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2019年04月

豚コレラの発生が続いております。前回お伝えした以降も続いており終息が見えておりません。
4月23日時点の情報をお伝えします。

まず、岐阜県の野生イノシシの感染確認検査結果についてお知らせします。
4月23日発表によりますと、検査実施35頭中、陽性23頭となります。
捕獲場所は、瑞浪市、本巣市、美濃加茂市、関市、山県市、恵那市、可児市、御嵩町、富加町、白川町、七宗町、川辺町、中津川市、郡上市となります。
県内で豚コレラ陽性判定となった野生のイノシシは合計351頭(検査実施1047頭)となります。

参考までに4月22日発表では検査実施8頭中、陽性6頭となります。
捕獲場所は、恵那市、岐阜市、美濃加茂市、可児市、土岐市から捕獲されましたが、土岐市の検体は死亡しています。
県内で豚コレラ陽性判定となった野生のイノシシは合計328頭(検査実施は1012頭)となります。

恵那市の農場において発生した防疫措置が4月22日午前8時に完了しています。
発生農場は恵那市で9858頭、岐阜市と畜場68頭合計9926頭。
殺処分は20日9830頭(28頭は死亡)、と畜場は17日完了。
埋却実施は21日17時すぎ終了し、農場の消毒は22日午前8時完了となります。


搬出制限解除日を5月10日午前0時、移動制限解除日5月28日午前0時となる予定です。
なお、現在岐阜県での新たな発生は報告されていません。
(詳細は岐阜県のホームページを参照ください)

愛知県での情報です。
4月21日瀬戸市の養豚場(飼養頭数1186頭)から通報があり、豚コレラの疑いがあり22日確認されました。
以後殺処分が22日より開始し、埋却作業を23日より開始しています。
25日防疫措置完了を予定しています。


野生イノシシの豚コレラ検査結果は、4月18日報道で、12頭捕獲し全て陰性でした。
参考までに陽性のイノシシは春日井市、犬山市のみで近隣に瀬戸市があります。
(詳細は愛知県のホームページを参照ください)

次に、PED(豚流行性下痢)について、ご報告します。
千葉県では、引き続き発生が続いており1月から4月17日まで82例の報告があります。
発生総数は79900頭を少し超える数となり、死亡数は17163頭(昨年発生は含みません)となります。
4月に入り8例報告されています。報告件数は少なくなりつつあると感じております。

他県では4県(北海道、岩手、茨城、愛媛)に発生があり、千葉が突出して多い発症と死亡頭数が報告されています。

北海道では3月9日が最終で死亡頭数63頭、岩手県では昨年11月29日が最終で本年は発生報告がありません。(累計死亡頭数61頭)
茨城県では4月15日が最終で65頭、愛媛県は昨年12月25日で累計死亡頭数は0頭です。
(千葉県のホームページを参照ください)
(他県情報は農林水産省の平成30年シーズン発生状況から引用しています)

最後に、岐阜新聞Web版から大変ご苦労されている現状についてお伝えします。
4月18日版で、恵那市で約1万頭飼養されていた農場で発生があり殺処分等が行われ大変ご苦労されています。
上記、恵那市の情報を参照ください。

岐阜県も豚コレラが終息できず心配が続きます。経済的損失も計り知れず、県内養豚業は壊滅するという発言は大変な重みがあります。
家畜へのワクチン投与はできるだけ避けたい国の方針のもと、野生イノシシにワクチンを投与して終息を狙うわけですが、それまで養豚家の皆さんが疲弊してしまうのではないかという報道です。

殺処分されると国から補償があるとしてもそれで経営が成り立つことはありません。

清浄化して再度飼養すればよいといわれますが、終息が見えないため心配が付きまといます。

記事の通り1万頭近くが殺処分されたのは記憶に新しく衝撃的な事例です。

23日知事と農水大臣等の会談がありました。早期終息の為の対策を求める業界と理解を求める県、従来の方針を進めたい国と妥協点が見いだせるのか注目されます。
方針は輸出との兼ね合いや国内農家の保護等見極めて実施されましょう。飼養衛生管理基準を遵守してもなお、制御できない場合養豚家に皆さんはどのように対応できるのでしょうか。

解決策があることを期待しております。

農林水産省生産局畜産部畜産振興課環境計画班が平成30年に畜産経営に起因する苦情発生戸数は1480戸で、前年に比べ79戸減少しました。この調査は毎年行われ4月に発表されるものです。

このデータは平成30年7月1日までの1年間に住民等から地方公共団体へ届けられたものです。

平成30年の苦情戸数は1480戸で昨年1559戸よりわずかですが少なく推移しています。
データのある昭和48年は1万戸を超える苦情がありましたが、畜産家の改善、行政指導等により減少しここ数年は横ばいとなります。

苦情の多い畜種は、乳用牛407戸、豚403戸、肉牛305戸、採卵鶏221戸、ブロイラー79戸となります。
苦情内容を見ますと、最も多い悪臭関連(苦情全体の54%(昨年と同数))では、畜種ごとに見ますと、
豚275戸乳用牛234戸、肉牛191戸、採卵鶏146戸、ブロイラー62戸で、が多い傾向があります。
開放的な作りをしている畜舎ほど、周辺に拡散させてしまい苦情に至るのかもしれません。後にふれますが、規模が多い畜産家ほど苦情が多い傾向があり、の場合肥育頭数999頭までの苦情発生戸数は144で、次いで3000頭以上111戸と平均的な規模で発生していると見えることから、畜舎の改修費用や家畜から糞尿を速やかに分離し処理できるような設備を設けたりと、最近普及しているウインドレス豚舎のようにしていないところが多いのでしょうか。
いずれの場合でも民家に近いところでの経営は近隣の理解を得ない限り、大なり小なり苦情が出てしまいます。排せつ物は嫌気性菌が活動しやすいため悪臭を放ってしまいます。

次に多いのは水質汚濁関連(苦情全体の22.2%(昨年21.5%))で、河川に汚水を流失させたり、地中に排せつ物等を埋却する際に地下水に影響を及ぼしたり等近隣住民に対して大きな影響を及ぼすものです。
最も多いのは、豚158戸乳用牛97戸、肉牛71戸、採卵鶏37戸、ブロイラー13戸となります。
水分量が多い排せつ物の処理が適切でない畜種に見られます。ほとんどないと思いますが、尿をため池や河川に放流したり、家畜の糞を地中に埋めたりしてしまう所が過去あるようでした。今はたい肥舎を建築されて適切な処理をされていると思いますが、資金力が乏しいところは心配です。

施設があっても、汚物等が施設から漏れ出てしまい結果苦情に至る場合もあります。定期的な点検・整備も必要です。

害虫関連(苦情全体の12.2%(昨年12.6%))での苦情は以下の順です。
最も多いのは採卵鶏93戸乳用牛49戸、肉牛44戸、豚23戸、ブロイラー2戸となります。
ハエが代表されるのでしょうか。採卵鶏では害虫に関する苦情が毎年高い傾向があります。鶏糞の水分量が糞の70%程度でハエの発生に適しているといえます。
脱皮防止薬剤を散布したり、殺虫剤を使用したりご努力されていると思いますが、ハエから生まれる卵は多いため駆除は容易ではありません。いずれも近隣に住宅がありますと、害虫の他悪臭も報告させられますので近隣とのコミュニケーションが大事なのでしょう。

ハエに関するブログが、はてなブログnogutikusan`s daily(ハエ対策と養鶏 5月14日発表)に掲載しました。ご覧いただき、畜産施設のハエ対策についてご一緒にお考えいただけますと幸いです。
nogutikusanで検索してご覧ください。


規模別にみた苦情戸数について
乳用牛では、30~99頭の飼養規模で発生戸数223戸(飼養戸数8070戸)で飼養戸数に対し2.8%の発生率です。
100~299頭では発生率4.4%、300頭を超えると13.1%と上昇していきます。

肉牛では、500頭を超える飼養規模で発生戸数は36戸(飼養戸数769戸)で4.7%の発生率です。
次いで、100~499頭で発生率2%となります。最も多い飼養戸数は19頭までの飼養規模で31500戸が飼養されています。発生率は0.3%と少ない状況です。

は、1~999頭の飼養規模で発生戸数144戸(飼養頭数2266戸)で飼養戸数に対し6.4%の発生率です。
1000~1999頭で、発生率10.5%、2000~2999頭で17.9%、3000頭以上で16.6%の発生率となり規模が大きいところほど発生率が高いと言えます。

採卵鶏では、9999羽以下の飼養規模で発生戸数38戸(飼養戸数823戸)で飼養戸数に対し4.6%の発生率です。
10000~49999羽で発生率12.4%、50000~99999羽で16.8%、100000羽以上で20.8%の発生率となり規模が大きいほど発生率が高くなっています。

いずれの場合でも、近隣との共存関係が良好であれば苦情として地方自治体に持ち込まれにくくなるのでしょうが、上手に対応できない場合苦情として現れます。最近では畜産密集地帯が多いところで特定の農場が発生源であってもひとくくりで苦情として持ち込まれますので難しい時代になったのかもしれません。

参考までに、悪臭防止法の設定は平成28年度末で全市町村のうち73.7%で規制地域を設定しております。うちは関係ないよと言えない時代です。
また、家畜の排せつ物は皆さんご承知の通り、特殊肥料として都道府県に届け出する必要があります。

法規制が強化されています畜産業。

飼養衛生管理基準遵守は当たり前ですが、経営者一人が知っていればよいわけにはいきません。従業員にも教育し法令遵守の精神を植え付けることが当然である時代でもあります。

苦情が出るということは、当たり前であるという業界の一部だけが共有している迷信を改める良い機会になればよいと感じます。

養豚に携る方には大変なご苦労があることとお察しいたします。
終息が見えない豚コレラですが、食肉市場の影響は大きな混乱なく推移していると感じます。

その豚コレラですが、ご存知の通り愛知県や岐阜県で継続して発生しています。
強い伝染性があることから、法定伝染病と区別され殺処分となります。
一農場が処分対象となり、場合により周辺施設(養豚団地等)も同時に実施することもあることから、
経済的損失は大変大きいものです。

直近では4月10日判明の国内19例目に発生となった愛知県の施設があり4000頭以上の飼養状況です。
殺処分される数は大きく数百から数千と桁が大きく、市場が動揺するところですが大きく波立っていないという状況ですが、相場は昨年と比べ3月以降は高く推移しています。
中旬以降は大型連休需要による強い引き合いがあるとされ、これから夏にかけ上げ基調になる時期ですから相場が高く続きそうです。

しかし、今年よりEPA発効により豚肉の輸入は増えています。また4月より関税引き下げ2年目となり引き下げ率が上がります。

国産の良いところをアピールしていくことで消費者の関心を誘うようPR等が必要かもしれません。
購買層に関する調査結果等を「消費動向調査 外食・中食と店頭販売での意識 データから見る畜産物 3月26日発表」に掲載していますのでご参照ください。

さて、豚コレラの脅威が続いています。
まず、野生のイノシシの感染確認検査(岐阜県)発表についてお伝えします。
4月12日岐阜県が発表によりますと、検査9頭のうち8頭陽性判定(確定)がありました。
県内で豚コレラ陽性判定イノシシは合計279頭(検査実施は951頭)となっています。

捕獲場所は、美濃加茂市、恵那市、関市、郡上市、岐阜市、美濃市からの8頭で陽性確定しています。
なお4月11日から12日15時までの期間、県に報告があったうち、豚コレラの可能性を否定できない全部の豚について検査をした、県内農場等の死亡豚や異常豚の検査結果は該当なしでした。

愛知県では、4月10日に野生のイノシシ感染検査では、検査8頭全て陰性であったという報道が11日にあります。
なお、瀬戸市での防疫措置状況は14日正午時点で、殺処分4641頭と埋却が終了しており、汚物物品処理と消毒を実施している状況です。
(詳細はそれぞれの県ホームページを参照ください)

豚コレラワクチンが投与されて少し経ちます。一部報道では野生のイノシシの間では定着化したのではないかという声も聞かれ、大変心配なところです。時間がかかる取り組みでしょうから1日でも早く終息してほしいと思います。

もう一つ心配な報道があります。
PED(豚流行性下痢)が発生しているものです。千葉県では4月12日までに(平成31年1月16日から4月12日までの)79例が報告されています。
死亡頭数は17100頭程度(発症は78000頭を少し超える)と最近では大きな発生です。

4月に入り発生報告が少なくなりつつあり、死亡も4月3日の1頭以降は報告されていないことからもう少しで終息できるかもしれませんが、まだ心配が続きます。
(詳細は千葉県のホームページを参照ください)

他県では4県(北海道、岩手、茨城、愛媛)に発生があり、千葉が突出して多い発症と死亡頭数が報告されています。

この病気は、豚が下痢を起こしてしまうウイルス感染が原因で、哺乳豚が死亡したり発育が遅れてしまう経済的損失があるもので、発症率と致死率は哺乳豚で高く成長とともに低下するといわれます。母豚では食欲が低下し元気がなく、下痢・嘔吐が見られます。お乳が低下したり停止することがあり、哺乳豚の健康悪化となります。

なお、常在型といわれるタイプは、新たに離乳舎・育成舎に移動後14日から21日程度で下痢を呈すると報告されています。

殺処分を要する対象にはなりません。

PEDについては、発症しても死亡しないよう保温したり、電解質含有の飲料水等を与えて健康管理につとめて頂きたいと思います。また、排せつ物を介して汚染が進みますので接触させないことも重要です。
衣服や履物は汚れやすいものです。使いまわさず畜舎ごとに使用されて汚染を広げない等対応が必要でしょう。

夏季は繁殖等に心配がある時期でもあります。豚肉相場は高く推移する可能性がありますが、輸入品も増えていますので高額相場である場合は輸入品が代替されるような心配もあります。豚コレラについても、家畜への被害がないように柵以外にも、人からの伝播もあります。
履物、衣服等従業員の方への教育も必要です。

どうか、1日も早い終息を願っております。

なお、このシリーズは最新をお届けできるように掲載しておりますので、他のブログもお読みください。7月まで継続掲載しております。

4月になり、研修依頼をいただく時期になりました。打ち合わせにお客様宅へ伺うと
明るくメモを取る新入社員がにこやかに仕事内容や手順を確認しています。
「組織を学び、まもなく現場へ配属されるのかな」と思いながら、打合わせをしていました。

それから何年も経過し、働いている人たちの多くは与えられた仕事をこなして、家畜と共に1日を過ごしていく、管理者は生産量の管理や人の配置・家畜の健康を確認し上司への報告と、そんな毎日の繰り返しとなります。

畜産業は「人が動いて成り立つ産業です」機械化やAIの導入もあるようですが今以上の技術進歩はそう進む感じはありません。
それは、資金力に差が激しい産業であり小規模の畜産家にとっては高額な設備投資より人海戦術で対応したいと考えているのも現実あります。

しかし、中規模より大きい畜産家も同意見の方も多いのです。それは設備は非常に高額で人と比べて長期にわたり費用を回収しなければならない現実があります。

機械はそれだけは効率よくできますが応用が出来ません。(乳牛でしたら搾乳しながら床周辺の糞尿を片付けて滑りにくい準備をする等。人は2つ以上の作業を同時に行う工夫がありますが、機械はそれに特化しており搾乳はできますが、それ以外はできない)

鶏であれば、鶏糞を鶏舎から排出しながら、健康観察(死鶏の取り出し等)はできない。というものです。

鶏に関して言えば、鶏糞搬出はベルトによる自動集糞が進みましたので自動化しましたが、目を離すことによる事故も発生します。結果2つ同時に行うことは逆に機材損傷というマイナスが多く、集糞ベルトやベアリング・モーター等修繕費も大金となることからさせないところもあるのです。

例えが上手でないかもしれませんが、機械は大金かかります(沢山売れないので1台当たりの販売価格が高い傾向があります)が、人は長く勤めれば結果大金となりますが、作業は複数行うことができますが、機械は2台や3台・4台と同時に設備投資はできませんから、人による作業が最も効率的なのです。

しかし、人材が集まらない時代、少ない人材で効率よく運用するには従業員に多少の無理を与えてしまう現実があります。
現在多く聞かれるのは、仕事によりこの人はできない、この人が出来てお願いする。このような構図ができ、できない人が「楽をする」とは言いませんが、仕事量に差をつけてしまうという物です。

後にふれますが、賃金は全体的に安い会社が多いため、できない人より多く支払うと言っても「その差は小さく、業界的に見て安いため不満に変わり、その人から退社するという悪循環が生まれやすいと感じています。
昭和の時代は人が潤沢にいて、一人や二人離職しても問題がない。(実際軽作業なので専門的な仕事を与えていないため補充がしやすく、簡単に応募があり採用となる)

でも、時は平成から令和になり人材確保が難しくなっていきます。外国人技能実習生や期間従業員等を活用して数を合わせているのが現状ではないでしょうか。

賃金は、最低時給を基準としたものが多く小売り・サービス業や建設業等競合される業種に比べると低いため求人に対する応募が少ないといえます。

さて、勤労意欲をあげる方法ですが、簡単に言えば「給与を引き上げる」に限ると思います。
先ほどの通り、月給が少ない企業に好んで就職する方は大変少ない現実があります。
外資系コーヒー店が行っているように仕事に付加価値をつけて就労してもらうという手もあります。(緑エプロンから仕事のグレードにより「黒エプロン」になりステータスになる等)
しかし、畜産業にはそのようなものは存在しません。(仮にあっても就業者にはわからず、魅力として映らない)

どうしてもわかりやすく示すのは「賃金」となるのが本音でしょう。でも無限に賃金を高く払い続けることは現実的に見てあり得ないはずです。
賃金は引き上げることは簡単ですが下げることは非常に大変です。ですのですぐに引き上げることに躊躇するわけです。
ですから、最低賃金を基本とした「外国人技能実習生」をメインに採用するのが自然の流れなのです。
賃金以外に勤労意欲をあげる方法があるとすれば、仕事にやりがいを感じてもらうこと以外ないと思います。

仕事に意味を持たせ、やらせてみて感動させる。これが面白くさらに仕事にのめり込むという流れです。

昔はこのような流れがある会社が多かったと思います。「仕事を任せて成功するためにサポートしつつ、成功を体験させるのです」

努力する楽しさが理解できれば、勤労意欲があがるのです。畜産業は「単純作業」といわれます。
「そうですね」と答えてしまうと話になりません。
たとえば、実際に動物を見る目を養うと話すことができない家畜が求めていることが分かるようになります。そのことでその人だけの能力が開花し楽しさにかわります。(対策することで収量の増加や病気の早期発見による経済的な損害防止等)

そのためにも、仕事を任せてみるという流れになるのですが、分からないのに「やってみな」と言えるはずはありません。
やり方、突き当たる問題、見る目を養うそのヒント等をサポートしないと「ただ真っ暗な中走らせるという」無責任になります。

俺の背中を見ろ。そんな時代もありましたが今は通用しないのです。取扱説明書のように「こうであり」「このように見る」のように教えるのです。

しかし、多くの現場では「仕事を任せる」ことはできますが、サポートがありません。うまくいかないのに心配してあげない。又はうまくいかない理由が分からず一緒に悩んでいる始末です。
これでは、やる気を起こすわけがありません。むしろ「余計な仕事を押し付けて迷惑だ」と言われかねません。

ビジネス書の通りやればよい。そんな方もいます。しかし、現場にあった指導でないとほぼ意味を成しません。
先ほどの「仕事を任せる」はビジネス書でも良く紹介されていますが、その手法については独自解釈する方も多く任せっぱなしとなるのです。
指導者は分かっていても、教わるひとはわかりません。「あいつは仕事が分からないやつだ」という上司は指導者に向きません。

しかし畜産業ではこのような人がいるのも現実です。自身は当然できるのですが、すぐに出来たわけでないという記憶が抜け落ちているのです。

だから、簡単に「あいつは仕事が出来ない」と言うのです。

人に教えることが苦手とは言いませんが、しっかり教えることはその人を伸ばすうえで必須の能力です。もしその能力が経営者以下管理者までできないとなれば、組織は少しづつ崩れ去っていくことでしょう。

それがめんどくさいだから、外国人技能実習生で済ませるのだ。そのような声も聴きます。
でも潤沢にやってくる外国人は今後も潤沢かどうかは分かりません。
もしかすると、最高値を示した会社から順次配置されるような競争する時代もありえます。

でも、その時が来るまでそれでよい。明日より、今日のこの瞬間が大事だという会社であれば「何か違う問題が隠されている」と思えるのです。

これでは、仕事に興味を持ちません。なおかつ「低賃金」では自慢できるものがない会社になり「退職」と続くのです。

これを、やる気がないとか、今の若いのはこんなもので根性がないとは言えません。

そのような昔話をしても仕方がありません。大事なのは、勤労意欲をあげるには「賃金」又は「やりがい」を与えることにつきます。今いる人たちがより能力を発揮すれば「生産性が向上」して利益拡大も狙えるでしょう。これから求人を出すのであれば「こんなやりがいがあり、アフターも万全」くらい
の文字があってもいいのではないでしょうか。

行動して失敗したことは大きな成功を引き寄せるはずです。私自身もたくさんの失敗を経て今日があるのです。やがてそれは、大きな業績となり更なるやる気を育て、勤労意欲が上がること間違いないでしょう。

やりがいは教え方ひとつでやりがいになるか、つまらないに変わるのか。それは教える方の腕次第です。
賃金があげられないのであれば「やりがいを教える」くらいあっても良いはずです。(他に特徴を示せればよいのですが)

人は目的を持って行動するとやりがいを感じます。それが自信になり意欲をあげる。それが最も堅実な方法でしょう。
そのように仕向けるのが真の人への投資になるのです。

外部講師として、研修指導している私から見て最近思う「PDCAサイクル」が実は
会社を盛り上げて、人が成長していく原動力になっていると感じます。
皆さんが思う「PDCAサイクル」とはなんでしょうか。

今回は、読むこととその後の成長が他者(他社)と決定的に差をつけることについて考えて見ます。

私もその昔は新入りでした。入社したばかりの時は周りから教わり自分で学習してやっと会得(技術力)できる。
このような毎日を繰り返し1年、2年と過ぎていきました。その間同期は退職し、後輩も入社したがすぐに退社し、一握り以下の数だけが残っていき中堅社員となっていく。
それが畜産業だと思っていました。

しかし、技術力を持つと人は天狗になり良く説明できないが自身が大きく見えるため教えたがる(自慢したがる)ので、
結果正しく教えることが出来ない。(入社した数年目は私もそのような天狗者だったかもしれません)

でも努力する人はそこからの技術を磨き(工夫や経験が蓄積され予測できる能力が開花し、成功(目的)に向かっての準備(見通しや、予測できる事態、うまくいくイメージ)をしていきます。

準備ができると、それに基づき実践する。結果が良ければ季節に関係なくうまくいく場合はさらに考え応用していく。
成功への精度が高くなり、「○○に任せれば安心」という称号をもらえます。

その頃は、こうすれば高確率でうまくいくという常勝トレンドができうまくいかない場合は「なぜなのか」考えることを自然にしています。(それは、絶対大丈夫なのになぜ?何かがおかしい・だれかの策略にはまったのか?)等被害妄想も交じりますが真剣に原因を考えています(考えないと気持ちが悪いというのでしょうか))

私自身の20代の思い出ですが、この文書から今の自分が見て先を読む力のヒントが隠れているのだと感じております。

今日お話ししたい「PDCAサイクル」が実は、自身の成長のため、やがては会社繁栄のためになっていく原動力である事を皆さんと共有したいと思っているのです。

畜産業には「PDCAサイクルはいらないよ。先を読む力はいらないよ」という人もいます。
「畜産業に携るものは言われたことが出来ればよく、それ以上の能力はいらない」と考えている方が多いのも現実です。
しかし、何もできない従業員が沢山いる会社ほど、それなりの生産量がありますが実は他社からみれば特別なことではないのも現実です。
井の中の蛙ではありませんが、その組織にいるとその中しかわかりません。
ですから、この組織は最高と思っていても実はたいしたことではない。ということが意外と多いのです。
ですので売上げ最高という会社ほど実は平均的であったり、支出が多いため純利益は少ない。
挙句は、畜産業はみんなこうであるという自己解釈で一人納得している畜産家もいるのです。

何かを工夫すれば実はもっと収入が多いのに・・でも気づけないし、気づく必要がない(だって売上げ最高だから)

私の経験から言えることは、先ほどにあるように「周りから教わり自分で学習してやっと会得(技術力)できる」
に始まり、成功(目的)に向かっての準備(見通しや、予測できる事態、うまくいくイメージ)をしていくと進んでいきます。
ここで重要なのは、まず教わることが重要だということです。人は器用であればそれなりに独学で成長できます。しかし自己流となり都合の良い自己解釈が加わるため成功への精度は高くなりにくいという欠点があります。

ですので、教わることで内容を理解し正しい知識をもらうことで自己解釈が正しい解釈にかわり考えて実行すると成功へ進んでいくのです。
先を読む力を身につけるにはそのテクニックを学ぶのではなく、実直に教えてもらい正しい知識を授かることから始まると思うのです。
ここで「俺様はこんな奴から教えを乞うほど落ちぶれていない」等、意識が高く自分が中心で自分が賢いという考えを持つ人ほど先を読む力を会得できないのです。
ここでできないということは、読む前準備なので読めないわけであり、「先を読む」ことはできません。
しかし、先ほどのように「器用な人」であれば、それなりに成長できているように見えます。しかし、一定のところで止まり、実直な人に追い抜かれていきます。

ここが、最初の分かれ道になるのでしょう。


研修の時もこのような人を見ることがあります。その人も「こんな奴に指導を受けるほどアホではない。俺は器用で賢いのだ、基本学習はいらない、テクを示せ」と思っているのでしょう。
でも、数年後管理職研修で職場を伺うとその方は退社されているとのことで、会社に馴染まなかったというのです。

「人は教わることに興味がないと、とことん興味はありません」

実直な人ほど、教わることに興味を示しています(知識吸収にどん欲なのでしょう)教える側もそれなりの知識や教え方が必要ですが、下準備の段階で基本や応用の為の基礎知識を学ぶことで後に「先を読む力が」芽生えてくるのだと言えます。

さて、前準備ができて、「成功(目的)に向かっての準備(見通しや、予測できる事態、うまくいくイメージ)をしていく」というステップに進みます。

私もそうでしたが、基本が出来て家畜を管理していくと状況が理解でき対応策を考え実行していきます。
最初は論理的に説明できないのですが、結果が伴っているというものです。やがて論理的に説明できるように成長していきます。(よく言われる「人に説明できて初めて仕事が理解できる」となるのです)

そうなりますと、自信がつき、自分で予測し見通しを示すことが出来るのです。ここまでできると、常勝イメージができ「自分自身出来て当たり前」
「できるのが普通でなぜ他の人はわからないのか?」等やや天狗かもしれませんが自信を持っているのです。

その自信は、裏付けされた自信(無意識に予測し、見通しを示して実行する方策を検討しているのですから)になります。
そうなると、うまくいかないときに「なぜなのか」考えるようになります。(絶対の自信があったのに、何が原因なのだと考えていきます)


良く見ますとPDCAサイクルに似ていませんか。
Pプランでは「実直に教えてもらい正しい知識を授かることから始まり、計画する」
D実行では「その計画を運用する」
C検証では「うまくいく(常勝イメージ)やうまくいかない(なぜなのか?)の原因を考える」
A改善では「次回も常勝イメージで行く、うまくいかない部分をこのように修正して常勝イメージになる」等改善案をまとめPに戻ります。

先を読む力もあてはまるところがあります。行動する前に予測することで失敗のリスクを回避したり、常勝イメージができることで、その通りの実行で成功をもぎ取ることも言えると思います。それがツボに入ると「あの人は先を読む力がある」と言われたりするのでしょう。

そのような人材が沢山いれば創意工夫で売り上げも上がり、コストを削るための方策も示すでしょう。これからの時代人に投資することで数年後大きなリターンを得る。これが畜産業でも起こると考えています。
よく言われる「技術はいらないよ言われたことが出来ればよいから」と本当に思われる方は実は、「技術」とは何であり、大事なのかを重要視されていないのかもしれません。
畜産業はいわゆる家族経営であり、親の仕事を継ぐのが自然である。井の中の蛙ではありませんが、自分が一番であり、自分が正しい判断をいつも示しているという、でも現状と異なる判断をしている可能性があることを、私どもの研修を通じて知っていただきたいという狙いもあるのです。

今日はPDCAサイクルのお話をしましたが、大事なのは従業員の「先を読む力」を身につけさせることが今後の競争に打ち勝てる唯一の方法なのでしょう。それが出来るか、できないか・・
それが、会社が繁栄するか衰退するか。それを決めるのは経営者の判断だけなのです。

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