7月1日豚の基準が施行されました。
多くの施設は金網等衛生管理区域と道路等と区別するようにされており、準備はすばやいなと感心しております。

恐らく施設内に関すること、人に関すること等外から見えない事項も変更し運用されているのでしょう。

その飼養衛生管理基準は6月30日改正が公布され、10月1日よりその他の家畜に対しても施行されます。

後2カ月少しとなりました。
今その対応に追われている今日この頃です。

牛や鶏を飼養されている方には準備が大変かと存じます。
内容を精査し、自農場の状況と比較し不足しているもの、十分なものを確認しマニュアルを整備する場合の準備と手順確認、文書作成と対応が山積みでしょう。

農場HACCPを進めている方、認証中の方は変更が必要になっております。

今担当者がそれぞれの農場を廻り変更に対する状況説明と今後のためのスケジュールをご説明しているところで、皆様の農場にあった対応方法を策定しているところです。

また、JGAPをフル審査で受審される方も変更事項がありますので要注意です。
初回審査のためにGAPの要求事項を確認し作成してんやわんやのところに今回の変更が重なります。

私も、農場HACCP認証作成中に改正飼養衛生管理基準(平成29年版)があり、やっと出来上がり審査を受審する段取りで変更があったことを思い出し22年版(当時)から慌てて確認作業をした記憶があります。

普段から最新情報を入手する大事さをつくづく感じたことを思い出しますし、そのような失敗をお伝えし皆様には同じようなご苦労をさせないように日々収集しお伝えしております。

さて、そのような思い出がよみがえる筆者ですが改正飼養衛生管理基準が10月施行されます。
内容は豚に準じるところですが、
農林水産省が公表した改正概要では、牛や鶏の改正基準は以下の通りです。
1、家畜の所有者の責務
2、飼養衛生管理に係るマニュアルの作成と従業員や関係者への周知徹底
3、野生動物での家畜伝染病感染確認地域に立ちはいった者の衛生管理区域への制限と安全な資材使用
4、衛生管理区域の明確化
5、放牧制限の準備
6、愛玩動物の飼育を禁止
7、衛生管理区域入り口での更衣や車両乗降の際の交差汚染防止策
8、畜舎入り口での靴の消毒や専用履物の使用とその方法
9、ねずみや害虫駆除
10、衛生管理区域内の整理整頓と消毒
11、衛生管理区域から搬出される物品の消毒

1、家畜の所有者の責務
2、飼養衛生管理に係るマニュアルの作成と従業員や関係者への周知徹底
3、衛生管理区域の明確化
4、愛玩動物の飼育を禁止
5、衛生管理区域入り口での更衣や車両乗降の際の交差汚染防止策
6、家きん舎以外の飼料保管庫、堆肥舎等への野鳥等の侵入防止措置
7、衛生管理区域内の整理整頓と消毒
8、衛生管理区域から搬出される物品の消毒

以上になります。
このうち筆者は鶏担当のため鶏に関して説明しますと、農場ではすでに多くの改正事項は対応ができている又は運用していると言えます。

1については、責任の区分が明確になり、所有者が発生予防と蔓延防止に対する責任者とされます。飼養衛生管理者がいる場合(多くは農場長等役職者)はこの取り組みが実施させることを求めています。
つまり、鶏だけ見ていればよいというわけでなく責任者から権限が委譲されている場合は確実な管理が求められます。
そのためにも最新情報を把握しそれを現場実践できるような技量が必要となります。

2については、令和4年2月施行となるため準備に多くの時間を割く必要はありません。
しかし、農場HACCPのように文書化が進んでいない農場では構築に時間がかかります。(多くは半年1年程度)
このため猶予期限がない事項は短い期間とはいえ早急に対応し残り時間をここに投入するスケジュールが必要になります。
マニュアルの他記録類も整備します。具体的な内容は担当にお問い合わせください。また保管期限も明確化され少なくとも1年とされます。
農場HACCPでは構築が完了しているものが多いといえます。

3については衛生管理区域が分かるようにして、出入口は最小限にします。また多くの農場では長靴1足で農場内と畜舎へ出入りされていると思います。
これについてどのような動きをしているのか行動範囲を網羅することになります。
農場HACCPでは動線図に当たりますが再度確認しておく必要があります。

4については愛玩動物を飼育されているところは少ないと言えますが衛生管理区域内では禁止となります。

5は衛生管理区域内では専用の衣服と履物を使用します。多くは導入されていると思いますが再度確認してください。

6は野鳥対策になります。網目は2㎝以下であると明記されました。
その他堆肥舎への対策が必要になります。多くはたい肥場は簡易的構造物又は野鳥対策を意識された構造物ではないと言えましょう。
このことから金網設置や出入り口がある場合は常時閉鎖する等野鳥を意識した対策が必要になります。
多くはこの点が大変になるのかもしれません。

7は整理整頓し動物の隠れる場所をなくす努力が求められています。除草対策も重要になりました。
今までは、余裕時間にのみ実施されていたところもありましょうが定期的に除草する意識が必要です。また整理整頓は意識向上にも有用です。使ったものを元に戻すということは道具類の紛失防止のみならず低い意識が向上するともいわれ浸透しにくい3Sや5Sを今回を機会に積極的に取り入れると良いかもしれません。

8は汚染物を衛生管理区域以外に持ち出す際には消毒したり洗浄する等対策が必要です。今後は外装が汚れたたい肥専用運搬車はマメに洗浄する等汚染物を外に持ち出すようなことは厳に慎む必要があります。

実際構築指導に当たる者から見ますと、農場HACCP構築があるところでは多くの修正は必要ないと感じます。
すでに対策が完了している事項が多く文書の差し替えはありますが手間は多いとは言えないかもしれません。

まだ未整備である農場ではもしかすると少し手間がかかるかもしれません。
どこから手を付けるのか悩む方もいましょう。

この飼養衛生管理基準は、農場HACCPだから必須と言うわけではありません。
家畜を所有する皆さん全てに課している事項です。ですからうちは零細農家だから関係ないとも言えません。

鶏インフルエンザ等防ぎきれるかわかりませんが、病気の侵入防止策、農場内での広がり防止策、他農場への拡散防止策がそろっているこの基準は通常では大きな問題としてクローズアップされないですが、何等か病気が侵入し被害を及ぼし周辺に飛び火した場合は調査を受けて不備を指摘されることが多く、飼養衛生管理基準に著しく違反した場合負担金補助及び交付金が減額又は未支給になります。
それだけ万一の際は日ごろの取り組み姿勢が問われることは間違いありません。

万一のためにも日ごろの活動が大事になります。改正されたということは私たちの家畜に新たな脅威が訪れる可能性を示唆しています。その心持で改正版に対応し日々農場運営にあたっていただきたいと思います。

本年10月改正飼養衛生管理基準に対応できるため私たちもお手伝いをさせて頂いております。