全農は21日10月から12月までの配合飼料価格改定額を発表しました。
配合飼料価格は据え置きとなります。
飼料原料が今期より値段が小幅上昇や輸送賃が下がっていること等が要因です。

このことから、年内いっぱい飼料価格は基本的に現在と同じで推移すると見込まれます。

10月より、国の配合飼料支援事業が開始されます。
このほかにも都道府県の配合飼料補助事業も継続しており、少ないですが市町村独自の給付事業もあります。
確認いただき有効に活用いただきたいと思います。

生産される皆様にとっても現在と同様かわずかに負担軽減になると思われますが、安堵できるところではありません。
現在、為替は145円程度を試す展開になっており、日銀の為替介入意識が少しづつですが意識されていきます。
ですが、一部経済エコノミストでは150円程度の為替水準もありうるとしており、為替変動はこの先も見通しにくい状況が続きます。

また、配合飼料の原料も少しづつですが、上昇気配が見られます。
コーンは7月下旬の5.7ドル程度が底になり再上昇しています。
現在は6.9ドルと7ドルを再びうかがう展開になりつつあります。
今期はおよそ7.5ドル程度の算出と見込まれますのでそれに近い状況が少しづつ近づいているとも言えます。

原油は下落が続いており、現在86ドル程度です。
この先上下あるものの再びの100ドル越えはあまりないと多くのエコノミストは言います。
10月限は83ドル付近で終了しておりますので、米国金利動向から発生する景気後退を織り込んでいるのかもしれません。

次期は今期の水準を超える可能性もあり得ますので、心配なのはこの先1月になるかもしれません。

多くは、年始相場は安くなる傾向があると思います。
そこに価格改定となれば大きな影響も予想でき、今からできることを探しておく必要があります。

畜産物の動向を見ますと、酪農では国の補助事業が拡充されます。
生乳の取引価格が10月より見直しがなされ、製品価格も11月より多くのメーカーが値上げをすることを発表しています。
製品の値上げ幅は約4%から10%を超えるものと幅があります。
心配なのはこの製品価格の上昇を消費者がどのようの受け入れるのか注目されます。
ですが多くの生産者はそれでも厳しいという声も聞きます。

鶏卵はこれから製品への需要が強まることから市場価格が上昇されると思われます。
現在全農東京のMサイズ規準値は225円となり上昇が見られます。
この要因には飼料価格高騰により餌付け羽数の減少がみられることにあるとされます。
現在餌付けは本年1月から7月の集計を見ますと、全国前年比95%となり減少しているという数値です。
ですが、細部を見ますと昨年比から大きく上昇している地域も散見されます。
全国生産量2位の千葉県は134.2%増加があります。
ですが全国的には減少傾向が見られ、生産1位の茨城県は86%、生産3位の鹿児島県は96.7%と前年割れとなっています。

北海道では道内生産量1割の農場が防疫措置を受けたことで大きく生産量の低下とホクレン札幌の鶏卵価格の上昇が続いています。
ですが、月ごとの餌付けを見ますと昨年並みまで回復していることが分かります。
つまりタイトな供給はもう少し先で終焉を迎える可能性があるということです。
この先は景気や観光による需要増加に期待したいところですが、鳥インフルエンザの話題もまもなく聞くような時期になり生産量に大きな影響を与える要因もあります。

配合飼料価格が決定され、年内まで概ねの農場生産額がどれくらいになるのか予測しやすくなりました。

皆さんの農場はどのような試算になったのでしょうか。

乳牛に限らず、肉牛もご苦労されていると聞きます。
子牛のセリ価格は減少傾向が続いているとされ飼養することの難しさや肥育して売却時の収入が見通せないというのも要因でしょう。
外国産牛肉は毎月のように販売価格が上昇していきます。
これは外国の仕入れ値上昇が要因ですが、円安による仕入れ割高もあります。
外国産牛肉の販売価格は仕入れてから3か月後に現れると聞きます。
ですから現在も上昇している仕入れ価格を見る限り上昇していくのは仕入れの原則通りなのかもしれません。

国産に回帰するというわけではないことから、やはり外食や消費者の購買意欲上昇の対策が必要になっていくのかもしれません。

さあ年末に向けてあと3か月と数日となります。

皆さんの農場から生産される畜産物は年末需要に大きく貢献していくはずです。
ですがそのためにはコストだけを見ていては何も変わりません。

大事なのは収入をどう上げていくのかということです。

歩留まり、商品化率いろいろ言葉があります。

そこに向けてどのように工夫されていくのでしょうか。
まだまだご苦労が続きます。
ですがこの困難さを乗り越えた農場にはきっと明るい未来がやってくるはずです。
今は静かに、動じず前に向けて歩いていくことが一番の利益になるはずです。