畜産を専門にコンサルティングしている者が見た、今の畜産業をわかりやすくお伝えいたします。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年2020年は我慢の年であったことと存じます。

畜産物の需要の減少や相場の低迷等何かと我慢をしなければならない2020年でありました。

私ども事務所も、新型コロナウイルス感染拡大により職員への感染防止の観点から活動の一部制限し皆様には大変なご不便をおかけいたしました。
なお、東京事務所は当分間お客様のご訪問は遠慮いただくこととしますので、しばらくご迷惑をおかけいたします。
問い合わせセンターの開設を進めておりますので、もうしばらくお待ちください。

そのような中、今も需要の減少のみならず、鳥インフルエンザの被害拡大もあり大変でございます。
また、早ければ8日には東京と近県に対し緊急事態宣言が発令されるとも言われ、外食向け需要の減少が大変危惧されます。
飲食店には8時には営業を終了するよう指示もあり、それに伴う人の動きが心配されます。

昨日から市場が初市を迎え、畜産物や青果物の年始からの需要状況がわかりますが、総じて昨年以下の初値になり関係者の心配もあります。
一般的にご祝儀相場とも言われ、縁起物は一般的に高くなる傾向があり経済状況を写すともいわれます。
その代表としてマグロがありますが、本年は外食向けの需要減少が影響されているとも言われ、キロ10万円と数年ぶりの減少となりました。
加熱した競りではなく、静かな取引であったそうです。

それ以外は滞留した製品が需要を上回ることから下落するわけですが、早めに滞留が解消し正常な取引が始まります。

そんな中、飲食店の更なる時短営業の影響や、休業することの需要減少も予想され、解消後の需要が弱まる可能性もあります。

12月に国の政策GO TOトラベル事業が一時的に停止し、宿泊関係者の落胆の声も聞きます。
それに付随する、飲食業、土産物等小売業に大きな影響を及ぼすとされこの先の商売予測が見通しにくい状況であり、地方経済の低迷も予測されます。

現在、多くの地方では商業が低迷しているような声もいただき、2021年は更なる需要の減少もありうるとされとても心配なところです。
消費者の心理の悪化も予測され、出費の選別化を図る可能性もあります。

不要な物に出費しないという心理が強くなる場合、価格が選定対象になることもあり高品質であっても選定対象から除外される可能性もあります。

実際のところ、GO TOトラベルの利用によりお値打ち感があることで高級旅館等施設を利用される方が多いのが実情でしょう。
ですから、高額になるのであれば利用を避けるというのは価格選定から除外されるというのはある意味自然なことでもあります。
しかし、価格が高いということは、それだけ施設の満足度が高く滞在している満足感が高いということでもあります。
食事もこだわり、日常を一時的に忘れるそんな満足度が高いサービスがあります。

しかし、価格第一であるということはそのようなサービスを受けたいがそれ以外の満足を見つけるということになり宿泊の変化も予想されます。

昨年は、畜産物のうち牛肉は一定の引き合いが夏以降ありました。
相場上昇もあり子牛の競りも活況でしたが、一部は行き先を失い家庭向けに活路を見いだす状況でした。

GO TOによる恩恵もありましたが、12月以降は事業が一時停止しており1月以降も緊急事態宣言発令が見込まれ延長される予定です。

鶏卵も最需要期12月は一定の引き合いがあり、例年に近い上昇度でありました。
しかしスタート台が低い分金額低調な相場状況で止め市となりました。
本日の初市も昨年より低い120円(東京M基準値)となりました。
一昨年は100円でしたのでそれよりは高いのですが、大変低いスタートになります。
鶏卵の3割は外食向けで消費されており、今後の宣言発令と時短営業による影響が予想され、昨年同様の家庭消費頼みになる様相です。

新型コロナウイルスの話題が2月には本格化した2020年。

今年は新年早々大変な状況であると認識させられた年で始まりました。

経済優先で解決があれば良いのですが、人が交わることでお金が動くのが経済であることから、人の交流が弱くなることは需要の低迷に拍車がかかる可能性もあります。

今後、日本政府より緊急事態宣言発令と経済支援に対する会見があることでしょう。
早く終息してほしいところですし、ワクチンの接種も開始されることの経済再生も期待されたいところです。

個人消費もしぼむ可能性もあり、日本経済そのものが成長鈍化する可能性もあります。
その影響を抑える政策を期待したいところです。

商業、消費者のマイナス心理は畜産物の消費選別化が進み、良いものから関心が薄れてしまう可能性もあります。

家庭消費がすべてではありません。

家庭では、価格の優先度があり全ての畜産物が平等に好影響を受けるわけではありません。
その結果が昨年でした。

豚は景気不景気は影響受けず、牛肉は正直影響を受けました。
その後の政策もあり一定の回復がありましたがそれが本来の姿ではありません。

金額が高いということは、価格選定に影響を受けやすい畜種にもなります。

鶏卵は、家庭消費が前年比4%程度の高い推移でした。
しかし増羽による供給過多や加工向けの需要減退もあり相場は低調でした。

今年の中頃は、餌付け羽数が昨年より減少することが見込まれ一定の生産減少が予想されます。
しかし、新型コロナウイルスによる影響が大きい場合は、需要の減少が強くなり、必ずしも相場に寄与するか不透明でもあります。

とても不透明な1月となりました。

何等か明るい話題が欲しいところですが、今は我慢をする時期になるのかもしれません。

少しでも、他の商品とは違うことを前面に出すことも考えても良いのかもしれません。
自社の畜産物が優位に立てるための方策を考え、それに向け邁進されることが未来を明るくする2021年になりそうです。

養鶏業界のみならず世間の関心が高い政治と金銭の問題ですが、今日はその話題ではなく業界が考えるアニマルウエルフェアについてお話しましょう。

筆者は養鶏に長くかかわり様々な農場に伺い、養鶏の展示場にも足を運び養鶏の今を見てきました。
養鶏業界は今大規模化が進んでいます。
今や1経営体に10万羽以上を飼養するのは自然の流れになりました。

業界に関係しない方々からも、鶏の環境について伺うこともございましたし、農場主の方々の意見も伺う機会もございました。

その中で、アニマルウエルフェア(業界の方はAWと呼んだほうが分かりやすいかもしれませんが)については考える農場はそう多くないというのが本音です。
鶏に対する5つの自由と呼ばれるこのAWですが、農場ではすでに戦前より今の技術が確立しこの考えを考える機会というのはあまりないというのが実情でしょう。

物価の優等生と言われる鶏卵ですが、その背景には様々な鶏の改良や飼養技術の改善と器材の進化があります。

多く言われるゲージ飼育は多くの方がご存知の通り、糞便と飼育環境が分離できるため病気の予防に貢献しているというのが業界の考えです。

確かに、糞便をつつくことを防ぐということはコクシジウム症やサルモネラの汚染を防ぐうえでとても大事なことでもあります。
しかし、近年はゲージであってもコクシジウム症が見られますし、そのための抗菌剤使用による問題も見られます。
特にサルモネラは食中毒の原因となる菌群もあり生で食べることが出来るためには食糞による影響を小さくするという点ではとても有用でした。

これは、多段ゲージのうち過去はA型ゲージ(ゲージの上に重ならないようにゲージ位置をずらした配置)であったことから、今お話した糞便は下の鶏に落下せず床下又は除糞ベルト等に溜まるため摂食する機会を防ぐことで今の理由が成立しました。

しかし、今は限りある敷地に大規模飼養ができるよう多段式(ビル建物のように垂直にゲージを配置する)を採用されることが基本になりました。

A型ではアルファベットの通り下段ほど隣と広い隙間が出来これが無駄になるというもので、1建物に多く飼養する意味では不経済となるためです。
多段式では、多くはゲージとゲージの間には糞便を受けるベルト又は屋根のように仕切る床を作りスクレーパーを配置し理論上は下にいる鶏が接触しない構造になっています。
しかし、構造的には無理がありベルトに残った糞便を下段の鶏が摂食するというのは多くの飼養されている方が感じることと思います。

ですから、掻き取るようにしてベルトへの付着を防ぐわけですが経年劣化によりムラが生じたり、構造的に不可能であったりすることが多くは見られると思います。

これにより、近年はAWが盛んな地域での発症が多かったコクシジウム症は日本では少ないとされました。しかし昔に比べ増える結果となり生産性、薬剤残留事故等に発展することも見られるようになりました。

ゲージの良いところを違う形で変容してしまったのかもしれませんが、組み立てが容易であり、ゲージを1間や1尺と一定の長さで大量に組立てができるため経済的な観点からは今もその存在意義があるのかもしれません。

また、広さに関しても戦前の考えが引き継がれています。
鶏の横幅1羽3寸5分(約10センチと少し)と言われ奥行きは鶏が尻に届くところまでと言われます。
現在は若干広いですがこの考えが基本になります。
ですからAWの観点から狭いゲージに閉じ込めると言われるゆえんです。

この広さでは身動きが取れずストレスになると言われますが、見ている物からすると必ずしもそうではないと感じます。多くの方は鶏はいつも正面しか見ることができないと考えているようですが、
実際は食事の時や珍しいものが見えるときは正面を見ますがそうでないときは後ろに向いたりと自由です。実際は1ゲージに複数収容されていますから、他の鶏が動くことで自身も動くことが出来るのです。
業界内で問題とすれば、今の3寸5分すら守ることが出来ない農場もあるというものです。
飼養衛生管理基準では、蜜飼いを防止することを定めています。身動きすら取れない状態は実際法令違反です。
しかし農場の資金繰りや体力如何によっては守られないというのはよく聞きます。
○○は飼養羽数が異常なほど多いと噂されるぐらいです。
このようにゲージ1つ取っても今の流れは戦前よりの技術で鶏の自由という概念ではなく、効率的にこのくらいが妥当という経済的技術により生産され安価な販売となるのです。
これ以外にも、強制換羽やビークトリミング等鶏への苦痛に関して意見もありましょうが、別の機会にします。

アニマルウエルフェアは、EUにおいて考えが広まり、世界標準となるようその考えが普及しているのも事実です。
広さはもとより、産卵場所を設け、敷材(砂等)、止まり木を設置する等一定の要件を求めています。
また、世界を見ますとゲージから平飼いへと時代は変化し、2019年ではスイスやイギリス、イタリアは50%を超えて移行しており、フランスやドイツでも40%を超えています。

しかし日本は10%満たず、経済重視のアメリカも20%に届きません。

理由として鶏舎構造の変更によるコスト、1羽当たりの管理費の増大、出荷価格が変更したとしてもゲージと同額となる等金銭面的要素が多いと感じます。

一般的に鶏舎は1度新築すると一般住宅同様30年、40年と使用し続けていきます。
その間のメンテナンス、ゲージの入れ替え等内部改造はしますが、建物そのものを更新することは稀です。
つまり、広さを加味した場合では収容羽数が大変少なくなり1棟の売り上げが下がるということになり消極的になります。

普及した国では、このようなAWで生産された鶏卵は比較的高く小売店で販売され、収益改善出来る環境があるように見えます。
消費者も多様化しており、この方法で生産した鶏卵を好む方もいれば、安い鶏卵を求める方もいて価格に対し理解があるように感じます。

しかし、鶏卵の価格が高くなる場合、普及が進んでいない国ほど一般的に安価の鶏卵を選ぶ傾向があります。
つまり、消費者は価格が高いということは品質はもちろん珍しい卵、おいしく納得できる鶏卵という認識があります。

ですがゲージではなく、ストレスフリーの卵では消費者の価格への意識づけは弱いというのが実情ですし、普及が進んでいない外国も同様と言われます。

このため、多くの養鶏家がAWを知っていても改造し対応したコストを吸収できる市場価格がまだ熟成していないと考え消極的と言われます。

業界は、この点を心配しており長らく経済動物として考えてきたことを明日から、尊重し5つの自由を与えるというのは中々難しいという状況ではないでしょうか。

しかしながら、世界は少しづつ動物にも自由を与え、ストレスフリーを目指すという流れは止まらないのは間違いありません。

ですが、鶏卵の場合輸出はありますが、生産量のうちごくわずかになり輸出先がAWの実施を求めているとしてもそれにこたえるかどうかは売上げによります。

現在の輸出先の多くはまだAWを重視した国は多くないように見えます。
輸出先の目的は日本人在住が多い、ビジネスにより日本に縁がある、生で食べることに安心がある等が多いと感じ、まだこの制度がまだ浸透していないのが実情です。

鶏に対するAW(アニマルウエルフェア)はとても大事なことでもあります。

しかし、機が熟していないところでは業界や鶏卵を購入される方々に大きな負担となっていきます。

10個200円の卵が高いという話も聞きますが、コストアップは最終的に誰かが負担しなければ業界の再編(淘汰や統合等)だけで解決できるのか不透明でもあります。

実際販売調査では、ストレスフリーを前面にした鶏卵の販売価格は通常の鶏卵の2倍近い金額であったというデータがあります。
つまり、1個当たり40円とは言いませんが30円と少し高いという実勢価格でしたが、購入されている方は30分の間にはいませんでした。

普通の鶏卵には買い手がつくのですが、価格に折り合いがつかいないように見えます。
POPを使い商品説明していますが、消費者はプライスカードは見ますが、商品の特性まで見入る人はいませんでした。

アニマルウエルフェアは国内世論の理解、それによりコストを加算した商品の発生、消費者の選択となるのが正しい姿です。

日本では、まだそのような流れは生まれていません。
物価の優等生とは最近聞かれなくなりましたが、商品の性質上、複数個を購入するため1個20円の卵でも10個入りは200円となりますが、これを高いと感じる消費者は現実います。

業界の陳情で、アニマルウエルフェアのあり方を国際機関へ主張し国内情勢に対応できる方法を模索している状況です。

しかし本当に必要なのは、その基準に合わせるための方法を真剣に考えるのが必要なのではないかと思います。

それは、国内世論の理解とそれによるコスト増のあり方。
導入する農場、一方は導入しない農場では価格差が生まれそれが収益に直結し業界の再編に至るということもありえます。

それでは、危険な橋を渡る勇気を持つことはできません。

現実は、今の技法があり違法ではない。

これでは、難しい課題になってしまいます。

ですが、動物に尊重があるべきという姿勢は間違いではありません。
しかしながら、日本では生産する側、消費する側双方がEU等先行した国のように尊重という概念を持つにはまだ時間がかかるかもしれません。
ですが愛玩動物には、苦痛や恐怖からの自由や飢えや渇きに対する自由、熱の不快からの自由を与えるというのは分かりやすく、理解を得やすいことでしょう。それは愛情をもって接しているからですが、
同じようなことが、生産現場では現状では難しいというのが分かりやすい表現なのではないかと言えます。

現実の生産現場では、毎日産卵し場合により死に至ることもあり鶏卵を生んでくれる鶏たちは毎日が命がけです。

産卵途中で産卵が起因して死んでしまうということもありますし、廃鶏の時は産卵により骨格がもろくなるというのもあります。
品種改良し毎日産卵するようになり、1羽は1年300個340個ともいわれる卵を産み続けてくれます。
つまりほぼ毎日になるわけです。
カルシウムを自身の骨から排出し餌のカルシウムと合わせて殻を作ります。
ですから、骨格も弱くなる。業界では産み疲れと表現します。

また夏季は高温により熱ストレスを感じることもしばしばで、放熱するため冷たい水を飲み、ゲージを触り、同居している鶏とふれてたりと、鶏なりに工夫して熱ストレスを軽減しようと試みています。

これだけの大変作業を毎日している鶏にも敬意があるべきですし、そのように尊重されるべきである。
その通りですし、これに反論することはできません。


鶏卵のあり方を問われる事件ですが、実際は業界と世界の基準のずれが顕著になったということ、このずれを大事な制度ではありますがそのまま採用できない国内事情があること。

行うにも国の支援がまだ整備されていないということ。

私たち消費者を含め鶏卵の生産過程では、このような経済動物があるということを再度認識する機会になったのかもしれません。

政治では、森かけ・桜・鶏卵といわれていますが、業界内の実情があり、このAWに向けて進んでいくには業界人、消費者全ての方々の理解を深める機会になってほしいと心から思います。

今年は畜種により明暗が分かれる年になりましたが、多くは春先以降取引価格の改善が進み例年とは異なりましょうが、安堵されている方も多いことでしょう。

現在、家庭消費(巣ごもり需要)が進んでおり畜産物もある程度取引が活況になっていると感じます。

豚肉をはじめ、牛肉も消費は上向きが確認され手ごろ感から一定の引き合いがあります。
鶏卵も季節需要があり家庭消費が主流ですが一定の取引があります。

そのような中、消費者の購入基準には、販売価格以外にも安全という安心感が必須と言われます。

消費者の価格に対する意識は年々増えており、出来るだけ安いものを購入したいという意識傾向が続きます。
しかし安全に対する意識は依然高く、外国産の敬遠意識は年々下がっていますが安全という安心が下がっていると言うわけではありません。

日本の畜産物は安全であり安心と考える方は多く、畜産物に懐疑的な意識を持つ方は多くはありません。

しかし、食品事故に関しては別で、冷凍食品の薬品残留による事故、消費期限切れの食品販売、加工食品製造段階での不適切な行為(床に落下した食材を何もせず加工処理を継続する等)など、
報道があると多くは購入の見合わせをします。
過去それにより販売の著しい低下、社会的信用に低下、損害賠償等経済的影響もありました。

消費者が率先して不買運動をするわけでありませんが、信用を失ったときの影響は大きく、大きい販売先ほど甚大になる傾向があります。

これは、大きいところほど安全が当たり前であり、そのような不祥事を起こすイメージがないことから裏切り的な心理もあり甚大になると考えられます。

現在も食品偽装は地域レベルでは大きくなる傾向はあり、食肉偽装は販売元はもちろんその販売先まで大きな影響を与えます。
報道の扱いにより影響度は変わりますが、影響先は報道有無を問わず大きな影響を受けます。

このように消費者が直接購入する場合、価格が第1なのですがそれ以外にも安全が前提なっていることを忘れてはいけません。

購入バイヤーは衛生的な施設で生産された畜産物を仕入れ、安全が根底にありそれで価格にどう反映させるのかという姿勢は多くの販売店共通の事項です。

ですから、バイヤーが農場視察を行う時に安定した出荷があるのは織り込み済みであり、衛生的な施設で生産されていることが大事なのです。

いくら生産量に不安がなくても、不衛生な施設で生産されているということは良い印象にはなりません。
確かにその場所でと畜したり、加工処理しているわけではありませんが衛生的な施設でないということは、家畜や畜産物もその程度しか管理できないということにもなります。

そんなわけないという声もありますが、細かいところまで目が行き届かないような施設では多くは衛生管理もそう高くないというのが農場を見ている者の印象であり、そう的外れではないと感じます。

農場を見ている者からすれば、農場の施設と周辺の手の入れ方を外周から見ればある程度推察ができます。それはバイヤーもしかりです。

仕入れ他製品に事故があることは、先ほどの通り大きな影響があるわけですから出来るだけリスクは下げたいというのが本音です。

近年、農産物にはJGAP青果物の認証品を取り入れる販売店、又は自社の基準により生産される農産物を取り扱う店舗が増えました。
これは消費者への安全を意識した差別化した商品なのですが、実際は販売先の目が行き届いた安心な商品でもあります。
メーカによりブランド名をつけて付加価値化したもので、消費者は安心して購入する動機になっています。
畜産物も同様で鶏卵や一部食肉もこのような自社ブランドの扱いにしたところも見られるようになりました。

一般的に価格を第1にした販売店はこのような付加価値商品を扱うことは珍しく、市場で割安な物、B級品、仲卸からの流れ品等仕入れ価格に恩恵があることを前面にしており、それが商品価格に反映されています。

しかし、一定の販売価格となる販売店は、大量購入による仕入れ値影響、安全が見込めるための仕入れ値、生産者の信用からの仕入れを考えます。

よく言われますが、農産物では同じ生産元でもA商店は価格第1なので等級はB級に近い商品を梱包し出荷し、Bスーパーは商品基準があるためA級の商品を梱包し出荷するという話もあります。
同じメーカーの品でも価格も違いますが、商品のグレードも違うというのは有名です。

つまり、価格が安いということはどこかが損をしない限り成立しないか、価格相応の商品のいずれかになるわけです。

経済状況により、価格に目が行きがちですが価格の安いものはやはり理由があるというのは事実になります。
多くは、安い店舗に意識を向きますが一定の客層はやや価格の高いものを購入する消費者もいます。
有名なところでは成城石井のように高級販売店もあり販売は好調です。

販売先も試行錯誤をしています。安さを前面に出し時代の流れに乗る店舗、商品にこだわり消費者から支持されることで低価格とは異なる販売(先ほどの成城石井の理念)をする店舗もあります。
また大型化した店舗は輸入肉を前面に大量仕入れから安い販売価格を実現したりと、経営努力から安さを追求するところもあり様々です。

話が長くなりましたが、畜産物の安全は事故が農場開場後から今日までないから安全と言うわけではありません。
先ほどのように仕入れ先のスタンスにより安全は当たり前で差別化しないと考える店舗と、そうではなく生産段階から安全を意識している所の製品は別と考える店舗もあるのです。

また、加工段階ではHACCPの仕組みを取り入れた工場もあり、原料である生産物安全を担保したいと考える加工側もあります。

特に仕組みがない今日まで安全な農場産の畜産物と、仕組みを設け危害を排除する仕組みを持つ農場の畜産物を考えた場合、先ほどのようにバイヤーのスタンスにより考えが変わるのです。
ですから、農場HACCP認証があることをバイヤーは意識していないというのは当然ですし、HACCP義務化ではないため重要視していないわけです。

それは間違いではなく、畜産物の安全が根底にあるという暗黙のルールが存在するのです。

しかし、生産段階から安全を前面に出し、切り身になった畜産物や鶏卵は消費者から見ればよい商品と認識されます。

ですが相応の価格で販売する店舗での話であり、安売り店ではそぐわない内容であり、場合により来店客から見ても選択対象にはなりません。

どうしても、一定の水準にある消費者をターゲットにしなければならないため安全を販売先に訴求する場合はこのような事情があると言えましょう。

しかし、農場HACCPによる良い影響は、畜産物の生産量の増加もあります。

枝肉になる場合多くは廃棄処理される部位があります。
畜種によりますが30%ともそれ以上とも言われ1頭全部が食肉になるわけではありません。
病気や病変による廃棄となるわけですが、このような廃棄を下げる効果が期待できます。

その対策を講じる方法を確立することで、その管理を行い結果廃棄量が下がるという物で、多くはこの点を意識した取得もあると言われます。
鶏卵も、汚卵の低減、破卵の低下にも貢献できますし、生産量の増加や維持も可能なことから取り入れる方もいます。

安全は当たり前ですが、生産物の収量増加も大事です。

成り行き任せも良いとは思いますが、今の時代は収量の増加が収入の増加になりそれが他者との差別化、競争力の強化にもつながります。

農場HACCPは衛生管理の取り組みとシステム化と言われます。

しかし、衛生管理が行き届くということは、細かいところにも目が向ける意識が育つということでもあります。
収量の増加への貢献や従事者の意識が向上する機会を得る制度でもあり、上手に取り入れることが出来れば無駄な制度ではありません。

もちろん取り入れるにあたっては現行制度から見直す可能性もあり、めんどくさい、やる意味がない、無駄という方もいましょう。
今の楽な制度を変えたいと願う人ばかりではないということです。
従事者の意識改善も必要になることもあり頓挫することもあります。

しかし、本当に安全を追求する時今の方法とは違うやり方という物は必ずあります。
それを手間・面倒を感じる場合はこのメリットを享受できることはないかもしれません。

ですから、目に見えない成果であり良さが見えないのかもしれませんし、農場を見るものからするとそれが現実なのかもしれません。

ですが、自社の畜産物の安全を見える形で必要となったとき明日申請し認証されるということはありません。

長い期間の構築とそのための運用・教育等課題が多くあり時間を要するからです。

だからこそ、必要な時に考えればよいではなく、自社にとって従事者の意識向上のため、畜産物のため、ひいては販路が価格を前提としていない所から目に留まる可能性もあり、取得に向けて進んでいこうという意識が必要なのかもしれません。

すでに取得した農場はそれぞれ思惑があることでしょう。
しかしそれをオープンにして勧めることもありません。
逆にメリットを感じていない農場もありましょう。

上手に使えば、上手な農場運営ができるこの制度を利用するのはこの先の時代を見据えていくうえで必要になる農場もあることでしょう。

自社畜産物に自信がある場合は特に検討されても損はしないと感じます。

コロナにより畜産物価格に憂いている方もいましょうが、今は自社の製品を見直し次の時代に必要な手を打つ田畑に種をまく時期なのかもしれません。

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