nogutikusanの畜産ブログ のぐ畜産認証支援部公式ブログ

認証を支援しているのぐ地久三事務所 認証部署「のぐ畜産事務所」が皆様の認証への理解やメリット・そうでないものあらゆる視点でお話ししています。これから認証を活用したと考えている方や既に取り組みをしていて感じる疑問をこのブログから発信しています。

畜産物の認証を専門にしている事務所から、感じること・思うことをブログにしてお届けしています。2023年8月からはのぐ畜産事務所が皆様の疑問や行動している課題にお応えしていきます。

外国人技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されて3年が経過しました。
この法は、技能実習の適正実施と実習生の保護を図り実習に関し基本理念を定め国の責務を明確化するもので、平成29年11月1日施行されました。

多くの方は、この法のうち技能実習第3号技能実習生があるという項目が有名でしょう。
3年上限が5年まで可能とする制度です。
また常勤従業員に応じた人数枠の倍増も知っている方が多いと思います。

しかし、法令の要である監理団体や実習実施者の義務や責任が明確化するため実施者は届け出制になり、人権侵害には罰則を整備されたという責任という項目を知る方は少ないと言えましょう。

監理団体からチラシをもらって記載はあったけど印象に残ってないというのもあるでしょう。

この法により、摘発や実情が報じられるようになりました。
労働対価の不払い(著しく少ない賃金支払いの事案)、休日に関する違反と生活環境の問題もありました。

この間には監理団体に対する指導や摘発もあり、国は一定の改善を進めている状況でもあります。
しかし、受け入れ側の意識はこの3年間大きく変わるということは少なく、また管理団体の営利目的に対する問題等、受け入れ、管理側双方の法令順守と人権尊重という意識が熟成されていなかったというのもありましょう。

外国人技能実習生に対する考え方が浸透しないと、法令違反ということ自体認識できないということもありますし、労働者であると意識してしまうと雇用関係から考えてしまい、うちの給料が基準で控除もうちの基準と、知らないうちに法令違反をしているということもありましょう。

外国人技能実習生を受け入れることは奴隷を受け入れるとか、人身売買的な指摘をされる方や報道もありこの問題の人権改善を必要とする意見も多く見られます。

残念ながら、日本は労働人口が減少し畜種を問わずその経営体力が優れている所から生き残りが可能になり、体力(多くは現金保有等金銭的要素)が乏しいところはこの先販路(金銭の儲け)のみならず、労働力の慢性的不足が生じると言われます。

ですから、日本人が雇用できないため外国人技能実習生に頼らなければならないという構図が出来上がり、そこにブラックと呼ばれる労働問題、金銭支払い問題、休日等休養の問題といった先ほどの人権改善を要する問題が生まれるという図です。

政府も経営の効率化(特に大規模化)を推奨しておりこの問題を放置しているわけではありません。

しかし、畜産業には大手と呼ばれる大規模経営体は存在しません。
業界内では○○は有名、△△はこの地域一番といわれることでしょうが、消費者から見ればどれも同じで団栗の背比べ状態というのが本音です。

このため、労働者である日本人から見れば魅力ある会社であり、有名であり、世間に自慢できる企業とは認識されず、おまけに賃金も概ね平均かそれ以下であるが、労働内容から見て見合わないという状況です。

多くの農場では日本人雇用に広告を打って満足できる人材確保は少ないと聞きます。
また業界転職もありますが、多くは同業他社に転職するという方は非常にまれです。
それは先ほどのように労働内容と賃金バランスがまだ釣り合っていないからといえるからです。

このようなこともあり、職安に求人出したり、転職サイトに登録したとしても多くは雇用マッチングに恵まれず、いわゆる回転寿司状態となりいつも求人していますという状況で、求人業者が潤うという状況でしょう。

このため、金額を出して人材を確保するということで外国人技能実習生を採用されるわけですが、ここに人身売買と言われるゆえんでもあるのです。

近年は、畜産業においては著しい人権侵害は見ることは少なくなりました。
監理団体の指導もありますが、いわゆる逃げられるということを意識されることもあるのかもしれません。

一昔は、「残業一杯、お金一杯」と面接時に説明し現実と違うことをいう方もいました。

その多くは来日後逃亡され慢性的に人がいないという悪循環に至っているというものでしたが、それは良くないということが浸透し、正直に申告し面接に臨まれるようになり、実習生も選択しやすい状況になったのかなと感じます。

どうしても労働力が欲しいという必死さは分かりますが、日本に来るということは稼ぎに来るという相手を理解した発言でないということを知る方は一昔より少なくなってきたと感じます。

外国人技能実習生は雇用者から見れば理由は何であれ「貴重な労働力」なはずです。
技術を教えたいので雇用したいという方はまずいないことでしょう。

最近は、3年経過して様々な技術を取得しそのまま4年、5年と農場にいてほしいという方も聞きます。実際一度帰国し再度この会社に来るという方もいます。

このように、会社と労働者が同じベクトルを向き、ともに働き信頼関係があるような会社は残念ながら多くはありません。

3年で終わり国に帰り事業を起こすという方もいますし、違う業種に再度働きたいという方もいましょう。それがほとんどの実例であり現実なのかもしれません。

ただ働く外国人技能実習生なのか、人とのつながりがあり長く働きたいと言われるような農場なのか、そうなるようにしたいのか。
それとも人は潤沢いて労働者なのだという方もいましょう。
それはその農場経営者の考えであり間違いではありません。

夏の家畜盗難では、ベトナムの元外国人技能実習生が犯罪にかかわっていたと言われ、芋づる式に逮捕者が発生しています。
SNSでコミュニティーがあり販売していたという報道です。
皆さんの農場ではどの国の方が働いていますでしょうか。

ベトナムの方に限らず、外国人技能実習生にはその国のコミュニティーは必ず存在しており、常に情報交換が行われています。

当たり前ですが、分からない国日本に長期滞在するので話し相手や情報交換して暮らしているのですし、日本人が外国で労働すれば同じようにコミュニティーが生まれるはずです。

ですから、○○が農場から逃げて、○○県にいて△△の友人がいる農場にいるらしい等人の動きもわかるぐらいです。

今後外国人技能実習生から見て畜産業はどれだけ人気を得ることが出来るのか心配です。

現在、受け入れ人数の多い国は 1、ベトナム 2、中国 3、フィリピンとなります。
以下インドネシア、タイとなるわけですが、近年は日本以外の国への技能実習を希望する方が増えています。
それは待遇、労働環境、国の支援等(転職や困りごとの支援等)によるといわれます。

日本は、治安や待遇、アニメといった日本特有の良いところもあるのですが、先ほどのようにコミュニティーでは必ずしも人気とは言えません。

労働環境、低賃金、面接と違うこと、労働先(実習先)からの人権侵害もあり様々な問題が情報として流れていきます。

この結果、第1希望は外国だが、そこに入れない(年齢や技能的要素等)場合は第2、第3希望に日本となる傾向もあるようで、ささやかれている実情もあります。

雇用される方は潤沢なただの外国人であり数年の関係かもしれません。
しかしその環境等問題があるのに第1に農場利益が優先であり人権はその次以下であるという対応では今年は良い人材を得たが、数年後逃亡され、結果日本の評判を悪くし、その農場は実害がないのでさらに問題を繰り返し自覚することがないという状況もあります。

それでは、そう遠くない時代人材確保に困窮してしまう農場も出てくるかもしれません。
そのために賃金を釣り上げて雇用するという日本人雇用と同じ構図になりかねません。

人材は、人財ともいいます。
財産のように大切に扱うことで労働や気づきを農場上にもたらし利益貢献をすることもできますし、人在のようにただ1日農場にいる人になり下がり、人罪となり、農場に悪さしたりする方にもなります。

皆さんの農場にいる外国人技能実習は人材ですが、人財ですか、人在ですか、人罪でしょうか。

この言葉からもどのように農場運営をしていくのか大事なヒントがあると感じますがいかがでしょうか。

私たちは人材を財産のように大切で貴重な人材であるようにヒントや気づきをお教えしています。
これから先、間違いなく人口が減少することから労働力が慢性的に不足し力のある農場へ人が流れることは経済の原理からやむを得ないといえます。

その時、お金だけではなく人をつなぎとめるような方法があると感じます。
それに気づくのか、それとも潤沢と感じ後回しなのか。
この考えが数年後大きな分岐点であったと感じるかもしれません。

本年も中央畜産会主催の農場HACCP認証指導員育成講座が開講されました。
早々に満席となり、コロナによる影響もある中オンライン研修となりましたが、大変関心があることを感じました。

農場HACCP認証への衛生意識がある農場の多さと自農場をより良くそして、安全な畜産物を提供したいという願いがあることを感じます。

今日は、その農場HACCP認証指導員になり農場で活躍されていく農場従事者の方へいくつかのキーワードを差し上げたいと思います。

筆者は、平成時代にこの指導員研修を受講し指導を行ってきました。
もう10年近くなりますが、いくつか農場をご指導し認証へと導き今も検証や審査への対応等農場の皆様へのアドバイスをしております。

農場HACCPの良いところを存分に取り入れて、衛生対策の他、従事者の危害を及ぼす意識と解決策の思考力をご指導していただきたいと思っています。

今回受講する内容は、構築するための手法が主になりましょう。

第1章はこのように作り、第2章では特定事項への備えがあり、第3章では、大変でしょうが作業分析シートを作成し等々7章までの必要とされる事項をどのように満たしていくのかという流れです。

恐らく、この先半年1年又はそれ以上の年月をかけて構築されていくことでしょう。
初回審査では緊張され審査前の懸念事項への対応等道のりはまだまだ長いと思います。

指導員の最初の仕事は、チーム員への理解から始まります。
経営者が何でこの認証を必要としたのか、認証していくには理解が必要であるということを説明しなければならないと筆者はいつも思います。

チーム員と指導員の多くはチーム責任者として組織図に書かれることでしょう。

チーム責任者は5,6,7章だけ関心があれば良いというわけにはいきません。
全体を知りチーム員と検討できるだけの力量を持つ必要があります。

チーム員は優秀であれば幸いでしょうが、多くは現場の方々で認証の内容まではわかりません。
しかしチーム員を避けて文書を作ることは後々大変になります。
構築技法を知るのは指導員であり、構築を進めていけば早く出来上がることでしょう。
その気になれば2章以外作るのに1カ月かからないかもしれません。

しかし、システム運用は農場担当の方が主体になります。
形があっても内容の理解がなければただの押し付けとなりアレルギーが起こります。

何しろ、取り入れて劇的に何かが改善されるということはありませんので、見えない成果では納得が得られないのです。

ですから、経営者がこの認証に何を求めているのか明確化されないと、現場が混乱してしまうというケースはよく見られます。

深い理由はないということもありましょう。

近隣の農場が取得したから、JGAPまで見据えていてそのために取得したいということもありましょう。

それでも構いません。
理由が明確でなければならないのです。

なぜ明確化しなければならないのか。
それは、仕組みに一定の強制力が伴うからです。
例えば内部検証。多くの農場ではそのような検証など行うことはないはずです。

毎日同じ仕事をして畜産物を得るというのが主な作業内容であり、検証を要するという場面は多くはありません。

しかし認証では、第6章に内部検証とシステム更新に関して要求されており、これを満たすために定期的に(多くは年1回又は2回)検証を行うことになります。

そして、検証で得た情報を分析しシステムに反映しより良い農場運営を行うことを求めています。
この検証を行うこと、知見を得て反映させることは時間と労力が必要になります。

チーム責任者の仕事ですが、意外と大変ですし、従事者が農場業務している中で、一人分析結果をまとめてチーム員と協議する準備をしていると、椅子に座り何もしていないというように見られることもあるでしょう。

ですから、周りの理解が必要なのです。

一人で構築風はできますが、構築し運用は出来ません。
だから人と話ができ、理解を得るような力量が必要になるのです。

このように、認証を得るにはその基準を満たす必要があり幾つかは強制力が伴います。
この場面でチーム員や農場従事者の理解がないと、先ほどの通り目に見えない成果でもあることから、
やる意味がない、時間の無駄、もっとひどいとその認証構築に従事する方への非難というのもあります。

このようなことを防ぐためにも、理解させる意味を込めて第5章の教育訓練があります。
これもチーム責任者が責任をもって行うところで、反発を受ける章でもあります。

指導員になる皆さんによい指導者がいればこのような問題点、構築するうえでの問題点が改善できることでしょう。

しかし、周りにそのような方に恵まれない場合も現実あります。
しかし、指導員研修を受けた以上構築をしなければならないという現実から悩むこともありましょう。

中央畜産会でも、認証構築のアドバイス講義もありますので、積極的に活用されることも一つの手です。
無料ですし講義を受けたので必ず認証を受けなければならないということもありません。

何しろ、出来上がりそして教育し審査までもっていくのにどれくらいかかるかわからないからです。

ですから、このような機関を積極的に活用し、これから先悩まれながら構築を進めていく指導員の方々にキーワードを下記に記しますので参考にしてみてください。

余計なことでもありますが、私たちも微力ながらご支援できる事務所でもありますのでご活用いただきストレスなく構築し認証まで進めていくことが出来るようご検討下さればと思います。

1、構築は一人ではなく皆さんと一緒に考えていくこと(みんなで知りそして進めることで強制力にも対応できる力をもたせる)

2、指導員以外は当たり前に気づいていない(構築を開始すると、衛生対策に不備を見つけることもありましょう。それが当たり前であり毎日同じ作業をしているため気づくことが出来ません。井の中の蛙ではありませんが狭い中の世界しかわかりません)

3、常に情報を得るアンテナをもちましょう(指導員であればテキストだけあれば構築可能と思わないこと。色々な情報を取れる耳をもちましょう。10月法令改正もあり昨日までの基準が今日から変わり審査前に懸念事項として抽出され対応が大変です。出来上がりは1年以上先となり古い情報で作成していることもしばしばです)

4、コミュニケーション能力を磨きましょう(農場からの不満に対応できる技を身につけお互いストレスを感じないような関係を作りましょう)

5、持久走のように長い時間に耐える忍耐が必要(認証文書は長い期間かかります。そのため途中で飽きてしまうと構築する力が落ちてしまい後で苦労します。持久走者のように長い期間安定した構築力を持ちましょう)

日本政策金融公庫農林水産事業は、融資先対象とした景況調査令和2年7月調査を行い9月に公表しました。

7月といえば、外食が低調であり人々の感染への関心が非常に高く、巣ごもり需要が継続し企業の夏季賞与(ボーナス)の大手減額が話題となりました。

宿泊業、飲食業の廃業が続き、裁判所の受理抑制があることから破産手続きが遅延している状況でもあります。
その7月は北関東での家畜盗難もあり市場動向のみならず家畜という財産の盗難もあり農場皆さん大変ご苦労されていた時期でもあります。

現在の10月は中旬以降市場動向が明らかになりますが、7月よりは状況が改善されているようにも見えます。

まず、消費動向では9月のシルバーウイークの消費拡大や外食機会の増加、旅行等宿泊先等での需要見込みの増加等人が動くことで畜産物の消費機会を得ることが出来ました。
10月もGO TOトラベル東京発着設定、イート、クーポンと消費を促す政策が始まり更なる期待もされるところです。

では、7月時点での景況とその先の予測を含めて考えて見ましょう。
まず、景況感の設問では経営が良くなったから悪くなったを差し引いた数値で見た場合、
7月実績で肉牛がマイナス78と近年にはない指数の悪化があります。
報道や業界誌にもありましょうが、多くは消費低迷により需要の減少が原因です。
消費の機会が消失したというぐらいの激震が走ります。

高級店の営業休止場合によりその後閉店があり、国内スーパーでの販売低迷もあり消費する機会に出会えていないという状況です。
その後本年末までの見通しもマイナス78.8と変わらず厳しい状況が続くと予測している経営者の見立てになります。

一部は、通販での販路開拓、ふるさと納税での返礼品とした消費拡大、学校給食での食材使用で地域での消費等策を考え実行されていますが、取引値に大きく貢献できる状況には至っていません。
10月時点でも、外食は7割は回復したとみられていますが、高級店等食材の需要先の再開はまだ多くはないようにも見えます。

これは企業の接待、単価の高い食事を楽しむ世帯の活動に変化があり、企業は会合そのものを見合わせて感染防止を徹底しているところや、食事を楽しむ世帯も消費の方法に変化が見られます。
このこともある中、高級旅館での地域牛肉はある程度需要が見込まれますし、年始のお祝いに地域産に引き合いがあるように見えます。

しかし、家庭消費向けは厳しい状況が続く可能性があり販路の見直しや拡大が必要と思われます。
すでに、スーパーでの国産牛肉の扱いは小さくなりつつあり、価格競争が本格化した畜産物とも言えます。
外国産が多くなりその中でも安心と言われるオーストラリア産等に人気があり売れ筋ともいえます。

一方国産の扱いは現状維持を考える店舗が多く、次いで縮小するというところもあり価格が第1である状況に変化が見られません。
このことにより、高級外食、焼き肉等単価の高い飲食店へのシフトが進むわけですが、本年の状況から外国人観光もなくなり、市中の人の往来が止まり、観光も減少したことから、店舗の休止や廃止となり販路の縮小となります。

一方高級魚はネット販売や、高級魚の低価格帯店舗(回転すし)への販売による需要増加、県が補助した高級魚の配布もあり消費者との接点を持つ政策が進みました。
しかしながら、畜産物はそのような動きが最近見られるようになりましたが、高級であるがゆえ返礼品、ネット販売が主流で消費者接点が弱い状況が続きます。
更なる消費喚起が必要な状況が続く可能性もあり、今後が注目されます。

次に、養豚ですが近年は市場価格の好影響もあり又外国産の一時的とはいえ輸入の遅延、消費者からの価格から見ても支持される状況が続いていることから、7月実績でもプラス27、年末までもプラス35と安定した良い状況が続いています。

外国産も堅調に輸入されますが、国内消費は安定しており部位や時期により変動ありますが、概ね安定した状況であり今後も続くと予測されます。
巣ごもり需要が続く状況からそうなることでしょう。

豚肉はお金のない方が食べるという俗説を唱える方もいます。
もしその俗説が正しいというならば日本は高級品を購入できる世帯が年々少なくなっているということにもなり、俗説で片付けるような話にはなりません。
関東から北の方は豚肉を好んで食べる方が多く味付けや肉そのものに馴染みあります
一方関西地域の皆さんは牛肉がおいしいという方が多いと聞きます。
すき焼きには牛肉か豚肉かという話題もあります。
地域により消費スタイルは多様ではありますが、現在のところ豚肉に安定した消費があるのかもしれません。

鶏卵は、7月実績でマイナス37と昨年の実績値とほぼ同じ悪化している状況です。
年末までの見通しもマイナス49.1と平成24年の実績に近い悪化を予測しています。

7月時点では、相場価格は大変低調時期でもあります。
生産量が需要を上回っているためで外食需要がなくなったことが要因です。
春先までは巣ごもり消費により相場安定がありましたが、季節要因により相場低迷となり夏を迎えています。

10月時点を見ますと、相場は緩やかに回復を見せています。季節需要があり外食向けも昨年より弱いよう見えますが春先より改善が進んでいます。しかし大手鶏卵卸等は生産量多いことによる相場上昇の弱さを危惧しています。
生産側からみますと、採卵鶏を増やしている状況があることから冬に向けて需要が高まる例年と同じになるのか注目しています。

次に具体的な影響の内容を聞く設問では、肉牛と採卵鶏は「相場の下落」が突出して多く肉牛は97%、採卵鶏は89%となります。
次いで出荷ルート・既往販路の縮小停止と答えています。

養豚では、既往販路・出荷ルートの縮小停止と答えています。46%

また、コロナ下における課題を聞くと、肉牛では58%がコロナ支援関連の情報収集と答えており補助金や政策を必要としている姿が見られます。

養豚では、生産体制や労務管理の見直し(衛生対策含む)に46%が答えています。
養豚では豚熱による影響が春先まで話題になったことから柵を設けたりして野生のイノシシの侵入防止や感染防止対策を重要視していることが分かります。
もちろん売上げに心配がないわけではありませんでしょうが、販路の回復(取引高の回復)と答えた割合は8%と衛生対策に高い意識が向いていることが分かります。

採卵鶏では、販路の回復(取引の回復)を希望している方が40%と高くついで設備投資と答えた方が38%と僅差になります。

採卵鶏は設備が増強した場合飼養羽数が増えて生産量が上がります。
設備が最新化した場合作業の平準化とそれに携わる人員抑制に効果があると言われます。
自動化が進むことで作業工程に要する人員数(いわゆる延べ人工数)が減少します。
但し、設備増強だけでは生産量増加に貢献できない(機械制御に技能的要素、管理する人員には管理能力を必要とするため)ため、3つ目に多い人材育成・確保・雇用維持と答えた34%となるのでしょう。

市場は、季節に応じた上昇基調にはなっています。
しかし生産量が増える場合需要が多くない場合は相場安に転じてしまう危険性がありシーソーゲームの様相になる可能性もあります。
この2年は生産抑制政策である成鶏更新・空舎延長事業が発令されており需要に応じた生産をするよう業界内では指導されています。
しかしながら業界は生産規模増加が進んでおり1農場の飼養羽数は増加気味ですし現在のトレンドになります。
このため力関係が重要になるとも言われ、羽数が多いから安泰となるのかこの先5年10年先に変革が生じるかもしれません。

このように7月調査では多くの経営者はその先の年度末まで見通した指数は厳しいと答えている現状は日本経済の低迷が長くなりそれに伴い畜産物への影響が大きく表れ、回復が遅れると見通しているようにも見えます。

畜産物の多くは収入に補填がある政策がありますので明日来月には資金が底をつくということは稀とは思います。
しかし、補填がある政策の多くは掛け金を要します。
今後この掛け金拠出に苦労されるような農場も発生するかもしれません。

相場低迷は収入の低迷でもあり赤字だから相場が好転するようなこともありません。
需要と供給につり合いがない限りどちらかに傾くのは市場原理であり逆らうことが出来ません。
できれば国の支援政策が進み畜産物への消費拡大のための政策を積極的に進めて頂きたいと思います。

少しづつ回復を感じるようになった10月、夏の調査では大変苦労したけど来年7月調査では回復が進み回復基調であるような結論となる景況感であってほしいと本当に願うしだいです。

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