シカゴコーン相場は7月に入り下落基調が続き、6月の7.5ドル前後の価格から急落し、13日には5.9ドルまで下がりました。
本日14日(9月限)は6.04ドルですが、大きい下落です。

この要因にアメリカ農務省が12日に発表した世界の在庫量が、予想より多いことから売り圧力が強まり値を下げている状況です。
アメリカの生産量も先月より増える見通しで、作付け面積も想定より大きいことも売りにつながる要因で、消費する側としてはとても良い状況です。

原油相場も低下気味です。
NY原油相場の8月限は14日午後時点で96.3ドルと節目となる100ドルを割り込み、世界経済の低迷を意識した取引が続いています。
ただし、売りが先行した後は買いが入る状況で売り買いが交錯しています。

この状況が続きますと、すぐに価格反映がある燃料代(ガソリンや軽油、灯油等)は翌月にかけて下げが続いていくものと思われ、配合飼料の搬送や畜舎の保温燃料代に一服感が出てくることでしょう。
なお、電気やガスといった農場を動かすための動力費は、価格反映が遅延していく傾向がありますので、価格が安い時期から半年後に反映されるといわれるのが一般的で、年末までは高止まりしていきます。

次期(10月から12月)の配合飼料価格改定はしばらく先ですので、この夏はまだ我慢し、耐えるような時期が続きます。

心配な点もあります。

現在ドル円はおよそ24年ぶりの円安が進んでおり、1ドル138円台後半まで円安が進み、139円を目指しているようです。

アメリカの金利上昇と日本の低金利政策の継続が安定して進んでいく思惑から、ドル高が進んでいます。
すでに、6月の為替水準は1ドル130円でしたので、この1か月で8円の円安が進行しており、かなり急激に変化しています。

今期の配合飼料価格の算定為替はこの130円前後を見ていると思われますので、原料価格が下がっても、為替変動分で消滅し、逆に上昇していくという可能性もあり、予断を許すことができない状況です。

この先、黒海からの穀物輸出の可能性という話題や、コーン等の生育状況により相場が反転する可能性もあります。
配合飼料価格の改定は9月中旬ごろに公表されますのでまだ2か月先ですからまだわかりません。

すでに、乳用牛の農場では赤字に転落しているという声も聞きます。
バター在庫がおよそ3年ぶりの在庫減になり、日本国内が外食や土産物の需要が増えていることが分かります。
この先も、観光需要や付随する土産物加工需要、外食とますます需要が高まると思われます。
厳しい時期が続きますが、もう少しの辛抱かもしれません。
飲用牛乳の需要は中旬には落ち着くと思われます。
できれば加工向け等に振り向けて廃棄がない消費に発展してほしいと思います。

豚肉は、堅調で上物は平均600円を超える例年の取引が続きます。
この時期を有効に活用し生産活動を維持していただきたいと思います。
牛肉は、高額となる牛肉は不振が続いています。量販店も「消費者の厳しい買い物が継続していることがわかる」といいます。
現在、卸は消費が弱い状況でも枝肉を購入しており相場は堅調に推移すると思われます。
ですが、高い値段で枝肉を仕入れるため8月の盆需要に期待をしていると聞きます。
鶏卵は例年の7月から見れば高く、一息つける状況ですが配合飼料価格の高騰は大変ご苦労されているところです。
この先も、大玉を中心に相場は堅調に推移されると思われますが、猛暑が続く場合Mサイズ以下の規格は下がる可能性もあります。

このように、過去最高額となる配合飼料価格は、値段設定の基本である原料(コーン、大豆かす)も相場低下気味になり改善できる条件が整いつつあります。
ですが、為替はこれを相殺するような円安が進行しており、まだ安心できません。

国の配合飼料基金は、昨年比112.5%で発動する時限緩和をしていますが、すでに昨年の高価格と同額か、わずかに高い状況では給付される金額も少なくなっていきます。
国は、本日耕種農家に対し、肥料の補助を行うことを発表しています。上昇差額の7割を補填し6月よりさかのぼって補填するとしています。
畜産業にも、ぜひこのような思い切った補助をつけていただきたいと本当に思います。

皆さんの地域の補助事業も活用し、できる限りの有効利用を考え農場を守っていきましょう。