昨年から配合飼料価格の高騰が続いており、全農配合飼料価格は前期に比べ幾分値段が下がっているとはいえ、高い状態が続いています。

下がるとはいえ、牛を飼養されている方は、今回の値下げの恩恵はなくむしろ大豆の価格上昇分配合飼料価格が高くなっています。
来月には次期価格(1月から3月分)が発表されますが、更なる値下げになるのか不透明でもあり先行きが心配です。
そのような中、国が実施する配合飼料価格安定制度が発動しています。現在の補填金の原資である基金は11月時点約6000万円となりました。
8月には約390億円でしたから急激な減少となっています。

補正予算の中に基金への追加を予定しており対策を講じるとしています。

配合飼料価格は高くなっています。
畜種問わずご苦労されていることと存じます。
報道によれば、最高値の配合飼料は1t当たり7万円台で、最安値でも4万円台となり配合内容により大きく異なります。
農林水産省が公表する配合飼料小売価格の例を見ますと、その上昇率の高さが、いかに急激に上昇したのかがわかります。
3カ月おきの価格改定で表記されており、21年1月からは毎期改定の都度5000円程度の値上げとされています。
概ねその他の畜種でも同様の上昇となり、飼料価格が違うとしても毎期5000円程度の値上げであることにはかわりません。

例えば、2020年7月の成鶏用配合飼料は1t 80060円で、1年後21年7月は95400円と19%程度の上昇となります。
たかが19%と思うかもしれません。
ですが、1t当たり45000円で購入していた餌が1年後8550円余計に支払わないと同じ銘柄の餌が購入できません。
1カ月を1tで済むわけがなく、1カ月60t、100tとなるはずです。
つまり、この量を購入するためには60tであれば51万円増加、100tであれば85万円の増加になるのです。
量が多いのでわずかな上昇が重荷になるのです。
そして支払いが優先される出費先です。
遅延は納品の停止のみならず、一括支払いができないために農場によっては餌メーカーの支配を受けることもあり、たかがの上昇ではないのです。

必ず支払わなければならない商品を毎月購入している現状があるのです。

ですから、銘柄の選定をして安い物を購入したりするのですが、安いものは配合内容が今の畜種、日齢に合わない物を購入しなければならないことを意味します。
ですから生産量の減少や家畜の健康状況に影響を与えることもあり、このような配合については相談をいただくことが多いのです。

先ほどのように、一部の農家さんは安い配合にシフトする傾向があるのですが、畜種によりますが悪い影響を与えることも散見されます。
この見極めができるのかどうかで、農場経営が変わると言っても過言ではありません。

さて、配合飼料の基金が枯渇する状況になりつつあります。
国の補正予算において基金への手当てがあることで先ずは年度末までは安泰なのかもしれません。
ですが減少率は著しいといえます。
3カ月で389億円が支払いされています。1カ月129億と少しが必要になっています。
今期は牛を除き僅かな値下げですが、来期は不透明です。
横ばいになるのか、上昇に転じるのか。

アフリカでの新型コロナウイルスの変異株が確認され、世界的な株安になっており株式相場、為替相場に変化が見られます。
株式相場は景気を見る上での指標にもなり、安くなることで景気に対し懸念されることにもなります。

シカゴ先物コーンを見ますと、本年2月が底値で以降は右肩上がりになっています。
26日の終値は1ブッシェル5.8ドルと売り買い交錯する中高値になり取引を終えています。
為替は27日終値では113円60銭台と急激な円高となっています。
恐らく証拠金取引のストップロスを巻き込んだ急激な円高とも見え、一時的の可能性もあります。
外貨支払いのための準備がいわゆる5、10日にありますのでドルの買い付けは今後も進んで行くと見ます。

原油先物も国際社会の思惑が交錯し1バレル68ドルと急激に下がっています。
飼料を輸入に頼るため原料、購入貨幣、輸送費の原料が下がることはとても良いことですが、
日々の価格差額を見ても購入の参考にはなりませんので、まだ安心できるという状況だはないと思います。


補正予算が閣議決定され基金への資金が手当てできました。
しばらく安心でもありますが、畜種により畜産物価格の安定を望む方も多いと思います。
師走になりますが、ある調査では全国7割の企業等は忘年会と言った集合会合を開催しないと言っています。
つまり、食材の必要性がないことを示し12月の畜産物の動向が心配されます。
また、百貨店と言った高額販売店への関心が薄れており、必要な物だけを買うという意識が次第に強くなっているような時代になります。

食材価格の上昇と、光熱費の上昇に労働者の賃金横ばいと経済的にはマイナスになる傾向が続いています。
いわゆる悪い円安と呼ばれる症状ですが、根本的な解決には国の力が必要です。

配合飼料基金が発動しており正常化が待たれますが、国内の消費が堅調に戻ることを期待したいと思います。