2020年は新型コロナウイルスの影響が10大ニュースにもなる大きい話題となりました。
日本のみならず、世界の多くの国ではこのウイルスによる生命の危険、経済の危機、人の活動制限による健康被害もあります。

畜産物も、経済低迷により出荷しても販路先が休業で売れない、市場価格が採算ラインを下回り出荷した分だけ赤字になる等需要バランスが崩れている畜種もあり、農場の皆さんもご苦労されていることと思います。

畜産物は基本ストックが出来ません。
工業品と違い倉庫に保管し需要調整して出荷するということが出来ないのです。
出荷しないということは、維持費をかけて保管するという状況で、餌代や管理する固定費も必要になります。

また、畜種によっては成長することで求めているランクに収まらず結果等級が低くなり更なる採算割れもありえます。
鶏卵も、倉庫に保管し必要な時に出荷ということもできません。
品質が少しづつ下がり最終的に品質不良に発展することもあります。

その他にも、生乳は搾乳しないと牛の健康を損ない病気になるため廃棄しなければならないという現実もありました。

また、肉牛も市場価格が下がりランクが上の物ほど採算割れが続いております。
鶏卵は、季節需要が追い打ちとなり相場安に転じています。外国では飼養管理ができないため鶏を廃棄する国もあり話題になりました。

4月から始まった緊急事態宣言は5月下旬解除となりました。
まず、39の県が解除され、京阪神地区が解除され残る北海道、関東が解除され経済の再開が本格化します。

各県とも再開へのプロセスを示し外食産業の再開が注目されています。
実際、飲食店は39の県ではアルコールの受注が増えているという声も聞きます。

しかし、食材は保存期間が長くないものを中心に特に大きな変化がないといわれます。
このことから、再開は一部分又は人通り次第での再開なのかもしれません。
また、生産者が廃棄を抑えるために食品の提供したり、ドライブスルー販売をしたりと工夫をしています。

畜産物も学校給食として買い上げていたりと、生産者を支援する動きも進んでいます。
また、ふるさと納税の返礼品に活用したりと工夫を凝らしています。
しかし、本来のような状況ではなく売上げの一部程度とも聞きますのでやはり厳しい出だしと言えます。

外食では外国産畜産物の需要が高まり始めます。国産は高級店や客単価の高い店での需要が多いと言われます。

その多くは、首都圏や京阪神等人口が多く労働時給(最低賃金)が高い地域となるのでしょう。
実際、東京は消費意欲が高い地域になるため外食や高級食材の店は,この地域に集まり、食材も集まります。

緊急事態宣言は、人と人の感染を防ぐ観点から店舗の休業や往来を自粛し感染リスクを下げる取り組みでした。

この方法により経済を完全に停止することなく最低限稼働できていたことから、諸外国と違い著しい雇用の変化が見られていないのかもしれません。

今後、経済の再開が始まります。
まず観光ですが、鉄道は減便ダイヤを取りやめる会社が多くなりました。臨時の列車は依然不透明ですが人の移動が元に戻ることを期待しています。
高速道路は、ETC通行料金の割引を6月中旬まで取りやめています。
このことで、人数が多い家族等1世帯の移動に制限が生じる可能性があります。

このことで、安近短といわれる消費動向になる可能性が大きくなりました。
近場の観光(高速道路を利用しない地域)で日帰り等で過ごし、安く消費するという流れです。

また、お金を落としてもらう労働者の方にどのような支援を行うのかも注目されます。
今回幅広い産業に大きな影響を及ぼしています。

自宅待機を余儀なくされた方々には、日給のある程度が保証されるも生活に制限をかけなければならない方もいましょう。
また廃業・休業により失業された方もいますし、新社会人になるも早々入社延期等生活に不安を感じる方もいます。

一人当たり10万円の生活支援を実施していますが、その使途を尋ねると食費と回答しているアンケートもあり生活のために大事に使う姿が伺えます。

外食は一般的に食費に分類されるといいます。
しかし日常の食費ではなく時短のためや気分転換、何らかのイベントで消費される食費です。

毎食外食となる方もいましょうが、それは少ない金額で自炊より時間的値段的に割りが合うという方が多いのが実情ではないでしょうか。

家庭消費は現在頭打ちとも言えます。

また季節要因もあり食の変化もみられる時期でもあり畜産物にとっては少し需要が少なくなる時期でもあります。

肉や卵より、簡単であっさりしたもの。
ジューシーなカツどんよりあっさり素麺等気候に左右される時期にもなります。
アルコール消費も増える時期にもなり、食事の変化が近年は大きく変わりつつある時代です。

そのような中、落ち込んだ需要をどう盛り上げるのか。
そこにどのような視点で考え提供できるのか。
考えることの大事さが見えてきます。

先ほどお話しましたが、外食産業での畜産物は外国産が主流になります。
今後商社・問屋は需要に答えるために買付たりすることでしょう。
鶏卵は国産が主流になりますので、需要が増えるとそのまま消費されるという形になり供給の必要性が高まります。
加工の場合は、粉卵や液卵で対応されるところもありましょう。

豚肉は例年供給が少なくなる時期でもあり相場高になります。
最近の家庭消費がけん引されており相場は維持すると考えます。

その中、上クラスの牛肉は外食依存度が高いため、経済状況次第ですが厳しいとも言えましょう。
しかし、給食や返礼品等食する機会を提供している現実があります。

実際、美味しい牛肉はやはり美味しいのです。

つまり、食する機会があれば今後も食したいと考えるのは消費者の心理でもあり、美味しいものにお金をかけることに抵抗がない世代ほど魅力あるものになるはずです。

このようなセールスは試食ともいわれ、味見をして惚れ込んでいただき購入しリピーターになるというものです。

ハンバーガー店が日本に初出店した際には子供から大人まで惚れ込みリピーターになっているはずです。
それまで、ハンバーガーという商品が日本に定着したことはありません。
おいしさ、珍しさもあり初購入した方が多かった時代です。
その世代が親になり子供に継承し、孫、ひこ孫へと受け継がれています。
人々はこの味になれてリピーターになっているのです。
実際不祥事があっても二度と購入しないと決めた方は多くないはずです。やはり食べたい、食べさせたいと考え行動しているのが実情です。

外国の炭酸飲料メーカーが広告を使い、美味しさを刷り込ませて購入してもらいリピーターにする手法も過去話題になりました。

このように、今は採算を考えると意味を感じないことと考える方もいましょうが、良いものは良いものとして消費者は認知をします。

その結果、リピーターとなり購入したり、提供している店舗へと出向くのです。
その時、今以上の消費がある可能性が生まれそれが現実化していきます。

損して得取れではありませんが、今は損をしている供給と感じていても、消費者は理解し美味しいものにはお金を落としていく現実は間違いはありません。

その時、高額である商品に手が届くような政策があればよいのです。

以前お肉券、お魚券を配るという話がありました。
一見お叱りを受けるような話でしたが、国が一定金額を補助すれば美味しいものにお金をかけてくれることは間違いありません。
ですから、地域発行のプレミアム商品券などにこのお肉券を付けるというサービス的な広告をすることで、人々に美味しさを再認識してもらうようにしていくのも手です。

商いは、味見から始まるというのも現実です。

ただ、安全安心美味しい国産と言われても理解は得られません。
であれば、味見してもらいリピーターになってもらうのです。

そのためには、100グラム1000円と言われれば購入者は限定されますが、お肉券があれば、300gと引き換え、以降1キログラムまでは100グラム300円で販売するようなサービスにしても良いのではないでしょうか。

知ってもらう機会を作るという考えが必要です。

今後、消費者の動向だけを追いかけると経済回復は遅れます。
毎日食べるものだから安心ではなく、知ってもらうことを考えなければなりません。
味見もなく、おいしいですよ~100グラム1000円です。と言われて購入したい消費者は少ないはずです。
ただでさえ、食費を切り詰めたいと考える世帯が今後増えるからです。

ですから、味見お試しというものがあるのです。
すでに、給食・返礼品にその機会が発生しました。
後は、日常のシーンでどのように取り入れていくのかその手法を考えるのです。

経済は、恐らく疲弊した産業が多く表れることでしょう。
その分野の方々はご苦労され、以前のような日常を取り戻すためにご努力されることと思います。
ですから、節約し安いものを購入し消費を促すまで回復できると言えない状況になると感じます。

目先の賞与の減額や支給停止もあり年内は厳しいという声も聞きます。
雇用も失業者の増加の懸念や新卒者の内定も前年より低い推移と報じられ、暗い話ばかりです。
そのためにも国は多くの支援をを行い、消費を促すような政策にすることが結果内需拡大につながるはずです。

自動車産業のようにすそ野が広い産業の話題ばかり見ていてもあまり現実的ではありません。

自動車は今回の騒動以前に頭打ちの状況であり、新たな世界を切り開かなければ衰退するといえる産業のように見えます。
そのような業種の話題が日本の姿と考えると更に暗くなるだけです。

報道は正しいのですが、その内容は本当にそうなのか自分の知識や分析が必要です。
疑うという言葉も必要かもしれません。
ですから、私はそのように分析しお話しているのです。

景気が良ければ、値段が高くても購入したり消費したりすることは過去が物語っております。
そのために、損して得取れの精神で、今は苦しくとも未来は明るいことを信じて様々な考えをしてみると常識から打開できる新常識が生まれるはずです。
それが、畜産物消費の新たなスタートになるのかもしれません。