GO TO事業が開始され、先行したトラベル事業は1カ月を経過しました。
当初は、宿泊業に大きな好影響を及ぼし付随する畜産物の消費増加があると期待されていました。

しかし、経済情勢が大きく変わり、主要消費地東京の除外、新型コロナウイルスの感染再拡大と人の移動の自粛が進み、鉄道や航空機需要が例年と異なる低い利用率となり人が動いていないことがわかります。

高速道路も大きな渋滞もなく例年以上の経済活動停滞があると感じます。
宿泊業も大きく改善が進んでいるとは言えない状況が少しづつですが明らかになりつつあります。

地域限定の宿泊割引を導入した地方の一部は県内需要が一定あり集客があるという声も聞きます。
しかし、県内需要以外を目的とした宿泊地は軒並み例年より低く集客が見込めなかったという声も聞きます。

私たちは、地域農場へお伺いするため宿泊を伴う移動が多く、宿泊先に伺うと今のようなお話をいただきます。
また例年は満室で予約が困難で農場より遠い宿泊地を予約することが多い8月は私たち泣かせの月でもありましたが、今年度は例年と違うと肌で感じます。

今年は団体旅行予約も少なく、修学旅行予約もなく大口需要がないという声も聞き、宿泊業の大変さを伺います。
筆者の地域も教育委員会を通じて修学旅行中止を決定しており通知されています。
このような動きは全国多くあるのであろうと感じていましたがどうも事実のようです。

外食も、この8月やや客単価が高い所は前年と同じような盛況であると感じますが、客単価が低いところはやや低調に見えます。
これも全国を移動する私たちの肌で感じる状況ですが、後に発表される指数等で再確認できるため概ね感じたとおりになる傾向にあると言えましょう。

さて、宿泊がないということは畜産物の消費機会を失うということを改めてお伝えしたいと思います。

宿泊で素泊まりという方も多いと思いますが多くは朝食付き又は夕食もついているというところも多いと思います。
それによる消費牽引は実際一定程度貢献しています。(宿泊は1地域1人ではなく大きい数字になるため食材仕入れや付随品の購入が発生するのです)
それ以前に観光に訪れないということは、その地域の消費が発生しないということです。

特にお盆や8月夏休みは観光で訪れるため食事つきで宿泊される方が多く、宿泊とその地域での観光に対する畜産物消費拡大の機会になっています。
しかし、今年はその機会がそもそもなく7月の仕入れ業者の買い付けが鈍い結果は、過剰在庫を抑える読み通りの結果でした。

季節要因による食肉相場展開となり、外国産の調達遅延も重なり安定した状況です。
今後輸入品が増え始めますので少しづつ落ち着くと思われます。

その中、外食や観光による消費機会が失われるのは一時的と感じておりますが、外出機会の減少だけで片付けられるのか心配です。

勤労者の賃金に大きな影響がある場合、観光・外食に長い間影響を受ける可能性を秘めています。
8月のイベントが終了し、東京をGO TO発着に指定する動きが見られます。
10月以降の秋の観光に間に合うような事情が見えますが、どこまで好影響を与えるのか未知数です。

また、EATも早ければ9月から始まるかもしれません。
宿泊35%割引と、食事最大25%割引となり大きなディスカウントとして前面に出すこともできましょう。

すでに食事券発行事業者は決まりつつあり、まもなく契約になる見込みです。
その後登録飲食店を設定し開始されます。

発行事業者には旅行会社が散見されます。
販売者は地域の商工会等が予測されますがトラベル同様旅行プランに組み込むこともできるのではないでしょうか。

それにより割安な旅行が案内でき宿泊や外食、それに付随する私たち生産者、そして鉄道等輸送者に大きな貢献があると思います。
10月は紅葉の季節でもあり東北等よい観光スポットもあります。

また、旅行でなくてもプレミアム付き食事券として販売可能であることから、割安で食事をすることが出来る機会を提供してくれましょう。
但し、有効期限は令和3年3月末としており販売価格次第では十分恩恵を受けるか不明です。

最大2万円購入可能としていますが、プレミアム宿泊券の時にありましたが転売目的購入により消費者から厳しい意見や自治体の問題提起もあり色々話題にもなりました。

実際転売サイトを閲覧すると期限がそれなりにあるとき額面近い販売価格(出品者の初期購入価格はそれよりも低い)でも買い手が付き購入意欲が高いと感じましたが、有効期限が近くなった時投げ売る出品者が散見され、最終的に有効期限が切れても自動再出品している事例も見られました。

消費して初めて貢献できる制度なので、発行事業者が儲かってもらっても意味はありません。
また、宿泊券の時は宿泊代金が高くなるので何枚も何万円支払っても損を感じませんから転売者から購入することもメリットになるのですが、食事券は1回の食事が数万円となることはそう多くはないはずです。

このため、初期費用が1万円で12500円利用可能と言われても、3月までの数か月間で消費出来るか天秤にかけて考えた場合割高と答え結果、この事業そのものの意義を感じられないということもありえます。

また、地域を限定する場合その地域に魅力ある店舗が見つからない場合結局購入せずあまり変わりないということも予測されます。

これは、地域振興券の時の反省を生かしてもらいたいものです。
平成の時代、地域の消費拡大を期待するため地域振興券が配布されました。
しかし地域が限定されており大きい自治体は利便性がありましたが、小さい地域ほど使用できる店舗が少なく結果もらっても意味がないということもありました。

今回の食事券では地域や使用できる店舗にどのような制約を設けているか現在は不明です。

しかし、高額商品でないものや食費や衣服を購入するプレミアム商品券と違い、食事に使用できる券はその用途や費用的な問題を考慮し購入される意味合いが強いため
プレミアム=バカ売れ
という構図になるか注目しています。

実際、ある地域は地域限定の食事券を配布しました。
有効期限はまだ数カ月ありますが、使用できる店舗がすくないため様子見している方が多くいます。

これも先ほどの理由になります。
この場合初期費用がないため使用しないことによるデメリットがないため積極的に消費するという構図ができないのです。

消費してもらうことが最大の目的であり券を配布する、販売することが目的でありません。

EATもその制度次第では大きな好影響を与えますが、もしかするとただの食券販売となり十分な影響を与えないことも予測できます。
オンラインも始まりますが、それも今の理由の影響も予測できます。

トラベルは失敗であるという方もいます。
しかし、消費刺激策には何らかのきっかけが必要です。たしかに新型コロナウイルスの感染拡大に影響を与えたと言えばそれは間違いではありません。

観光や外食は実際の生活では正直なくても良い娯楽です。

しかし、娯楽は人の息抜きや新たなリセットさせる気持ちの効果があります。
食事を楽しみ、自然や季節を楽しむ。

ですが無駄なものにお金を支払うことは意味をなさないということも事実ではありますが、
これだけ窮屈な日常から少しでも癒しや気持ちをリセットしたいと感じる消費者や提供する施設者ありそれを支える従業員がいて。
と、観光宿泊業には多くの人の雇用があり、地域の消費活動に貢献できる産業です。

実際トラベルによる宿泊先での感染はわずかですが発生しています。

しかし、旅行者が感染リスクがある方とは言い切れません。
旅行者でなくても不明なルートからその地域から感染された方が発生している現実もあります。

追跡調査をしてもわからないというウイルス特有の問題があり、特定できないことから推測の領域を出ることができず旅行者が原因であると考えることもある意味やむを得ないと思います。

その中、今実施すべきではないという意見もその通りです。
しかし、多くの宿泊施設は固定費がかさみ借り入れや借入予約をして再起動を図ろうとしていますが、先が見えないため返済見込み以前に現金が日に日に減り再借り入れをするという状況です。
個人に置き換えれば、収入がないので全額借金をして生活をして、翌月も収入がないので全額借り入れをしてを繰り返す状況です。

このようなこともあり、施設の破綻が多くなりました。
宿泊業の特徴である現金保有が少ない傾向があるのも要因とされます。宿泊者が現金支払いをするためそのお金で経費を支払えるために多く持ち続ける必要性がないとも言われます。
しかし、その雇用も失いましたし、付随する会社も影響を与え広い範囲で人・モノ・お金が失ったり景気を下げるような状態となりました。

もはや待ったなしという切実な問題でもあります。

畜産物も高級路線ほど厳しく、外食・観光での消費は本当に大事な得意先でもあります。
高級でなくても、大事なお客様を失う状況です。鶏卵がその例でもありましょう。
加工(家庭消費以外を差します)向け出荷が50%と言える産業であり、その加工が消費減退となり低価格の相場が続いています。

ただ売れないではなく、そもそも売れる下地がないというのが実情でどうにもならないという状況です。

個人が高級食材を購入し続けるのは無理があります。
また鶏卵も1日3個や5個食べ続けて消費拡大するというのも無理な話です。

今後、ウイルス感染状況は注意してみなければなりません。
すでに自粛が浸透しつつあるように見えます。
それは心理的要因なのか、消費者の経済状況なのか見極める必要があります。

消費者の経済が悪化した場合、先のように無駄なものにお金をかけることが難しくなります。
ですから、消費刺激を与えてもあまり効果を及ぼさないかもしれません。

そうなると、今の政策だけでは回復効果はかなり限定的であり更なる刺激策を求めることになりましょう。
それだけの予算を国が用意できるのか新たな問題もあります。

消費者の心理悪化は景気回復に大きな影響を与えます。
すでに一部の経済エコノミストは緩やかな回復となると予測しています。

雇用や賃金にネガティブ要素が加わると景気に大きな影響を与えます。
国内消費が今は大事な時期でもあります。

国内の消費者にどのように振り向いてもらうのか、それが大事な2020年なのかもしれません。