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カテゴリ: 経済

厚生労働省の中央最低賃金審議会は28日令和5年度の最低賃金額を全国平均で1002円とすることとしました。

これにより全国4区分の賃金地域を3地域に改編し、都市部のA地域、中間都市のB地域、地方部のC地域と改めています。

さて、今回から上昇する予定額は
A地域は41円増し
B地域は40円増し
C地域は39円増し
とそれぞれの地域ごとに40円を中心に上下1円の設定を予定しています。

まだ正式決定したものではありません。

これから、各地域での上昇見込み額について検討が行われますのでこの金額を下回るという事例は見たことはありませんが、この見込み以上に設定することを地域が決定することもありますので、農場で雇用される従事者の方が、今より最低で39円、最大41円まで加算しても今の時給換算で問題がないか、今のうちに試算しておくことをお勧めします。

多くは10月の早い段階で施行されますので、遅くとも10月下旬に支払う給与には反映しておく必要があります。

最近は、機械計算で総労働時間だけ入力すると支払う税込額を計算するソフトでそのまま点検せず支払い後で問題になるという事例もあるようです。

過大に支払うから細かく計算するが、過少はザルでいいでは、少し農場責任者としては残念なところです。

そして畜産業ではあまり聞くことはなくなりましたが、時給1000円では経営ができないという産業やお店があるとも言われます。

特に飲食店は解雇を強く進めた産業でもあり人を急募してもなかなか集まりません。
その要因に、もともと好待遇ではないことで、今更急募されても他の産業のほうが働きやすい、時給を上げても閑散期では希望時間まで就労できないこともあり、月の収入が不安定であり、あまり期待する業種ではないという声も聞きます。

つまり、他産業も人を求めているのであり好待遇であれば人が集まるわけですがその条件を提示できないという深刻な状況であるということを知っておくべきです。

畜産業でも最低時給+1円単位の端数切り上げ程度の募集で人が集まると考えているところもありますが、この先は965円なら970円といったものではありません。

965円で39円増しとなれば1004円となりますから端数程度とはいきません。

1004円なら他は1010円、1050円、1100円というところも出てきます。
そうなると、うちは1004円を死守するでは中々人は集まりません。

そうなると経営は厳しいから人減らしをする、退職者の後の補充をしないといったコスト増を防ぐというところも出てくるかもしれません。
でもよく考えてみると、今までの賃金で人が雇用できたのはその賃金が高いからでしょうか。

そうではなく、職を探した結果そうなった程度であり賃金が高いからではなく、近所である、仕事時間が希望通りであるといった要素であるはずです。
つまり他に希望条件に合致したときは乗り換える可能性があるということを知っておくと、これからの時給上昇は高い物と言っていられないということです。

今までの時給例えば960円は本当に高額だったのでしょうか、1004円になったら高給取りでしょうか。

労働者側はそうは見ていません。

雇用者側は本音を言えばあまり高くない賃金で、長い時間を働いてもらい、休日も土日は必ず勤務可能であるという希望があるはずです。
そうなれば、年末までいわゆる年収の壁も到達せず、労働時間調整も発生せず、そして賃金も最大年間100万円まで見ておけば良いといった所でしょう。
そんな視点はないという声もあるでしょう。

でも賃金は最低時給の端数加算はなぜそのようにしているのでしょうか。
そもそもそんな端数加算はしていないという潔い農場もあるでしょう。

その根底はいかに安く、退職しても補充が見込めるから高額で雇用する必要がないというのが理由と思います。

その分を社員や経営者に還元したいと言うでしょうし、結果はそうなっているはずです。

農場を見てみると、しっかり働いているのは社員という日本人であるという視野しかない経営者もいます。

でも筆者は農場を多くみている立場から見ると必ずしもそうではないという感じです。

確かに社員は1日の就業時間内を働きます。
1日8時間というところもあるでしょう。
でも時間給の人は集卵のみをするからせいぜい5時間までといった所もあるかもしれません。

その3時間多く働くから過剰に多く支払うというのも、どうなのでしょうか。

社員とされる日本人以外に外国人技能実習生もいる農場も多いと思います。
その方に主たる仕事を振り分け、日本人社員は何をしているのか。

そして高給取りと揶揄される幹部社員は日本人社員より更に多くの賃金を支払います。
ある農場では2人分の社員給与を1名の幹部社員に振り分けます。

当然財源が安定していなければ話になりませんが、畜産物は相場値引き取りが基本です。
鶏卵でも固定価格はありますが生涯一定ということはありません。

つまりどこかで、相場の下降がある時に収入の減少という影響を受けることになります。
でも人件費は安易に切り下げることはできません。
法令に違反するからです。

でも厳しいとなった時、経営者はどうするのでしょうか。
多くは間違いなく、欠員補充をしないということです。
雇用はコストになり支払いという出血を止める必要があるからです。
このような段階まで至る時多くは経営コンサルに相談して同じような回答をもらうはずです。

そして、既存労働者に対し次に行う削減に、諸手当の見直し又は廃止、残業時間の許可制という基本給を触らない法令違反にならない対策を次々打ち出すはずです。
でも手取りは確実に引き下げるという出血を止める方法を推進していきます。

この時点で更に人の離職が進み、限界人数に至ることもあるでしょう。

多くはこのようなところまで落ちぶれたときには廃業を選択するのですが、農場の多くは先代が築いた大切な名前を消すことはできない。
だから今は苦しいが踏ん張ってほしいと泣き落としをするはずです。
でもそうなった農場の多くは元には戻りません。

そのまま低空飛行してかろうじて延命してるだけで、返り咲きすることは見たことはありません。
返り咲いたと感じる時は、高相場に当たった年だけで、通常では赤字が、餌代が、人件費が、来月の支払いがと出費の重さを毎日痛感し、相場高の時にお酒を深く飲むように忘れ、また現実という年に戻り繰り返していき、延命しているということすら忘れていき毎日を過ごしていくというのが実情になるでしょう。

でも先代が、名前が、地元の期待がと理由をつけて細々延命していきます。
でも経験から返り咲くことはありません。
こうなっても、もがく姿は大変苦しいと思います。

では、どう考えるべきでしょうか。

人件費はコストであるという視点で見ると、どこまでいってもコストしか見ることはできません。
だから1円でも削減したいし無駄な物に支払いをしたくない。
でも人が働くことで家畜が成長し収入になる。
歩留まりの良い畜産物を作る方策を見つけ、実行し収益を上げるわけです。

ですから、コストと考えると一番安いのは人を雇用せず経営者のみで農場を切り盛りすべきです。
でも大変だから人を雇用するはずです。

この視点です。

では、農場にいる雇用者は皆さん全力で取り組みをしているのでしょうか。
高給取りの人ほど作業と言う力ではなく、頭を使う知力を使って何か貢献しているのでしょうか。
家畜や畜産物は餌を与えれば売り物になるということはありません。

確かに売れるでしょうが、歩留まり、等級といった収入ランクがあるはずです。

その高ランクにどのように生産を合わせていくのかという知力があり、そのために体力を使っているのでしょうか。
そもそも作業をする従事者と知力を使う管理者という明確な仕事分担があり賃金に差をつけて、期待値を高め企業に還元する。
その区分すらない農場もあります。
当然作業をする従事者に管理者も混ざり、ただ高い人材しかないという経営者の見立ての悪さもあり、これを改善せず賃金が高い、労働に見合う給与水準ではないと嘆いているところもありますし、そもそも気づいていないが月のトータル収支はなぜかマイナスになると首をかしげているだけのところも見ます。

一般的に人が多くなるほど、作業場率が下がります。
それは1人で出来る仕事を2人で行う、3人で行うという作業ムラが発生してしまうからです。
そのムラは、新規作業が増えない限り人の増加と比例してムラ無駄が生まれて人件費は今日お話し額必要です。

それはやむを得ない農場コストでしょうか。

時給が見直しされるとき、賢い農場ほどそのリターンのために出来ることを考えてその方策を作り実行します。
それは、削減よりも生産上昇を意識しているのです。

でもそのための知力がない時、多くは無駄なことに1日を費やし無駄を作りムラを作り「1日頑張った」と残念な農場に至ります。
でも生産量は変わらず人件費は上昇し、これを高騰と呼びます。

でも違うのです。

人は考えて動くことで新しい知見が生まれ、それをイノベーションと呼び新しい時代に合う製品を作ります。
そのための人材はコストでしょうか。

そう考えられないのであれば、コスト増だから人件費を上げることは経営にとても厳しいだけで、恐らく何も変わらずコスト増という出費だけを見て何かできる機会を見いだせないでしょう。

一つ残念な話をしておきましょう。
その農場は人件費を上げてとても苦労をしています。
そのため人件費を賄うためにも、作業者に効率化を求めたそうです。
その効率化のため何ができますか、と経営幹部に尋ねたところ、知識がないため「何が問題なのかわからない」「家畜が悪いだけだから、そうしないようにしよう」と言いました。

とても残念なことです。

その背景には家畜を飼育するという基本がなく、それがなくても年数が経過でき経営幹部になれたという残念な人事異動をしていた経営者の無知がありました。
今の飼育環境も自動化が進んだことで機械が家畜を育てると錯覚してしまうようになり、飼養管理技術はいらないという誤認をする農場も多くなりました。

作業者は畜糞を片付けすればよい、他は機械が自動で行うから不要という程度です。

そして家畜の経済的な改良も進み以前より歩留まり、等級上昇も期待できるようになっているのに、以前と同じで多少は良くなったが、他は以前よりだいぶ良くなったという違いに気づけない。

当然収入に差が生まれますが、その違いは横並びではないため気づくことはありません。
でもある日よその農場よりなんか少ない実入りのようだ。その違いは何だろうと気づきますが、その答えを出す人材はいません。
だって人材は畜糞を片つければよいという程度しか育てていないからです。

そしてコストは上昇し、数年に1回の好景気で収入は何とか安定していたのですが、飼料高騰、畜産低価格で実入りが悪くなり台所事情が悪くなりどうしようかと経営者が本気で悩み解決策を模索していた時の話です。

でもそれを統括する人材は気づく力もなく、解決策もなく、課題が見つけられない。
それで人件費をたくさん上げていて本当に良かったのでしょうか。

そしてこれから上昇する人件費上昇は本当に有意義なのでしょうか。

皆さんは人件費上昇はコストですか。
それともこれを機会に飛躍するためのスタートという意味でとらえることが出来ますか。

旅行会社JTBは6日今年の夏休みの旅行動向について発表しました。
それによれば、国内旅行者数は7250万人で前年比116%となり、コロナ前の水準まで回復すると見込んでいます。

レポートによれば、国内旅行の平均費用は4万円としており、国内旅行消費額は2.9兆円を見込んでいます。

昨年は2.29兆円でしたので、これを上回る見込みです。

同社アンケート調査では、消費者2万人に対し趣味や旅行にかける費用を減らしていないという設問に27.8%がそうであると答えており前年より2%増えています。

旅行会社HISも旅行動向調査を行っており、同様の回答となっています。
国内旅行を予定している状況は前年比106%と多めに推移しており、コロナ前と同じ水準と見ています。
旅行単価は8.5万円と前年より約1割多くなっています。

主な旅行先には千葉県が選ばれ大規模テーマパーク開業40年のイベントに期待している方が多いと言われます。
以下広島、大分、熊本、高知と並びます。
その他愛媛、徳島と四国への関心度が高いとされています。

JTBでは居住地域からどの地域へ旅行するのかという形で設問しており、多くは自身の居住地域へ旅行するという方が多く、次いで関東を選ぶ方が多い傾向に見えます。
また今年の夏休みに出かける場所として気になるところと尋ねると、自然の景色が楽しめる場所、自然が楽しめる場所、花火大会、水族館や動物園、リゾート型ホテルと続き、自然というキーワードが目に留まります。
そして花火大会と続き地方にとっても関心度が高まるのではないでしょうか。

観光は外国人頼みとも言われていますが、国内の行動制限がない5月の大型連休も国内勢が主流でもありました。
その予測も期待値が高くコロナ前の7割以上の回復があると見込むという旅行会社のコメントもありました。
JTBは予測として国内旅行者数は2450万人で前年比153%と予測していました。
実際は国内旅行はコロナ化前の水準まで回復し、航空利用者は全日本空輸で9割、日本航空はコロナ禍を超える利用がありました。
航空機利用者の多くは遠距離旅行とも言われ、一昔の安近短ではありませんが、今年のゴールデンウイークは遠方旅行が活発でした。

これにより畜産物も4月頃から買い付けが始まり畜産相場も堅調でした。
ただ、宿泊施設等お客の受け入れ施設には課題が残り、従業員不足により稼働の制約もあると言われます。
つまり客単価は上がっても本格稼働してフル稼働までではないという施設も存在したということになります。

さて、賃金の低下(毎金統計では13か月連続の減少)が話題になっている現代ですが、明らかに景気への意識は明るい希望をのぞかせている傾向が続いています。
コロナによる行動制限はなくなり、観光産業の回復がさらに期待できる状況もあります。

畜産物の消費に影響しないと言われますが、宿泊業では施設単価が高いほど必ずしも国産畜産物は疎遠になるということはありません。
そして大事な点は宿泊のみならず地域飲食店も栄えるということも知っておくべきでしょう。

先ほど、自然と言うキーワードと言う話をしました。

つまり、都市部の人が集まる施設や商業以外にも、地域の自然とそれを満喫できる環境と花火大会という地方イベントにも十分活路があるという意識です。

何もないから人が来ないではなく、「特別便利ではないが、人が来る」という時代ですから勝機はありますし、そこに畜産物の活路もあるのです。

観光地への移動は鉄道が多く、次いでレンタカーと言った自家用車による移動もあるでしょう。
交通手段は様々ですが、大事な点は不便と言われる地方でもレンタカーと言った自動車で尋ねるような時代なのです。
だから何かで集客できるのです。

何もないを目玉にしても人は集まりませんが、自然やその体験、花火となれば別でしょう。
少なくても今年はこのキーワードは大きな意味を持っています。

そして畜産物の提供。
有名な宿泊施設への納品が畜産物の消費貢献ではありません。
地域の宿泊地、飲食店、土産物店様々にチャンスがあり消費される機会があります。

うちの県は、うちの地域は縁がないではなくこのような人が大きく動くこのイベントにどう乗っかるのか。
そこが試案のしどころになるのではないでしょうか。

チャンスはきっかけから実績へと変わります。

ただよその夏休み程度で見ていたら、それはただの話題だけで今日お話しした意味がなくなります。

地方は何もない。
確かにそうかもしれません。
でも私も地方に暮らしそう思うこともありますが、大事なことはその視点がその地域の基準になってしまったということで、もっと広い視野でみるとチャンスがあるという点を見流しているということです。

一部の地方は、町や商工会と連携し観光誘致をしています。
その中に地域特産品として畜産物が提供されるというところもあります。

確かに一個人、農場でどうにもなりません。
ですがその地域と連携したらどうでしょうか。
必ず大きなきっかけを作り出すはずです。
一人が発案し多くの人が考えて、多くの選択肢を作り、成功への行動が生まれる。

今年は間に合わないというところもあるでしょう。
でも9月のシルバーウイーク、年末年始とまだ連休は続きます。
そして来年の夏休みにつなげることもできます。
準備期間が長いほうが成功への精度も高くなります。

毎年聞く夏休みと旅行動向。

でもそのような情報から何かのきっかけをイメージできるほどの柔軟な考えを忘れていては、何も変わりません。

何もない、何も思いつかない、ただ畜産物を作るのにコストだけはかかるという目の前の課題だけではなく、少し広い視野を持ってみてください。

余談ですが、先ほどの千葉のテーマパークの話です。
若いころは1つでも多くアトラクションに乗るために園内を駆け足していましたが、その時家族連れでしょうか。
少し高齢のご夫婦が園内のベンチでずっと座っている姿を思い出します。
せっかく1日楽しめるのにもったいないなと感じたものです。
ですが、その年齢に近づき思うのは、そんな走るほど楽しむより雰囲気を楽しむという考え方もあるのだと感じるようになりました。
つまり思い出作りや家族との思い出はアトラクションだけではないということです。

ただ畜産物を作るだけではなく、何かをイメージするきっかけになればと思います。

全農は22日、次期(7月から9月の第2期)の配合飼料価格を現在より2000円引き下げることを発表しました。

値下げは3期連続で昨年より約5000円の引き下げになりました。

昨年の第2期は12000円の引き上げになり、多くの畜産家は予想はしていたものの大変重い負担になると落胆されていたと思います。

本年は大豆や原油が昨年よりは安いことで総じて飼料価格が安く推移することになりました。
全農の設定価格の説明(飼料情勢)にもありますが、コーンは緩やかに上昇をしていることや、海上運賃の底堅さ、為替が円安に振れていること等が説明されています。

現在ドル円は143円まで進んでいます。
米国の指標で上下に振れており値幅が大きくなっている状況です。
特にロンドンと米国時間では円安に振れやすい流れが出来つつあり、昨年のような1か月に4円、5円と大きく円安に振れていくことはないものの、日本の政策から円高に向かいにくいという現実もあります。

まもなく、日銀や財務省から過度の円安は好ましくないという旨の発言が聞かれるようになるでしょう。

昨年の日本単独の為替介入は145円台で行われました。
同額で行われるということはないでしょうが、昨年同様円安に振れやすい情勢になっているという点には留意しておきたいところです。

さて、前回のブログでも紹介しましたが、あらゆるものが高くなっている状況になっています。

ガソリン価格は5週連続の引き上げが続いており19日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は170.10円となりました。
170円台は昨年9月以来になります。
現在国の補助額は縮小に向かっており、1リットル9円の補助額で販売されています。

このため、ガソリン価格が上昇していくことで、補助額が変わらないためこの先円安による影響が大きくなる原油相場に左右されることになり、飼料価格が安くなってもこのような商品に相殺されてしまうということもあるでしょう。

電気代も早いところでは6月使用分から価格が改定されていると思います。

これから電気を大きく使う時期になりますが、大事な家畜のために大きな節約も難しいところかもしれません。
拝見している農場の多くは既に出来るところは対策を講じているところも見られます。
電球が、LEDタイプに置き換えて節約されている農場、従業員向けのエアコンの設定温度を変更して節約をしている農場もあるでしょう。

養鶏では、日中が暑くなるためウインドレス鶏舎では暑い日中を夜間として昼夜を逆転させて一番電気を使う時間帯を夜間にして鶏の活動を制限させるような所もあります。

様々な工夫をしてこの高コストから少しでも節約に結び付けるような努力をされている農場もあると思います。

7月から餌は安くなります。
おそらく実勢価格は9万円台前半まで落ち着いてくることでしょう。
それに飼料価格基金からの補助もあり、8万円台中盤までの価格設定で試算される農場も多いと思います。

いかに人を効率的に動かして、家畜への時間を投入できるのかが農場存続のカギになるといえます。

ただ自然的に飼養管理をされているだけでは、相応の収量にしかなりません。

家畜へのストレスをいかに小さくできるのかが、この夏収入維持できる農場になるのか、そうでないのかという分かれ道になることでしょう。
収入増加は相場が上昇するだけではありません。
収量が多くなるのかどうかにかかっています。

であれば、みな同じ相場値であればその相場に多く畜産物が出荷できるように努力するのが農場の仕事になります。

ただ暑い、だから家畜はバテて収量が少ない。

それは当たり前ではなく、何かできる手を考えることから少しでも削るコストがあると思います。

今回の2000円の値下げは僅かなものかもしれません。
でもその僅かでも削減できたことは、市場を知る私たちからすれば、とてもすごいことに見えます。
足元は高くなるというベクトルに商品、為替が進んでいるのも現実に見えます。

夏は家畜は食べないから安上がりと言う方もいますが、その夏もあっという間に残暑の頃、そして秋へと進んでいきます。
涼しいと感じる彼岸の頃には家畜たちは適正な環境から夏に食べることが出来なかった分を取り戻そうと食べだす時期にもなります。

そして多くは商品化率から歩留まりの良い商品が取れにくいというお話も聞く時期になり、どうしようかという話題も多くなる時期です。

今は、暑いから何もしないではなく、何かできることを考え秋を迎えるという時期でもあります。

考えそして進んでいく時期です。
暑い話の中、台風という話題も聞くようになるでしょう。

そうです。

1つのことだけ考えていれば良いという時期でもないのです。
同時進行になる時期でもあります。

さて、配合飼料価格はわかりました。
では、皆さんの農場は何をしてこの夏を過ごしていくのでしょうか。

ただ暑いそんな考えで進んでいくのも良いでしょう。
でも優秀な経営者がいる農場は、優秀な人材が農場を支えているのもまた現実です。

何ができるのか考えていくことが大事な時期です。
もうすぐ暑い夏がやってきます。

最近はあらゆる物やサービスが高くなっており、消費者は様々な工夫をしてこの時代を過ごしています。

毎月勤労統計調査を見ますと4月の調査では前年比3%の低下となっており、13か月連続減少となっていると言われます。
本年は大企業の賃上げ、パートアルバイトの方々にも適正な処遇改善と少しでも賃金が上がるような話題もありました。

私たち畜産家も同様に様々な物資が高くなっていることを肌で感じます。
配合飼料価格、電気代、ガソリン代、人件費・・
どれを削り、いかに資金を調達するのかという課題に取り組まれている農場もあることでしょう。

様々な消費行動の調査もありますが、どれも消費者は食料品価格が高くなったと感じる方が半数以上と物の値段が高くなっていることを実感しています。
物を売る側である畜産業では、できるだけ負担感のない状態で購入をしていただきたいと思いますが、残念ながら負担感がないとは、低価格という不適正な価格になることを意味しており難しいと感じます。

お金を節約するということは何かを削るか収入を多くする以外選択肢はありません。
調査では節約したものを挙げてもらうと、外食・食料品・公共料金の順で節約行動に移っていると言われます。
特に外食を減らしたと答えた方が多く、畜産物の接点になる外食にお金を向けにくいという姿があるようです。

日本フードサービス協会の4月の動向調査では、客数が前年比で106%と昨年より多くの方に利用があったことがわかり、コロナ感染分類が変更になり人々は様々なシーンで外食店を利用していることがわかります。

少しデータを読みますと、売り上げが前年比115%、ファミレスが前年比118%、ファーストフードが112%、居酒屋・パブは140%とお酒を提供する店舗も久々の活況であったとされます。

これを裏付けるように、店員不足というキーワードや時給を引き上げて人材確保を意識するような記事も散見され、外食はお客様の戻りのために出来るだけの対策に取り組まれていることがわかります。

4月のデータですから、例えば会社や学生の歓送迎会、春休みの中での家族との食事、インバウンド回復からの来客、社会人として新しい第一歩を踏み出し自炊の中の外食というシーンもあるでしょう。

一見節約とは無縁に見えますが、多くの方は外食を毎食としているわけではないという点です。

クロスマーケティングでは2022年から外食の頻度を尋ねています。
それによれば外食の頻度を週1回以上としている人が全年齢平均からみて30%で月1回以上と答えた数が56%となっています。
若い方ほどその数値は大きくなる傾向があり、20代で週1回以上は31%、月1回以上は58%となります。

細部を見ますと、リクルートグルメ外食総研の調査では、2022年9月では、外食頻度は3.74と大体3.7近辺で2022年を推移しています。
一般的に一人暮らしの方のほうが外食を利用する傾向があり、男性で週1回以上利用するは4割、女性は2.5割と少し差があり、平均すると3.25となります。

これを基にクロスマーケティングの外食頻度を見てみます。
週1回以上の外食頻度を20代では3割、月1回以上は5.8割でした。
年齢が進むとしても50代までは週1回以上は3割と安定して推移し、月1回以上でも5.7割と大きな変化はありません。

では、1年間どの店舗を利用していることが多いのか(複数回答)と尋ねますと、
20代ではファーストフード店が多く、次いで寿司・天ぷら・焼き鳥等和食店、ファミレス、ラーメン店、ハンバーガー店と続きます。
30代では寿司・天ぷら・焼き鳥等和食店が多く、ファーストフード店、ファミレス、ハンバーガー店となります。
50代ですと、寿司・天ぷら・焼き鳥等和食店が多く、ファミレス、ラーメン店、そば・うどん店と続きます。

若い方はファーストフード店になじみがあり、次いで、すし店、ファミレスとありラーメン店と広い範囲で外食を楽しむ傾向があります。一人というシーンや、友人といったグループでの利用もあるのでしょう。

年齢が進むと、寿司店、ファミレスと家族で楽しむというシーンがあるのかもしれません。
そしてハンバーガーも家族で利用したり仕事で利用したりと使い分けるのかもしれません。
年齢が進むことで、50代ではうどん・そば店を利用する世代になり、家族と一人でのシーンの使い分けがありそうです。

さて、畜産業では畜産肉の登場が見られるファミレスや焼き鳥等和食店では国産肉を使用するようなイベントが良く見られます。
居酒屋店の方が使用される頻度は多いように見えますが、調査では来店店舗には含まれておらずわかりません。
先ほどの日本フードサービス協会のパブ・居酒屋業態では4月は119%の客数と好調でした。
ただし夜間の利用は依然厳しいことから、二次会と言ったシーンはあまりないということが伺えます。

ですが国産を目玉に集客を期待し、消費が期待できる業態は個人が週1回利用しているとしても、ほかにインバウンド需要もあるでしょうし力強い消費を牽引してくれることと思います。

ファミレスも同様に例えば すかいらーく系列のジョナサンでは北海道産牛肉を使用したハンバーグもグランドメニューに紹介されています。

家庭で消費されることが一番ではありますが、国産と言えば高いというイメージが強く、最近では牛肉も高い、豚肉の良い部位は高いといった物の値段が高いことに敏感になっています。
鶏卵も同様で、1パックは総務省小売り物価統計調査の4月で298円と最高値を示しています。
このこともあり小玉ミックス190円前後の商品を充実して買い得感を前面に出す店舗も増えました。

では外食ではと言えば、一時期の品不足もだいぶ改善され、鶏卵メニューも充実してきました。
国産使用が主流ですから外食は大変良いお客様でもあります。

最近の話題として、代替肉・代替卵に関する調査もクロスマーケティングは行われています。
とても関心ある商品であり消費者の目線を知る機会でもあります。
それによれば、代替肉を知っていると答えた方は50代以降に興味があると回答しており、実際に購入したことがあるという方は指数6でフェアートレード食品と同等程度と少ない傾向です。

代替卵についても同様で、興味があると答えたのは20・30代がわずかにある程度で、購入したことがあるという方は指数1で、昆虫食と同等の数値となりました。

むしろ消費者は、地産地消やオーツ麦といったものに関心を持ち購入し、代替肉卵は購入までに至るという傾向はまだ高くはないのでしょう。

これは畜産物を扱う私たちにとっては良いことでもあります。

健康に良い、環境にやさしいという声が聞こえるこの商品ですが、畜産物の代替は生産者にとっては今すぐの脅威ではないものの、消費者の関心が移ることでシェア構成が変わる可能性もあるからです。

ですが、まだそこまでは熟していないようで、まだ畜産物からの置き換わりが起こるということはないのでしょう。

しかし外食産業は食材価格の高騰、人件費や光熱物流費用の増加から値上げを余儀なくされています。
最近では、日本マクドナルドが都心部の店舗の価格を見直し数十円ですが値上げを7月19日から行います。
国産食材を使用するリンガーハットも7月5日から数十円値上げをします。

今年度値上げをする予定の企業は半分の5割を超えます。
すでに昨年値上げをした企業は全体の9割と価格を引き上げてはいますが、昨今の食材費用、人件費、物流と言った様々なコストを吸収できていないという厳しい現実もあります。

実際価格を引き上げることで一定数は客数が減っていると答えているようです。
特に宅配店舗は厳しく客離れも心配されています。

そして家庭向け消費の食材費用の値上げ、調味料や油と言った基本的な食材も値上げが続いています。

あらゆるものが高くなり、先ほどのように賃金が上がらず(上げが不足している)では少ない予算でどのようにやり繰りをしていくのかという話になり、消費に水を差すようなことにもなりそうです。

生産者側は出来る方法はありません。

ただ消費に支障のない価格でお客様に商品が渡ることを期待するしかなく、安定した消費を期待したいところです。

7月からは電気代も値上げとなる地域も多いでしょう。足元の円安進行も心配なところです。
生産者側、消費者の方々共に影響を与えます。

珍しく電力会社から値上げに関するハガキが届きました。
国の審査が終わり6月から実施するというものです。
そこには、1kwhあたり約5円の値上げを予定しているということや燃料調整費を見直し前より引き下げるというものです。但し基準価格は2倍に改めるというものです。
その算出根拠となる換算係数は原油・LNGの係数を引き下げ、石炭を0.4引き上げて算出するというものです。
確かに豪州の石炭価格は昨年よりは安くなってはいますが、LNGも安く、原油も昨年比よりは安く燃料費も比較的安く調達は可能になります。
柔軟な調達方法を模索していただきたいと感じました。そして安い時期だからこそ少し多く購入し保管し冬に備えてほしいと思いました。

何か解決できる方法を国や地方は考えていただきたいと思います。
生産者側に補助をつけていただけるのはありがたいことでもあえます。
ですが、消費者に何も補助なく商品を今まで通り購入していただくことも厳しいことでもあると感じます。
少しの値上げに敏感になっているこの時代に、少しでも緩和できる政策を期待したいと思います。

今年に入り配合飼料価格は3000円程度の値下げとなり最高値を付けた昨年7月期(第2期)価格より幾分一服しているようです。

足元を見ますと、エネルギー価格は国の補助があり電気、ガソリンは高いとはいえ高騰して立ちいかないというほどではないでしょうが、今月から電気料金は改定が始まり、これから本格的に消費する時期に不安がつきまといます。

ガソリン価格も9月で補助を終了するとも言われ、夏場にかけて電力代が高くなり、8月頃は猛暑もあり最高額になる時期の支払いが9月、10月となるところにガソリン補助が終わるという支払いの不安もあるかもしれません。

さて、夏季は多くの家畜は食下量の低下が畜種問わず現れ、餌の消費が鈍くなる時期でもあります。
第2期は一般的に値上げがあっても購入量は少なくなるため、負担増であっても著しい負担にはなりにくいとも言われます。

ですが、昨年のように1万円を超える値上げは、購入量が少ないと言っても大きな値上げになり、その先第3期も価格維持となることで冬にかけての消費量増加になるところで大きな負担になる農場も多かったことでしょう。

配合飼料の原料を見ますとコーンは南米を中心に豊作となりますが、コーン相場は1ブッシェル650セント平均とあまり価格は下がりませんでした。
最近は世界的な需要変化もあるのでしょうか550セント近辺での取引が多く、一見価格が下がり良い状況にも見えますが、この数日では580セント近辺の取引になり下げ止まりが見られ、この先の取引が注目されます。

輸送船運賃もコーン豊作で需要が増え上昇すると見込まれていましたが、現時点まだそのような状況でもなく運賃価格は昨年より数割下がる状況が続きます。

そうなると次は下がると感じてしまいますが、問題は為替変動が急激に上昇しているというところに注意が必要です。

取引通貨となるドル円は今年最高値となる140円を指しました。昨年の150円台と比べれば大きな違いではありますが、注意したいのは現在の飼料価格の算定基準と大きく離れているという点です。

今年1月は130円台前半で取引が始まり、緩やかに上昇している為替相場ですが3月7日の137円をつけて下落をしていきますが5月に入り円安が進んでいき、米国金融不安と諸情勢もあり比較的円高に振れていくわけですが、解決していくことや日本の金利政策もあり再び円安へと進んでいきます。
中旬には再び137円台、下旬に140円台となります。

この要因に、米ドルとユーロ取引に影響がありユーロが弱いことで全体的米ドルと取引がある通貨は総じてドル高になる傾向があるようです。
また日本株式市場へ外国資金が投入され続けていることで、リスクヘッジの観点で円売りを行いドルを高めた運用をしているとも噂されています。
つまり日本株式を購入する海外機関投資会社は米ドルで取引をしていますので、ドルは低いより高いほうが相場変動にもある程度対応できるというリスクヘッジが期待できるからと言われます。

ですので日本株への資金流入が続くと円高に振れにくいとも考えられ、この先も円が高くなるとも言えず飼料価格設定では注意が必要になりそうです。

では、7月期はどうなるのでしょうか。

まずコーン相場は現在平均570セント程度と見られますが、この先600セント平均となるようにも見え、この先価格上昇が予測されます。
大豆かすも大豆そのものが昨年より低い傾向が続いていますので、現状と同じ、やや安いと考えることができそうです。

輸送運賃も、昨年より下がっており上昇基調でもありませんが、下がった分を為替変動が吸収してしまうということもあり得ますし、運航コストとなる原油価格の再上昇に注意が必要になりそうです。

今年春先の1バレル原油価格は80ドル程度の推移でした。
その後世界経済の影響や消費国が新型コロナウイルスからの回復が想定より低いため需要減から生産調整をしていること等により相場価格を下げる展開に見えます。

3月には66ドルとかなり低い先物価格になりました。
その後は70ドル程度に回復し少しづつ上昇を始めていくように感じます。
生産増加抑制をすることで市場価格を維持する方向のようですから、少しづつ上昇していく傾向になるでしょう。

参考までに6月限(引き渡し価格)相場値は77ドルとなります。

7月は北半球は夏になりエネルギー需要は大きいものではありませんが、発電コスト(電力会社の仕入れ価格)では、原油の上昇は秋以降の価格設定に影響をあたえることになります。
また、その算出基本となる為替はこの先次期価格期間中は130円台後半から140円前半まで推移する可能性があり、米国経済指標により左右されることと思いますが総じて、円安方向へ流れると予想されます。

そして国内では人件費上昇とエネルギー価格が高いことによるコスト増が続きどこかで調整を必要とする可能性が高くなるでしょう。

このことから、現状価格と同じか数千円の上昇となる可能性もあります。

どちらにしても、今までと違い原料が高い状態からさらに一段高に至る状況ではなく、原油も低いとはいえ、コロナ前と比較しても高くそれが継続しているという状況。
そして円安に振れやすい国際情勢から輸入するに一段のご苦労が見える状況です。

次期飼料価格は今月中旬には公表されることでしょうが、安くなってもそうでなくても餌代以外の様々な物が高くなっている中の農場運営になることは変わりありません。

やはりいかに飼料効率を高めて良い畜産物をとることができるのか、さらに考え続けていく時期なのかもしれません。

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