畜産を専門にコンサルティングしている者が見た、今の畜産業をわかりやすくお伝えいたします。

16日神戸地方裁判所で安い牛肉をブランド牛として大手焼き肉店等に偽装し販売した事件の初公判が開かれました。
精肉卸販売業の元社長と従業員が共謀し2017年6月と2018年10月に合わせて24回交雑種を和牛肩肉として104キロを販売したもの、
国産の安い豚肉を国産ブランド「ひょうご雪姫ポーク」のヒレとして大手とんかつチェーン店に販売したとして不正競争防止法違反に問われています。

犯行には、識別番号の使いまわしや伝票の書き換えをしており、理由として販路が拡大したため同等の肉を納品すればよいという考えがあったと供述しており、検察は偽装しそのことで不正に利益を得たとしています。
裁判は16日に結審し判決が待たれますが、このような偽装は消費者に大きな影響を与えます。

過去、食肉の偽装は大きな影響を与え消費行動にも表れるような事件が過去ありました。
その代表として、2007年北海道で発生した牛肉ミンチ偽装事件が大変な影響を与えました。
当時、牛ひき肉に豚ひき肉、鶏ひき肉や豚の内臓を混入し牛ひき肉と表示し販売していたというものです。
当時のその手口に多くの消費者はそのずさんな食肉が流通できる環境が国内にあるということ、内臓を入れると見た目や味が似ている等ショッキングな内容もあり、一気に国産は安全なのかという疑問符が全国に広がりました。

その後ひき肉にはいろいろなイメージが付きまとい、販売店頭ではブロック肉がスライスになり、その後売れ残るとひき肉になりと、リパックと呼ばれる業界用語も飛び出し、国産肉への疑念が強くなりました。
その後の現在でも、店頭のひき肉は日持ちしないのはそのような過程を経て製品化されている。
すべてのお店がそうでない販売方法でも、そういうものと信じてしまう消費者が少なからず存在してしまう結果となりました。

生産者にとっては国産肉は外国産より安全でないとイメージされることは、価格訴求されるうえでは到底立ち向かうことができない現実を突きつけられとても大変なことでもあります。

国産肉は安全であり安心というブランドで成り立ち、価格が高くても消費されると言うのが消費者から見ての現実です。
その安心が崩落した時、わざわざ安心でないものに高い肉を購入する意義を感じないとなるのは自然であり、消費者を責めることはできません。

また、一部の方を除きまだ神話として語られ続けていますが、外国産は国産に味が劣るということは正直ありません。
それは外国も日本等輸入国に合わせた改良を進めており、味が一番の国産と信じる消費者は以前に比べ少なくなっています。
つまり、味や安心には国産も外国産も境はなく同じと認識されつつあり、最終的に価格で決まるという国産には不利な条件が整ったことを意味します。

この状況は年齢が低い世代ほどそのように認識しており、消費行動と一致します。
国産は安全であり安心と信じる方は比較的年齢が高い世代に多いというデータもあり、これも現実と一致しているようにも感じます。

実際、価格が安い外国産を試食して、結果そん色ないからこそ外国産に抵抗を感じなくなったということもあります。

特に牛肉は外国ではWAGYUと呼ばれ過去和牛の種が外国へ持ち出され国外で繁殖され、それをWAGYUと呼びますが、和牛とそん色ない風味や肉質として外国で販売されています。
このため、外国でも和牛は人気ですがWAGYUも同じものと認識されつつあり販路が心配されている現実もあります。

牛肉はその昔BSE問題もあり一気に牛肉に対するイメージが変わりました。
この問題は2000年狂牛病と呼ばれある部位が原因で引き起こされる健康被害で食肉店や加工業、外食、そして生産者幅広く牛肉に対するネガティブな事件となり、当時は社会問題として取り扱われました。
現在は、危険部位は除去され健康被害はないのですが、当時はこの問題の他これに関する偽装事件(外国産牛肉を国産と偽り国の補助金事業を悪用した詐欺事件)も発生し、大手乳飲料メーカーの関連会社をはじめ食品偽装事件と呼べる問題が続きました。

現在は、この点を意識する消費者は少なくなりましたが、これだけでも肉用牛に携る方々大変ご苦労をされました。

いずれも生産者の落ち度や過失があるものではありませんでしたが、消費者はこのような事件があることで買い控え、他の畜種への転換といった行動に移り、結果生産者へそのしわ寄せが押し寄せました。

今回の事件も食肉偽装事件として報道されています。

その結果は、その販売店だけでとどまらず、消費者までその影響が及ぶということをまた忘れてしまった事件でもあります。
消費者には味は分からず、見た目も区別つきにくいことから悪用するのかもしれませんが、消費者は先ほどのように安全であり安心があることを意識して購入行動をします。味は多くは外国産と同等と考える方も多いかもしれません。
その中でも、高くても購入していただける消費者を裏切ることは、結果購入する動機を失い外国産で良いと考える最も国産にとってマイナスになる結果を招きかねません。

消費者は声を上げて抗議するということはまれです。
そんなことより消費者個人個人が何が安全になりうるのか、それは国産なのかそん色ない外国産なのか。
と考えて行動に移ります。
それが消費行動になり売れ行きが下がり、後になって問題が生じていたと改めて認識すると言うものです。

一度失った信頼は回復に時間がかかります。
最悪は回復できないということもあります。
食品偽装にかかわった会社の多くは大手であれば該当子会社の廃止、個人規模の法人であれば廃業しその姿を消します。

しかし、販売先に関心を持つ消費者はそう多くなく、一般的に偽装したひき肉、牛肉、ブランド豚肉と記憶され、その被害回復まで長い時間を要します。

鶏肉も2020年紀州梅どりを生産する農場が鳥の死骸を放置し、大量の鶏糞を遺棄した問題で、ブランド鶏肉に対する関心が集まりました。
興味本位で調べたり、揶揄する表現にこのブランド鳥を用いたりと信用が毀損された事件でもありました。
鶏肉に関しては偽装ではなく、飼育に関して不適切でありかつ法令違反というものですが、これだけでも問題視する結果となりました。

偽装は、生産者が意図的に行うことは多くなくむしろ真面目に生産し、出荷したその後の行動により被害を受けることが多いのが特徴です。

しかしWAGYUのように意図的に外国へ種を売り出す生産者もまた存在していました。
軽率な行動がその後の和牛というブランドが毀損されていくことを想像できなかった事例でもあります。
同じものが、種苗にもありサツマイモ、イチゴが有名です。近隣の国へ持ち出され生産し味は同じで輸出に今後影響を及ぼすという同じ様相です。

そして、その被害を一番負うのが生産者となります。

偽装にかかわる方々はこの業界から去ることで忘れ去られますが、製品に対する毀損はそのままで消し去るまで長い時間を要します。
味にそん色ない外国産と価格で対抗するには非常に不利な状況で何を訴求できるのか。

そう考えると、国産には安全であり安心というキーワードは必須になり、その後に外国産にはない付加価値があり、味や見た目も国産が良いと呼ばれるような製品があるととても良いのですが、消費者の関心は時代と共に変わります。

ですから消費行動を把握するのは畜産物の存続させるうえでとても重要なデータになるのです。

食べるものが豊富であり選択肢が多いこの時代、絶対に国産と呼べるのか、その意識を消費者に伝え続けるには生産者の努力だけでは解決できない現実があります。

違法の品を取り締まり、発生させない認識を定着させることも大事です。
しかし、心のスキを突いた偽装はどうしても後を絶つことができません。

それは発覚しにくい、発覚まで時間がかかるという要素もあります。
その結果の代償は偽装した者のみではなく、生産者が負うことになり、それが長い期間続くということがあります。
業界でどのように考えるのか、改めて考えなおす時期なのかもしれません。

茨城県は19日、城里町で発生した採卵鶏農場に対し家畜伝染病予防法により指導を行ったと発表しました。

家畜伝染病予防法のうち飼養衛生管理基準がすべて順守されていることを点検し、県の立ち入り検査を受けて確認するよう指導されました。
家畜を再導入するまでに検査を受ける必要があるとしており、その方法を構築しない限り農場の再稼働ができないということです。

家畜を飼養されている方全てに対して行うべき基準ですが、今回鳥インフルエンザにより疫学調査から従事者や飼養衛生管理について確認した結果から、
不備の点、飼養衛生管理基準を満たしていないことについて今回指導を行うこととなったものです。

それによれば基準の不遵守は2件
「第26項・ねずみ及び害虫の駆除」と「第21項・家きん舎ごとの専用の靴の設置及び使用」です。

このうち、第21項については鶏舎奥側通用口からの出入りの際、長靴の交換をせず(踏み込み消毒のみで鶏舎用でないもの)出入りしていたこと。
としています。

この奥側とは、主に死亡鶏の搬出や除糞ベルトのスイッチを入れるための出入り口で便宜的・構造的に使用する場所と推察できます。
多くの農場は都度長靴を履き替えることを想定した鶏舎動線を想定していません。
出入りは入場用やこのような作業用・避難用出入り口として図面に落とし込み建築をされることが一般的です。

実際鶏舎専用の長靴の使用という意識は恐らくここ数年のことではないでしょうか。

それまでは、農場敷地内は鶏舎用も兼用するという流れが一般的で、鶏舎に入る際に踏み込み消毒し殺菌するから良い。という考えがありました。

育すうや孵化場のように特に注意しなければならないような施設を除き成鶏舎での意識はそこまで高くなかったというのが本音でしょう。

例えば、死亡鶏の処理設備が鶏舎の奥側というのは一般的です。
誰もが来客や見学者の目に留まるところに設置はしませんし、主たる入り口周辺には飼料タンクがあり設置しないというところもありましょう。

それは、除糞時のたい肥舎も同じです。
そうなると多くの場合、メイン出入り口での長靴の履き替えは行いますが、他人の目につきにくく、一時的の立ち入り(回収やスイッチ操作)であれば踏み込み消毒で代用というところは意外と多いと思います。

それが油断となり従事者の意識を下げていきます。
数秒の滞在であり、3秒ルールではないですが「まあいいだろう」となる傾向があります。
これがあらゆるところで広がり、そのうち「少しならいいだろう」に変わり、そのうち「天気が悪いからいいだろう」と拡大解釈が進みます。
そして、他の従事者にも広がり形だけの作業となり、本来の目的を忘れるという流れになります。

家きん舎専用の長靴というのは、意味がないという方もいます。

しかし、外から履き替えることでリスクを遮断できることがまずメリットの1つです。
特にたい肥舎からの長靴はどのように感じますか。
自宅に土足のまま室内に入る方も多くはないと思いますが、なぜ皆さんの家は外靴から履き替えるのでしょうか。

また、踏み込み消毒の効果は薬剤、季節、水温・水質により効能が変わります。
薬剤=万能な殺菌ではありません。
しかし踏み込むことで安心感を得るためそこまでの意識を持つことができないということもあります。

冷蔵庫は昔魔法の箱といわれました。
それは腐敗しないからというものですが、腐敗しないと信じる方は今の時代ないでしょう。

であれば、リスク承知で侵入されるより、履き替えた方が結果安心を与えることでしょう。

踏み込み消毒しか していないといわれるより、毎回鶏舎用長靴に履き替えていたと言う方が間違いがありません。

しかし、構造的に後ろが作業口である場合常時施錠するというのも不可能です。
それは用があるのに出入りしないという無理があるからです。

実際そのような農場も見ますが、除糞時の操作は踏み込み消毒のみの後ろドアからの出入りというところでありあまり意味を持ちません。
ですが、農場管理者はよくやったと満足しており本来の目的を見失っています。

無理なルールは意味を持ちません。

それは特例が出来それが標準になるからです。

今回のように、出入りをやめれば解決できると考える方もいると思います。

しかし、それだけでは特例を作り「作業時のみ開錠し履き替えて行う」とするでしょうが、先の通り目につきにくい場所は多くは履き替える手間を意識し、踏み込み消毒に頼る疫学調査での指摘と何らかわりません。

ですから、構造から見直ししなければ無理が生じます。

ある農場は外から操作できる簡易スイッチを作り除糞をしています。
機械の回路を変更し、簡易スイッチで動作入切をし入場をしない構造にしています。
これは堆肥舎へ立ち入りしているために、鶏舎への立ち入りをなくしているためです。

除糞時間を従来より長めに設定し除糞による事故を防ぐ対策を講じてもいます。

多くは、除糞から利益が発生しないため短時間で完結するところが多いと思います。
しかし、よく見ますと短時間であるがゆえ安全な対応時間がなく、結果重大な事故・除糞ベルトの破損や折れこみにより除糞の中止や後日修理のための作業変更と修理部品代の請求と損失もそれなりに大きいと感じます。

大事なのは、重大な事故を防ぐ対策をどのように盛り込むのかが大事で、時間ではありません。

時間は大事ですが、無駄にしない時間がとても大事です。

仕事はただ早ければ良いという時代ではありません。
機器類をフル活用する鶏舎が主流で、作業時間の効率化を目指しているわけで時間を稼ぐために犠牲にすること自体が危険です。

多くは、時間短縮が美徳と言いますが、本当に大事なのは短くするためにどのような対策が入れ込めるのかであるということに気づかないことが原因と見えます。

今日故障がなくても、年に数回部品交換やベルトの張替えではコストが逆に高くなります。
ベルトも安くはありませんし、従事者で張替えできるほど時間や暇はないでしょう。
作業だけでも数時間、半日場合により1日程度かかるような大事故です。
従業員に1日その仕事をさせるような余裕があれば良いでしょうが、人件費から見てそのような采配が良いのかわかりません。
自農場でできなければ、機材を持参した職人が1名数万円×複数名の作業賃も別にかかり、廃材処理費もかさみます。

どちらが結果良いのかは一目瞭然ではないでしょうか。

第21項では、ねずみ駆除よりも野生動物の侵入機会を放置していることを問題視しています。

多くは、ねずみを駆除するために防鼠処置をしていると思います。
しかし、よく農場を観察しますと壁が壊れ、そこを寝床にしているねずみや、集卵カバー、除糞ベルトカバー等猫やその他動物が侵入できる状況になっているところも見ます。

変わった農場では、金網でカバーを巻いて侵入できないようにしていますが、修繕するために金網を外しそのままになっている残念な農場も見ますし、今回のようにカバーがないことで侵入しやすい環境にしているところもあります。

どちらも、壊れたものをすぐに対処すれば解決できたのでしょうが、時間がない、人がいない、部材がないと「ない」ことを優先し、どうしようと考えることが遅れたことで、忘れた、景色に同化し壊れているが問題でない等意識が薄れたことでその結果そのまま放置となるということもあります。

大事なのは、野生動物の侵入が大きな損失になるという意識を持つことがとても重要なのです。

近年は外国の方が管理をするようになりました。
よく気付き報告する方もいますが、業務範囲以外は気づけないという方もいます。
また報告しても受けての日本人が関心が薄いことで結果放置してインフルエンザ発生し調査を受けて指摘されるという目も当てられないことにもなりかねません。

何回かブログで取り上げていますが、人への投資はとても大事なことです。

昔のように見て覚えて、後輩に教えるような時代は去りました。

そもそも関心を持って見て興味を持って覚えて教えるほどに理解できるような人材を育成できなくなっていると感じます。

それは、単純労働者だから必要がないしそんな経費は払えないという点があります。
だから多くは、指示を受けることができればよく、言うことを聞ければ良いが良い従業員と解釈してしまうのでしょう。

確かに単純労働ではありましょうが、それを管理できる人材も残念ながら単純労働者だったという事実までたどり着ける方はそう多くはありません。

それが、今日まで鳥インフルエンザのような重大事故発生はなく、器具の破損は多いがそれだけで済んでいたが、ある日重大事故が発生するということも十分にあります。

鳥インフルエンザ発生件数は本年51例(関連農場含め75農場)で全国の養鶏場からすれば微々たる数かもしれませんから、なる確率は非常に低いと感じることでしょう。

しかし、近年は同じ地域で連続発生し、再発が途切れないという状況です。
同じ地域で数件発生だけでも同じ地域に属していたら、それは確率が低いとは言えないぐらいのことです。

ですから、人への意識を変えていく、持続させるということはとても大事なことなのです。

近年は、外来者への対応はとても厳しくなりました。
それは伺う者からしてもとても良いことと思っています。
しかし、内部の従事者が十分な対応でなければ結局がわきが甘いことで侵入を許すということもあります。
今年の鳥インフルエンザ発生では、日常防疫対策が厳しいところでも散発して発生し被害羽数が甚大でした。

疫学調査を見る限り、従事者の対応やねずみ等野生動物対応について指摘を受けているところを見る限り、農場内がシステムが先行しすぎて人が後れを取っているようにも見えます。

鶏舎システムが発生源になることはありません。
確かに鶏舎用長靴の使用がないことだけで発症するとは考えられませんし、野鳥からの排出が例年以上に多いという指摘もありその可能性が高いとも思えます。

ネズミの足跡があることでそれが発症させたという根拠も十分ではありません。

大事なのは、侵入させないための対策を講じることであり、それが人の意識の持ち方ひとつで大きく変わるということです。

私どものような外部者は出来る限りの準備をしてご迷惑をおかけしないという意識で伺います。

しかし、従事者の方の意識が高くない場合、侵入させないという考えまでたどり着けません。

一部は、とても手間な作業をしている見栄えのためのアイデアを出す方もいることでしょう。
しかしながら、無理がある方策は今日明日来週までは何とかできるでしょうが、そのうち「どうせ見えない」、「見られない」、「時間がない」という意識の低下により忘れられ、結果準備した費用や器材だけが負債として残るだけになります。

考えることはとても大事です。考えなく見栄え、カッコつけるためだけではとても物の急所を捕らえることはできないでしょう。

そのために教育が必要なのです。

最近感じている、インフルエンザによる被害が過去に比べ甚大というのは、菌の強力化もありますが人の防疫意識の見直しも根底にあるように思えます。

これから、人材を確保するだけでもとても苦労される時代になり単純労働者だからでは解決できない時代が今回の件から見えたようにも感じます。
まもなく3月。中旬ごろまでは鳥インフルエンザ発生という報道も聞きます。

まだ油断できない時期ですがこの問題を契機に防疫意識とは何かそれはどうすればよい方向にむけることができるのか。
考える時期なのかもしれません。

先日コンサルティングをさせて頂いている農場より認証の意義について伺う機会がありました。
認証のために準備し、お金を払う。そして更新しお金を払う。
そんな繰り返しで、認証を受けて農場側のメリットが感じられないのだが。
という内容でした。

確かに、多くの説明では「販売先に対し安全や安心の差別化が図られる」とか、「労働や環境に対し意識した取り組みが得られる」とか、「製品の安全性を確保できる」といった話が良く聞かれることと思います。
ご質問での核心は「利益が得られるのか」というところが多いと感じます。

まず農場HACCPを考えて見ますと、農場での危害を確認しその排除できる手法を確立させることで、畜産物へのリスクを一定程度軽減していると言えます。

多くは、畜産物へのリスクが消費者へどの程度与えるのか未知数で、実害報道がほとんどないということで見えにくいことでこの取り組みが分かりずらいというところが多いと感じます。

実際、畜産物の危害は食肉ではほとんどありません。

これは、素畜がそのまま消費者へ届けられていないため、流通の段階でリスクの部位が除去され製品化しているためです。
ですから、肉製品に異物というのが消費者へ届けられるという事例はまずないと言えます。

このため、農場HACCPを取り入れて運用する農場では、と畜場での廃棄率をどのように下げて品質が高い状態を維持できるのか、そのためにも廃棄しなければならないとは何か。
そして廃棄する要因を未然に防ぐための作業の確立をまず考えます。

これにより、自社畜産物への信用をつけることができ廃棄率が下がり、その分利益が確保されるという流れになります。

一般的に、畜種問わずと畜場では廃棄する部位が存在します。
その多くは病理性で食用不可(全部廃棄)とされたり、一部廃棄と判定されます。

豚では、と畜場により異なりますが、ある県では10%が一部廃棄判定、全部廃棄は0.1%と公表しています。
牛では、ある県ではと畜場によりますが、一部廃棄判定が0.5%、全部廃棄判定は0.1%となります。(廃用牛はそれより高いと言われています)
その後のせり前再検査で異常が発見される場合もあり、さらに廃棄があると言えます。

このように、廃棄されることを未然に防ぐための方法を確立するために取り入れるという農場もあります。

この農場では、病気を防ぐための飼養管理のあり方を考え、健康な家畜をどのように育てていくのか作業方法を作成し、実施し、検証し、次へのプランを作るいわゆるPDCAサイクルを回しています。
農場HACCPではHACCPの危害除去を取り入れ、結果健康的な家畜を育てる土台を構築します。
また作業を適時見直しをして絶えず良い状態を探す考えを持ち続けていくPDCAサイクルを回しています。


ですから、HACCPだから安全であり安心であるということではありません。

大事なのは安全であり安心な方法は何かを考えるということで、その考えが実行されその通りの結果を生んでいるからこそ、認証審査を受けて認証される農場であると、第三者が判断した証でもあるのです。

しかし、商品の差別化と安全は必ずしもイコールにはなりません。
そこが最大の問題であって質問を受ける内容が多い事例なのです。

現在、農場HACCPだから積極的に買い入れるという流通業者はあまり見ません。
それは安全であり安心が当たり前であり、肉製品は今お話した通り事前に廃棄され消費者へ届くことはありません。
ですから、分かりづらくメリットを感じないと言えるのでしょう。

しかし、安全であり安心は継続している限り第三者へ目に見える形で示すことができます。

また、残留基準値を超えることを収去検査(都道府県が行う商品を抜き打ちする検査)で違反を指摘される事例も、ある県で豚で年0.1%発生していると報告されています。

病気予防や治療で必要なことですが残留薬剤のリスクまで検討していることと、HACCPシステムで休薬はいつまでありリスクを回避する方法を確立している農場では、明らかに違いがあります。
それが引いては信用となり自社への畜産物への関心が高まる第一歩になります。

収去検査での違反は公表されますので、社会的(地域内)での影響は避けられません。
わずかな注意力がないことで大きな損失を生む事例ですが、事前に方法があれば防げた問題でもあります。

鶏卵は特にこの点が意識されます。
毎年発生はしませんがこのような事例が発生し、製品回収やお詫び広告を打たなければならないという事例も見られます。
鶏卵は危険部位を未然に除去しているわけではありませんので、そのまま梱包され販売される性質があります。
ですから、腐敗卵があったり、残留農薬違反事例があります。

これも、システムが十分機能していれば未然に防げた事故でもあります。
農場HACCPではこれを危害と意識して対策を構築するのです。

多くは消費者が食しても害がないといいますが、法令により違反であることは事実であり害がないでは済まされません。
そもそも害がなければ良いでは企業としての存続意義が問われます。
ですから未然に防げることを防げなかったことが重要で、大事故をおこしかねない状況にあると認識されます。

場合により販路先はこのような企業等からの買い付けを取りやめることで大きな損失になるという事例もあります。

このように、認証には利益がないから意義を感じない。
というお話を聞きますが、そもそも認証では楽に食べるくらいの利益は生まれません。

今お話したように、農場の防衛策として意義があり、それが引いては信用となり、やがて自社製品に目が留まり利益を生む機会を得るというのが本当でしょう。

ですから、車の任意保険を掛けているが、利益が出ないという話と同じで信用や保証といった農場の要の部分を構築し第三者が認証しているという制度であるということがわからないと、利益に結び付かないしか印象が残らないのでしょう。

多くは、信用や自社への自信があるのかそれとも今日まで事故がないので明日もないという占い的安心があるのか分かりませんが、畜産物の根底部分の安全がひいては利益に結び付くという点は間違いではありません。

JGAPも同じで、農場HACCPの主要部分は同じように構築しなければなりません。
(食品安全(危害要因)、家畜衛生を農場HACCPの仕組みを採用し製品の安全を確立しています)
その他外国では常識的なお話ですが人権、労働、環境、アニマルウェルフェアも重点的に意識をします。
これにより世界的なGAPに近づける狙いもあります。

GAPは商取引上意識したい項目を制度化しており世界にいくつものGAPが存在しています。
GLOBALG.A.PやCANADAGAPといったものや、日本のJGAP、ASIAGAPもあります。どれも規定90%は同じ構成で10%程度はその国独自の構成になっています。

これにより世界的食品企業体GFSIはこのようなGAPを信用できる食品安全の認証制度とみなしています。(JGAPを除く)
JGAPの上級版はASIAGAPです。
しかし現在は家畜畜産物を対象としていません。
また畜産物はGLOBALG.A.Pにありますが、それ以外は想定されてはいません。

まだ範囲が狭いのですが、すでに国際的にも通用できる世界を意識した仕組みを農場へ取り入れることは可能です。
GFSIには日本にもなじみある会社が名を連ねています。
また国もGAPを推進している企業をGAPパートナーとして紹介しており普及を目指しています。

国際的に日本の農産物を輸出したりする上では世界共通の認証はとても大事になります。

畜産物版のJGAPは2017年制定でまだ4年しか経過しておりませんが、今後このような世界を舞台に自社製品が採用される可能性もあるかもしれません。

現在は、一部農場と商社が世界へ輸出しているというのが現状で必ずしもGAPや農場HACCPを必須としていません。

このこともあり、取得の意義を問われてしまうのですが、国内でもまだ十分にJGAPによる差別化が進んでいると言うほどでもありません。
まだ年数が浅く先行した農産品ではGAPの浸透が進みつつあります。
それはHACCPと同じように食品安全の分野で興味を持つ販売先が少しづつ増えているからでもあります。
青果物では、残留農薬に関心がある消費者が一定程度あり無農薬や減農薬といった表現がありますが、特にGAPを意識した流通業者はこのような表現だけの商品より、信用に足りるGAPを物差しにしていることもあり、このような企業ほど積極的に販売すると公言する企業も存在します。それが先ほどGFSIやGAPパートナー企業がこれにあたります。

今後、畜産物も同じGAPであり同じように進んでいくと見られますがもう少し時間がかかるのかもしれません。
ですが、積極的に認証を取り入れる農場ほどその先を見据えており、まずは自社の安全であり安心できる商品の構築を作り足固めをしているところが多いと感じます。

世界経済や日本経済の不安定さもあり、価格が第1となる消費動向ですが今後経済回復と同時に価格も大事だが安全も大事と考える消費者がまた戻ってくることでしょう。そのためにも自社の足固めにまずは認証されるぐらいの構築を進めていくのも、数年先大きな違いとして現れることでしょう。

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