厚生労働省の中央最低賃金審議会は28日令和5年度の最低賃金額を全国平均で1002円とすることとしました。
これにより全国4区分の賃金地域を3地域に改編し、都市部のA地域、中間都市のB地域、地方部のC地域と改めています。
さて、今回から上昇する予定額は
A地域は41円増し
B地域は40円増し
C地域は39円増し
とそれぞれの地域ごとに40円を中心に上下1円の設定を予定しています。
まだ正式決定したものではありません。
これから、各地域での上昇見込み額について検討が行われますのでこの金額を下回るという事例は見たことはありませんが、この見込み以上に設定することを地域が決定することもありますので、農場で雇用される従事者の方が、今より最低で39円、最大41円まで加算しても今の時給換算で問題がないか、今のうちに試算しておくことをお勧めします。
多くは10月の早い段階で施行されますので、遅くとも10月下旬に支払う給与には反映しておく必要があります。
最近は、機械計算で総労働時間だけ入力すると支払う税込額を計算するソフトでそのまま点検せず支払い後で問題になるという事例もあるようです。
過大に支払うから細かく計算するが、過少はザルでいいでは、少し農場責任者としては残念なところです。
そして畜産業ではあまり聞くことはなくなりましたが、時給1000円では経営ができないという産業やお店があるとも言われます。
特に飲食店は解雇を強く進めた産業でもあり人を急募してもなかなか集まりません。
その要因に、もともと好待遇ではないことで、今更急募されても他の産業のほうが働きやすい、時給を上げても閑散期では希望時間まで就労できないこともあり、月の収入が不安定であり、あまり期待する業種ではないという声も聞きます。
つまり、他産業も人を求めているのであり好待遇であれば人が集まるわけですがその条件を提示できないという深刻な状況であるということを知っておくべきです。
畜産業でも最低時給+1円単位の端数切り上げ程度の募集で人が集まると考えているところもありますが、この先は965円なら970円といったものではありません。
965円で39円増しとなれば1004円となりますから端数程度とはいきません。
1004円なら他は1010円、1050円、1100円というところも出てきます。
そうなると、うちは1004円を死守するでは中々人は集まりません。
そうなると経営は厳しいから人減らしをする、退職者の後の補充をしないといったコスト増を防ぐというところも出てくるかもしれません。
でもよく考えてみると、今までの賃金で人が雇用できたのはその賃金が高いからでしょうか。
そうではなく、職を探した結果そうなった程度であり賃金が高いからではなく、近所である、仕事時間が希望通りであるといった要素であるはずです。
つまり他に希望条件に合致したときは乗り換える可能性があるということを知っておくと、これからの時給上昇は高い物と言っていられないということです。
今までの時給例えば960円は本当に高額だったのでしょうか、1004円になったら高給取りでしょうか。
労働者側はそうは見ていません。
雇用者側は本音を言えばあまり高くない賃金で、長い時間を働いてもらい、休日も土日は必ず勤務可能であるという希望があるはずです。
そうなれば、年末までいわゆる年収の壁も到達せず、労働時間調整も発生せず、そして賃金も最大年間100万円まで見ておけば良いといった所でしょう。
そんな視点はないという声もあるでしょう。
でも賃金は最低時給の端数加算はなぜそのようにしているのでしょうか。
そもそもそんな端数加算はしていないという潔い農場もあるでしょう。
そもそもそんな端数加算はしていないという潔い農場もあるでしょう。
その根底はいかに安く、退職しても補充が見込めるから高額で雇用する必要がないというのが理由と思います。
その分を社員や経営者に還元したいと言うでしょうし、結果はそうなっているはずです。
農場を見てみると、しっかり働いているのは社員という日本人であるという視野しかない経営者もいます。
でも筆者は農場を多くみている立場から見ると必ずしもそうではないという感じです。
確かに社員は1日の就業時間内を働きます。
1日8時間というところもあるでしょう。
でも時間給の人は集卵のみをするからせいぜい5時間までといった所もあるかもしれません。
1日8時間というところもあるでしょう。
でも時間給の人は集卵のみをするからせいぜい5時間までといった所もあるかもしれません。
その3時間多く働くから過剰に多く支払うというのも、どうなのでしょうか。
社員とされる日本人以外に外国人技能実習生もいる農場も多いと思います。
その方に主たる仕事を振り分け、日本人社員は何をしているのか。
その方に主たる仕事を振り分け、日本人社員は何をしているのか。
そして高給取りと揶揄される幹部社員は日本人社員より更に多くの賃金を支払います。
ある農場では2人分の社員給与を1名の幹部社員に振り分けます。
ある農場では2人分の社員給与を1名の幹部社員に振り分けます。
当然財源が安定していなければ話になりませんが、畜産物は相場値引き取りが基本です。
鶏卵でも固定価格はありますが生涯一定ということはありません。
鶏卵でも固定価格はありますが生涯一定ということはありません。
つまりどこかで、相場の下降がある時に収入の減少という影響を受けることになります。
でも人件費は安易に切り下げることはできません。
法令に違反するからです。
法令に違反するからです。
でも厳しいとなった時、経営者はどうするのでしょうか。
多くは間違いなく、欠員補充をしないということです。
雇用はコストになり支払いという出血を止める必要があるからです。
このような段階まで至る時多くは経営コンサルに相談して同じような回答をもらうはずです。
そして、既存労働者に対し次に行う削減に、諸手当の見直し又は廃止、残業時間の許可制という基本給を触らない法令違反にならない対策を次々打ち出すはずです。
でも手取りは確実に引き下げるという出血を止める方法を推進していきます。
この時点で更に人の離職が進み、限界人数に至ることもあるでしょう。
多くはこのようなところまで落ちぶれたときには廃業を選択するのですが、農場の多くは先代が築いた大切な名前を消すことはできない。
だから今は苦しいが踏ん張ってほしいと泣き落としをするはずです。
だから今は苦しいが踏ん張ってほしいと泣き落としをするはずです。
でもそうなった農場の多くは元には戻りません。
そのまま低空飛行してかろうじて延命してるだけで、返り咲きすることは見たことはありません。
返り咲いたと感じる時は、高相場に当たった年だけで、通常では赤字が、餌代が、人件費が、来月の支払いがと出費の重さを毎日痛感し、相場高の時にお酒を深く飲むように忘れ、また現実という年に戻り繰り返していき、延命しているということすら忘れていき毎日を過ごしていくというのが実情になるでしょう。
でも先代が、名前が、地元の期待がと理由をつけて細々延命していきます。
でも経験から返り咲くことはありません。
こうなっても、もがく姿は大変苦しいと思います。
でも経験から返り咲くことはありません。
こうなっても、もがく姿は大変苦しいと思います。
では、どう考えるべきでしょうか。
人件費はコストであるという視点で見ると、どこまでいってもコストしか見ることはできません。
だから1円でも削減したいし無駄な物に支払いをしたくない。
だから1円でも削減したいし無駄な物に支払いをしたくない。
でも人が働くことで家畜が成長し収入になる。
歩留まりの良い畜産物を作る方策を見つけ、実行し収益を上げるわけです。
歩留まりの良い畜産物を作る方策を見つけ、実行し収益を上げるわけです。
ですから、コストと考えると一番安いのは人を雇用せず経営者のみで農場を切り盛りすべきです。
でも大変だから人を雇用するはずです。
この視点です。
では、農場にいる雇用者は皆さん全力で取り組みをしているのでしょうか。
高給取りの人ほど作業と言う力ではなく、頭を使う知力を使って何か貢献しているのでしょうか。
家畜や畜産物は餌を与えれば売り物になるということはありません。
確かに売れるでしょうが、歩留まり、等級といった収入ランクがあるはずです。
その高ランクにどのように生産を合わせていくのかという知力があり、そのために体力を使っているのでしょうか。
そもそも作業をする従事者と知力を使う管理者という明確な仕事分担があり賃金に差をつけて、期待値を高め企業に還元する。
その区分すらない農場もあります。
当然作業をする従事者に管理者も混ざり、ただ高い人材しかないという経営者の見立ての悪さもあり、これを改善せず賃金が高い、労働に見合う給与水準ではないと嘆いているところもありますし、そもそも気づいていないが月のトータル収支はなぜかマイナスになると首をかしげているだけのところも見ます。
そもそも作業をする従事者と知力を使う管理者という明確な仕事分担があり賃金に差をつけて、期待値を高め企業に還元する。
その区分すらない農場もあります。
当然作業をする従事者に管理者も混ざり、ただ高い人材しかないという経営者の見立ての悪さもあり、これを改善せず賃金が高い、労働に見合う給与水準ではないと嘆いているところもありますし、そもそも気づいていないが月のトータル収支はなぜかマイナスになると首をかしげているだけのところも見ます。
一般的に人が多くなるほど、作業場率が下がります。
それは1人で出来る仕事を2人で行う、3人で行うという作業ムラが発生してしまうからです。
そのムラは、新規作業が増えない限り人の増加と比例してムラ無駄が生まれて人件費は今日お話し額必要です。
それはやむを得ない農場コストでしょうか。
時給が見直しされるとき、賢い農場ほどそのリターンのために出来ることを考えてその方策を作り実行します。
それは、削減よりも生産上昇を意識しているのです。
でもそのための知力がない時、多くは無駄なことに1日を費やし無駄を作りムラを作り「1日頑張った」と残念な農場に至ります。
でも生産量は変わらず人件費は上昇し、これを高騰と呼びます。
でも違うのです。
人は考えて動くことで新しい知見が生まれ、それをイノベーションと呼び新しい時代に合う製品を作ります。
そのための人材はコストでしょうか。
そう考えられないのであれば、コスト増だから人件費を上げることは経営にとても厳しいだけで、恐らく何も変わらずコスト増という出費だけを見て何かできる機会を見いだせないでしょう。
一つ残念な話をしておきましょう。
その農場は人件費を上げてとても苦労をしています。
そのため人件費を賄うためにも、作業者に効率化を求めたそうです。
その効率化のため何ができますか、と経営幹部に尋ねたところ、知識がないため「何が問題なのかわからない」「家畜が悪いだけだから、そうしないようにしよう」と言いました。
とても残念なことです。
その背景には家畜を飼育するという基本がなく、それがなくても年数が経過でき経営幹部になれたという残念な人事異動をしていた経営者の無知がありました。
今の飼育環境も自動化が進んだことで機械が家畜を育てると錯覚してしまうようになり、飼養管理技術はいらないという誤認をする農場も多くなりました。
作業者は畜糞を片付けすればよい、他は機械が自動で行うから不要という程度です。
そして家畜の経済的な改良も進み以前より歩留まり、等級上昇も期待できるようになっているのに、以前と同じで多少は良くなったが、他は以前よりだいぶ良くなったという違いに気づけない。
当然収入に差が生まれますが、その違いは横並びではないため気づくことはありません。
でもある日よその農場よりなんか少ない実入りのようだ。その違いは何だろうと気づきますが、その答えを出す人材はいません。
だって人材は畜糞を片つければよいという程度しか育てていないからです。
その背景には家畜を飼育するという基本がなく、それがなくても年数が経過でき経営幹部になれたという残念な人事異動をしていた経営者の無知がありました。
今の飼育環境も自動化が進んだことで機械が家畜を育てると錯覚してしまうようになり、飼養管理技術はいらないという誤認をする農場も多くなりました。
作業者は畜糞を片付けすればよい、他は機械が自動で行うから不要という程度です。
そして家畜の経済的な改良も進み以前より歩留まり、等級上昇も期待できるようになっているのに、以前と同じで多少は良くなったが、他は以前よりだいぶ良くなったという違いに気づけない。
当然収入に差が生まれますが、その違いは横並びではないため気づくことはありません。
でもある日よその農場よりなんか少ない実入りのようだ。その違いは何だろうと気づきますが、その答えを出す人材はいません。
だって人材は畜糞を片つければよいという程度しか育てていないからです。
そしてコストは上昇し、数年に1回の好景気で収入は何とか安定していたのですが、飼料高騰、畜産低価格で実入りが悪くなり台所事情が悪くなりどうしようかと経営者が本気で悩み解決策を模索していた時の話です。
でもそれを統括する人材は気づく力もなく、解決策もなく、課題が見つけられない。
それで人件費をたくさん上げていて本当に良かったのでしょうか。
それで人件費をたくさん上げていて本当に良かったのでしょうか。
そしてこれから上昇する人件費上昇は本当に有意義なのでしょうか。
皆さんは人件費上昇はコストですか。
それともこれを機会に飛躍するためのスタートという意味でとらえることが出来ますか。
それともこれを機会に飛躍するためのスタートという意味でとらえることが出来ますか。