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2021年10月

アメリカのマクドナルドでは代替肉(植物肉)を使用したハンバーガーを試験的に販売を開始します。
日本では、代替肉のハンバーグ等が加工食品で見ることができますが、店舗での販売はあまり見ることはありません。

日本で代替肉ハンバーガーを食べる場合、モスバーガーやコストコのフードコートでの販売があり食べたことがあります。
モスバーガーではパティーが肉と違いあっさりしていると感じますが、味付けが良く改良されており多くの方は満足されると感じますし、よくできた製品だと感心します。
多くの口コミを見ても、違和感がなく美味しいという意見やソースが良いという肯定的な受け止めに見えます。

コストコも歯ごたえや味にそん色はなく、ビーフ100%のチーズバーガーも販売されているのですが、包装紙は同じのため自宅に戻り代替肉かビーフかわからないため、食べても違いが分からないという感じで、品質がだいぶ良くなっていると感心した記憶があります。ただ価格がビーフと同じであるため抽象的ですが販売数はビーフが多いように見えます。

その代替肉が比較的低価格で提供されるということは、品質以外にコスト面から見ても技術進歩が進んでいるということがわかります。

今日は、代替肉が普及していくと消費動向がどう変わるのか考えて見ます。

現在牛肉価格は比較的高く推移しています。
要因に家庭での消費が増えていることや、外国産の輸入減少から国産がそれを補うというシフトが進んでいることと見られます。
もう少し広い視野で見ますと、輸入品の場合はいわゆる買い負けと呼ばれる、仕入れ価格を上げても他の国に肉類が買われてしまうといういわゆるミートショックと呼ばれる状況です。

販売価格は9月時点で、100gロース外国産で平均290円で2018年秋から2020年春先の価格で推移しています。
国産は850円となり2018年春から2020年春までの価格に類似しています。
このことからも今の価格が格段に高いと言うわけではありません。
確かに本年春先に比べ上昇はしていますが、高騰と呼ばれる価格帯ではないのが過去を見た傾向になります。
しかし夏以降の輸入仕入れ価格はさらに高くなっていることから、この秋以降冬にかけて更なる販売価格の上昇が見込まれます。このような価格上昇は代替肉にとって価格面の好条件になりやすく、普及を進めるチャンスにもなります。

そのような牛肉価格の中、代替肉が静かに普及しつつあります。

日本では大きく報道されていないのが実情で全体像が分かりずらいというのが本音で、良く調べると実は多く普及していることがわかります。
2020年10月農林水産省はフードテック研究会を設立し代替肉の普及を進めています。
日本での普及はこの数年で芽生えたようにも見え、今後外国のように普及していくのか注目されます。
現在、代替肉が取り扱われているのは、焼き肉チェーン店、大手流通店、大手商社チルド商品、日本会社のハンバーガー、半調理加工品に用いられています。

しかし課題もまだ残っており、開発費用が増大のことから販売価格の問題、味や風味と言った食味の課題も見られ、各販売先は研究開発を進めています。
普及するためには、たんぱくを肉類に限らず私たちが摂取できるメリットや価格が少なくとも畜産物価格と同一かそれより安くなければなりません。

食味も大事で、「代替品だからまあそんなもん」では、珍しさから先行消費されますがやがて見向きもされなくなります。

恐らくこの数十年先までは、代替肉が家畜肉にすべて置き換わることはなく、そのシェアも開発が進まないと食味、価格、認知度が大きくならない限り広がることもないと見られます。

その理由に、生活スタイルやアレルギー等食べない方を除き、まず代替肉を食べなければならない理由がないこと、価格が高いわりに安い原材料を使用していることから付加価値商品と認知されにくいという現実、健康志向が高まる現代であっても肉類を排除するような理由がないこともありましょう。

しかし、家畜が発生する二酸化炭素問題、水を大量消費する環境課題、穀物等全ての人が摂取できるような状況でない中の食糧問題もありますし、畜産物を食べないことを生活スタイルに取り入れている方もいて、代替肉が消えていくこともありません。

ですが今お話したように消費者が代替肉に対してポジティブな印象を持つ場合事情は大きく変わることでしょう。

その中に、大手ハンバーガーショップが試験販売するということは、価格面でだいぶ状況が変わったということでもありましょう。
アメリカはイメージとして経済第1主義に見えますが、実際は畜産物への環境問題、アニマルウェルフェアの問題も環境保護団体等の影響を受けながら変化を見せています。
流通網にもその影響を与えており、消費者がその食材を求めるということもあるでしょうが、流通段階で変革が起きているようにも見えその結果が消費者がそれを選択するような流れです。

日本では、あまり環境問題への取り組みはよく見えるような状況ではありません。
しいて言えば「レジ袋有料が大臣が変わったので無料に戻すことが良いのかどうか」のような確かに環境かもしれませんが、少し視点がずれているようです。

その中であっても2021年の環境白書でも二酸化炭素の排出が少ない代替肉を選択その中の一つにするような姿勢を見せており、世界中で喫緊の課題である二酸化炭素の排出をどのように減らすのかという取り組みが重要になっている状況です。

現在販売されている品目には、加工品が多く見られていますが、ひき肉のように細かくした肉も販売されており必ずしも加工品の中の世界と言うわけではありません。

外国に目を向ければ、生肉も本物に近い風味にした肉類が開発販売され価格面での課題があるもののそう遠くない未来、スライス肉の隣が代替肉が並び消費者が選択し購入する時代がやってくるのかもしれません。

少し広く畜産物を見ますと、肉類に限らず多くの食品に代替加工品が登場しています。

鶏卵にもスクランブルエッグの卵を使用しない製品が本年販売され、海産物のウニも大豆を使用した代替品が登場しています。

このように畜産物は、畜産物しかない良さがあるものの時代は変化し、代替品がその製品の中に取り入れられるという現実があります。
消費者は様々な選択肢の中からそれぞれに合った製品を選び消費されていきます。
その選択の中に代替肉や代替加工品があり、健康志向、環境問題の意識、価格、美味しさと言ったものが少しづつ変化をもたらすことでしょう。

ですから、畜産物にはその良さをもっと認識されて代替品と共存するような世界になってほしいと思います。

今の価格が高いからうれしいと喜ぶ農家さんもいると思います。
ですが価格は相場が決めており需要と供給で決まります。
いつしか需要に大きな変化が生じたとき安いからでは打つ手がありません。

では、畜産物はただ成長し製品化しているだけで安泰なのか、外国産の受け皿で安泰なのか。
国産は高いが当たり前で、安ければ農場運営が成り立たないだけで大丈夫なのか。
付加価値という言葉だけでは何も変わりませんが、その製品にはその製品にしかない良さがあるというイメージ戦略も必要です。

人口減少が進む日本では今後少ない消費者の中で選択がされていきます。
日本での普及も消費者サイドより流通段階での変革でそうなっていく可能性があり、消費者が望むまで時間がかかるとは限りません。
そのような流れで農場を持続することも困難になる時代になるかもしれません。

しかし時代の流れに逆らうことはできません。
環境問題に畜産物は何ができるのか。
そして動物福祉の観点からみて畜産物はどのような立場にいるのか、どうするのか。

市場価格だけの視野ではやがて今の課題に取り組む農場に追い越されていく可能性もあります。
同じ畜種だから同じ生産物になるのでしょうか。

ですが今後代替肉と共存しなければならないのは事実ですし避けることはできません。
皆さんの農場では何ができて、どのようなイメージ戦略が描けますか。

大手飲料メーカー社長が、団体のセミナーで発言したいわゆる45歳定年について、賛否両論あります。
経営サイドの意見としては肯定的であり、労働サイドでは否定的です。
人生100年とも言われ、70歳定年を国は求めています。
しかしホワイトカラー層については、この定年制に反対している傾向があり、
1従業員を長い期間雇用することは弊害が生じることから否定的な意見があります。

では、肉体労働者いわゆるブルーカラー層はどうなのでしょうか。
畜産業は基本的にブルーカラー労働者になります。
管理する幹部社員であっても同じで、1日中机に座り何かをしているということはありません。

基本的に農場の管理に責任があることから、ただデータを眺めているだけでは仕事にはなりません。
観察する力、分析する能力、従業員の負荷状況や外注委託の手配やスケジュール管理等仕事は多岐に渡ります。
ですが、一部の中堅以下の農場では、従業員と同じ作業員となり、同じ仕事をして、経営幹部からの伝達をただ農場内に伝える残念な幹部も存在します。
いわゆる伝書鳩の仕事を農場長の仕事と捉える変わり種の組織も存在し、基本がなかなかわからない農場も見られます。

そのような組織ほど管理能力が他より低い、社員レベルが低い、修繕知識がなく故障対応に不手際が多い、そして生産性があまり高くないという、良いところを探すことが難しいという組織崩壊農場もあり、組織の大事さがわからない経営者もいます。

また日本人という人手が不足気味の産業であり、外国人技能実習生に頼り、基本作業は外国人にお願いしていることで日本人の方が管理力が低いというところもあります。

また年齢も外国人が若く、日本人は50代、60代とやや高年齢化しているところも多いと思います。
年齢が低く30代、40代がいる所でも、すべてが活性化して管理力が切磋琢磨し学ぶ意欲が高いとは限りません。
残念ながら惰性で動く世代も存在し、やはり組織は活性化していないというところも多いように見えます。

組織の不活性化は何を引き起こすのでしょうか。

実際経験される方は多くはないでしょう。
ですから、私どもコンサルタントに不安を相談されるのですが、
結論から言えば自然崩壊していくのが答えになります。

自然崩壊というのは、個々の能力が停滞し、劣化していくということです。
例えば、生産性を維持する作業が確立されているのに、忘れていき知識なく新しいことをしていくのですが、失敗し学ばず繰り返すという残念な状況が常態化します。
この時、歯止めをかける経営者が優れていない時は、その劣化は加速していき、とりえのない農場へと進んで行きます。

修理させているときもそうで、自身の技術レベル以上の対応になるのですが、時間をかけてじっくり修理をします。
いいことのように見えますが、故障による弊害が大きくなることまで理解できる方がいないことに気づけないというのが最大の問題なのですが、経営者の能力が低いほど、一緒に喜び合う始末で、本質を見抜けません。

例えば、出荷が遅延するのに短時間での修善ができない、配餌するのに丹念に修理をするというゆったりした意識、相手を待たせる打ち合わせがあるのに、優先度が低い修繕や対応をして待たせる等相手という言葉がわからないという考える力が劣化していき組織全体がそれを容認していきます。

それが、家畜への意識も劣化し、農場内の故障対応も劣化し、清掃も面倒になり、自分の好きな時間を組み立てていき農場仕事を外国人技能実習生に任せ日本人は仕事風の遊びへと発展していきます。

これも個人(自身)に関心を示すことの劣化で、組織が機能していない典型的な事例です。(歯止めをかける役割が存在せずみんな仲良く楽をするという一体感が劣化につながるということです)

このように劣化が進んで行く組織は、経験から見て残念ながら一定の線を超えると修復はできないというのが結論です。

その時、仕事ができるような人材は他社への転職も考えることが多く、先が見えてしまった会社になり果てたというのが本音なのかもしれません。
このように組織の不活性化は数年かけて劣化が進み、とりえがない農場へと退化していきます。

本題に戻り、組織の活性化には何か決定打があるのでしょうか。

先ほどの45歳定年ではないのですが、人には自然定年があるという記事がフォーブスジャパンが報じています。
体力や気力が低下し、次第に知力や集中力、向上心が低下し、能力低下に発展し、依然と比べ仕事で劣るというもので、それが45歳前後とされているという記事です。
仕事への取り組み姿勢が高い方でも、一定の年齢になると能力低下に発展してしまうという人間の生物的退化現象なのかもしれません。

しかし仕事への取り組みが低く、他力本願的要素がある場合は45歳前後を待たず退化していくのかもしれません。

畜産業は皆さん全てが高い志で入社や転職してくるわけではありません。
様々な職種を経験してたどり着く場合や職業高校から就職する方もいるでしょう。
いろいろな観点から見て、45歳定年ではなく能力低下をいかに防いでいくのかがポイントではないかと思います。

実際45歳を超えても探求心が衰えるということは全員あるということはありません。
何かに興味を持ち学んでいくという姿勢は年齢関係なくできることですから、
年齢よりは能力、つまり劣化度がいかに小さいことが重要になります。
仕事ができるという方はそのようなことなのでしょう。

しかし仕事ができないや劣化が進んだ経営者、幹部社員は年齢を待たず劣化していき、それが先代が作り上げた農場を静かに壊していくのです。

怖いのはそれに気づく時は、数年以上先のことで多くは取り返しがつかない時間まで進んだ時という状態で、お手上げ状態のときになります。
末期は、仕事ができる人は転職し去るか、転職する等離れるための準備を進めており有休を所得したり、組織内へのかかわりを避け始めます。
これに違和感を覚えない方も多く、更に組織は壊れ進んで行きます。

これを止める方法は1つだけです。

自ら劣化することを止めるしかありません。
年齢だからできないという固定概念が進んだ人もそれを改めなければ何も変わりません。
そして関心を持ち、自身に関心を示す内向きを外という農場へ向けることです。

壊れた時間の3倍以上の時間はかかりますが、年数かけて改善していくはずです

経営者も親が引いたレールにあぐらをかくことを止めて、自ら考え、知識が足りないのであれば知識人から教わるような姿勢も必要です。
謙虚さ、自身のおごりに気づき前に進んでいくような姿勢が必要だと私は感じます。

今後人の雇用が難しくなり、今いる方々といかに長く繁栄していくのか、その時必ず発生するであろう劣化にどのように向かっていくのか。

ただ家畜を買って育てお金になるだけという簡単ではないことに気づきながら、農場運営をされることが実は未来永劫栄えていく唯一の方法なのかもしれません。

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