないところも多いと感じます。
そうなると何だか儲からない、だから相場が安いからだ、餌だ、何だと違う意見を発してしまうでしょう。
そうなると何だか儲からない、だから相場が安いからだ、餌だ、何だと違う意見を発してしまうでしょう。
そして力尽きる農場も発生し、更に寡占化が進むという流れになるかもしれません。
今回の話はただの加工筋の話と聞くのか、少し広い視野で見て業界の勢力図が変わりつつある風の変わり目なのか。
どう判断すのかは皆さんの農場次第ではあります。
ですが輸入が増え、国も輸入出来て安心するという現実を皆さんはどのように考えるのでしょうか。
ですが輸入が増え、国も輸入出来て安心するという現実を皆さんはどのように考えるのでしょうか。