nogutikusanの畜産ブログ のぐ畜産認証支援部公式ブログ

認証を支援しているのぐ地久三事務所 認証部署「のぐ畜産事務所」が皆様の認証への理解やメリット・そうでないものあらゆる視点でお話ししています。これから認証を活用したと考えている方や既に取り組みをしていて感じる疑問をこのブログから発信しています。

畜産物の認証を専門にしている事務所から、感じること・思うことをブログにしてお届けしています。2023年8月からはのぐ畜産事務所が皆様の疑問や行動している課題にお応えしていきます。

現在、農場HACCP認証を取得している農場は456農場(令和6年1月25日時点)となります。
農場や、農業学校、試験場等様々畜産に携わる方々が認証を受けており、それぞれの目的を持ち農場や家畜の管理をされているのでしょう。

その農場HACCP認証ですが、最近は農業学校等次世代の方々がこの認証を取り入れた農場経営や管理の参考にして良い農場がこの先開かれていくのだと思います。

では、農場HACCP認証の価値を知ると様々な点でメリットがあると感じます。
皆さんの農場でも取り入れる価値があるかもしれません。
認証を受けることのメリットは、第三者が基準を満たしているというお墨付きがあるということで、取り入れて農場に展開することで、衛生意識、農場の思考力の変化、行動の自主性といった様々な変化が見られます。

弊所はご指導し、認証に対するポイント、農場に展開し前に進むための補助を行っています。

ご縁があり認証を維持するために数年農場の方とお話しすると、農場の考え方が変わった、衛生意識から工夫というするという風土が生まれた、何ができるのかという考えが生まれ自立する力が芽生えだしている等前向きな姿勢に変わる農場もあります。

一方で、認証する内容と農場の仕組みや作業は全く異なり、認証を維持するため文書の体裁は担当者に丸投げし、作業は従来と異なり進化するというよりその時々により変化し臨機応変というより行き当たりばったりの作業を行い、効率化と名乗りながら、安全性を犠牲にしたある意味非効率化に進んでいき、課題解決力の劣化、作業従事者の負荷のばらつき、欠勤や遅刻といったモラルの低下に至る農場もあります。

畜産物は農場HACCPの有無により売り上げに左右はされないことが弊所から見て多く、正しくは、生産が下がる要因を畜産側の要因と真っ先に考え、原因究明を従来の考えから脱却できない(異なるアプローチからの分析ができない)ことが要因で、一般的に生産成績としてはそんなものという程度になることが多いと感じます。

でも、今の生産が本当に最高のパフォーマンスなのかという視点で見れば、実はまだ途上であったということはよくあることです。
農場HACCP認証は取得することで、もれなく農場が成長していくということは経験から見てありません。

大事なことは、このシステムを活用して農場が考えるきっかけを作ることが一番の農場の収穫になると感じます。
ですが、畜産物の優劣に差がなく収益に貢献しないといった費用対効果から見て意味を持たないという考えも一定数あります。

本当に費用対効果から見て意味がないのかということは農場が判断することですが、農場自身が考える力をもっていることが、衛生面の意識、家畜の健康状態を見るという意識、それが畜産物の収量増加へ導くことができるのですが、認証からそのようなイメージを持つのが難しく、費用がかかるからこそ回収できているという実感できないというのもあるでしょう。

農場には農場のノウハウがあり、そんな認証から得る物がないというのもあると感じると思いますが、そのノウハウは昔からの方法で正しいと違うアプローチから見ていないというのも理由の1つだと感じます。

ノウハウは基本的に変わらないのかもしれませんが、畜産への管理方法は変化があると思います。
その管理は本当に今にあっているのかと考えると、少し見直しをすると時代が変わったと感じることもしばしばですが、何も感じず、考えがなければ昔からの方法で、それは正しいと誤認してしまうこともあります。

その本当は?という答えを探すきっかけが農場HACCPではないかと感じます。

確かに意味を持たないと感じるかもしれませんが、検証は必要?、文書や記録保管はそんなに大事なこと?、危害要因はそんなに検討しなければならいことなのか?
と感える方も多いと思います。

でもよく考えれば、検証することは、原因を分析して次に生かすということに気づくきっかけを作るということ、文書や記録保管は、確かに毎日見ることはないでしょうし、見直すこともほとんどありません。

でも問題が発生した時、最初に見るのは家畜だけではありません。
その管理から気づくという方法も必要です。
最初から記録がないとなれば先ほどの行き当たりばったりの管理を主にされていると思います。

記録がないということは記憶もありませんから、昨日や一昨日はわかるにしても先週、先月は何をしていたのかというと思い出せません。

それでは何が原因か探ることは難しく、昔からの経験から、家畜が悪いと決めつけて終わってしまいます。そして数か月後、数年後同じようなことを繰り返してしまい、同じ答えしか出せず繰り返すというもったいない時間を浪費していきます。

危害要因も同じで、危険なことを想定して回避できれば一番良いことですが、そんなレアケースはそんなに発生しないから意味がないからこそ、その時考えれば良いという合理的な発想もあると思います。
発生して農場や家畜に被害があり損失が大きのであれば、回避できる方法があれば最初からその対処をしておいた方が得策です。

小さく意味がない内容であればそれは危害度が小さく検討はいらないかもしれません。

いずれにしても、農場が受けるリスクや家畜が受けるリスクから考えると、取捨選択できると思います。そのことのきっかけが危害要因でもあります。

認証取得のため大げさに作るという農場もありますが、本当は今にあった小さい基準を作ることが無理なく、農場に展開しやすいものになると思います。

認証にはコストがかかりますから、意味がない捉えがちです。

でも農場HACCPから得られることは、認証だけの視点で見るのではなく、人に意識から何が変わるのか、農場を動かすのはシステムなのか、根本は人なのか。

農場を見直すきっかけは何があるのでしょうか。
人が率先して見直すのか、認証から仕方なく見直し、それが繰り返しになりいつしか、人が率先して見直していくのか。
大事なことは、認証取得ではなく、認証から農場が変わるということです。そして農場を変えるのは人であるということです。

その人を変えるのは風土も大事ですが、変えるというきっかけです。

そのきっかけは自主性でどうにかなるのかといえば、難しいかもしれません。

認証価値は、何か利益を生むきっかけではなく、農場を変えていくきっかけを作る価値があるということです。
認証を受けることは、商品価値を上げて利益が爆上げになるということではなく、人が管理をして変えるきっかけを生み、それが生産量の増加や今の生産量を安定して維持できる方法を作り変えるきっかけを作る価値があるということです。

農業学校の皆さん方も学び取得してシステムを感じることでしょう。
でも大事なことはシステムだけではなく、そのシステムを人にどのように展開できるのかという違う視点です。

その視点はあらゆるものを当たり前のように見るということから、違う角度で見るという見る常識を変えていきます。

皆さんも農場HACCPを何も利益無く意味がないと考えるのか、そのシステムから人はどのように変わっていくのか、そう考えると意味ないと言い切れるのかもう一度再考するきっかけになると思います。

お金は大事ですが、農場の生産はそのお金を生みます。
その生産を維持するのは家畜ですが人の管理があって生まれます。

そのように見ると、認証は言われるから面倒である、現場の意味を知らなさすぎる、お金をかけるほどリターンがないという目先しか見ることができない今日までの思考がきっと変わるはずです。

農場HACCP認証は農場で起こりうる危害(衛生管理不良(病原菌の持込や拡散)防止畜産物の不良品発生の防止、殺虫剤等畜産物への移行(休薬期間の厳守や誤作業)防止といった、家畜や畜産部への危険性を未然に予見して防止するシステムを作る事ができます。

衛生管理の不良防止により家畜の健康性を維持し安定した生産ができるシステムといえます。

畜産物の不良品発生防止とは、と畜場での不良部位の低減による歩留まりの向上をするシステム

鶏卵では農場段階での腐敗卵の発生防止システムの構築といった流通業者への安全性と信頼性を維持するシステムとも言えます。

殺虫剤等畜産物への移行防止とは、休薬期間未満の と殺等による検査時の回収や信頼性の低下防止、鶏卵では県等が行う収去検査等から発覚する薬剤残留製品回収命令と販路先への信頼低下といった初歩的なミス防止を防ぐことが期待されます。

ですが、農場HACCP認証がなくても農場独自でこのような危害を防止して回避するシステムを構築している農場もあるでしょう。
良く見られるのは、「○○農場HACCPシステムで畜産物の危害を防いでいる」というものです。
独自認証と呼ばれるHACCPシステムです。

農場HACCP認証とは、農林水産省が定めた基準によるHACCPシステムを導入したことを第三者機関が認証したもので、一般的な認証システムを言います。

どちらもHACCPの考え方を取り入れて作られており、認証が最上位で独自は下位になるというものではありません。

違うとすれば、構築手段はどちらも農場独自でHACCPシステムを取り入れているのですが、適合性を判断しているのが農場自身という独自認証になるのか、不備を指摘して第三者が評価した一般認証になるのかという、評価方法の違いになります。

ブログでもお話ししていますが、畜産物のうち肉類については、危害が消費者まで至ることは現行の流通からほとんどありませんが、鶏卵と生乳は見た目で異常が確認できるという方法がありませんので、どちらかと言えばこのような畜種にはHACCPシステムが確立されると農場自身による生産ミスがある程度回避できると思います。

鶏卵で発生する事例として、殺虫剤を散布してその鶏が食肉処理場へ休薬期間満了する前に出荷するという事例、成鶏餌に抗菌剤等を混入させてしまい鶏卵へ成分が移行し収去検査で薬剤残留を指摘され回収されるという事例があります。
また夏季たまに発生しますが、鶏舎で鶏卵が長い間滞留したものがGPセンターで除去されず消費者まで届き、割卵時に腐敗卵が発覚するというケースもあります。

いずれも流通先や消費者まで影響を及ぼすもので、製品への信頼という点ではかなりの低下に至ります。

一昔は、ポジティブリストの規制残留値程度では喫食しても害はないレベルだと声を大きく挙げていた農場もありました。
確かに食品0.01PPMの残留はあってはいけないとしており、厳しいと言われます。

しかしながら、このレベル程度で発覚するということは、少なくても休薬をしっかり守る事ができていない、そもそも休薬期間を知らないという薬剤によるリスクを理解されていないということになります。

鶏卵の場合鶏卵への移行がある薬剤を知っておく必要があり、そうなると闇雲に殺虫剤等を乱発することが正しいのかという視点が必要です。

つまり、薬に頼らないという衛生管理を構築する姿勢を持つという、農場側の意識改善が必要なのですが、簡便に対処できることから殺虫剤に頼るというところも多いと感じます。

このため休薬期間を想定した殺虫作業ができず、出荷する日から逆算しても休薬期間を満了できないというところもあり、これが被害が発生しているという場合もあります。

農場HACCP認証を参考に構築する場合、休薬期間を危害要因として整理しておき、休薬30日前(畜種により50日前)には全ての殺虫剤の使用は、畜舎がひどくなっている場合であっても禁止するというルールを作り防止策を講じておく農場もあります。

そうすると、畜舎内がひどい場合で処置をすると考える時、休薬の30日前(畜種により50日前)を最終とした消毒スケジュールが逆算して作る事ができるはずです。

これだけでも、発生がひどいからという「行き当たりばったり管理」を防ぐ事ができます。システムに組み込みこのような無計画をなくすのです。

さて、法規制というと、先ほどのようなポジティブリスト(食品衛生法)だけではありません。
畜産を飼養する者が遵守する「飼養衛生管理基準(家伝法)」があります。

飼養衛生管理基準は令和2年に改正され、施行猶予項目がある状態で始まりましたが、昨年秋にすべての猶予項目が満了し現在は全ての基準の適合が必須になっています。

飼養衛生管理基準は自己点検シートで農家自身が点検し家畜保健衛生所へ提出し評価を受けるというものがあります。
また特定症状が発生した場合や近隣で発生し緊急検査が発生したときもこの規定を確認する場合があります。

一番重要なのは特定症状が発生し防疫措置を受けた時、疫学調査員から状況を確認される際に、不備を指摘されることがあります。

特に通報に関する事項の違反(通報の遅延行為)は大きな問題になる場合があります。
ですから、農場内での死亡の数を定めてこれ位であれば通報する基準とするといった、客観的な数値を示しておく必要があります。

また野鳥からの感染防止の観点から防鳥ネットの設置や補修をしていない、農場マニュアルがなく部外者もお構いなしに作業できるような農場である場合も少し問題が大きくなりがちです。

飼養衛生管理基準は農場に病気を入れない・農場内で増やさない・農場から持ち出さないという原則があります。
つまりこのような行動をしていないという場合指摘を受けるのはある意味当然のことでもあり、そうならないように農場システムを構築しておく必要があるのです。

よく言われるのですが、農場HACCPだからこれを遵守しなければならないのだが、認証していない農場ではできる程度をやっておけば良いというもの。
という誤解
があります。

農場HACCP認証では飼養衛生管理基準への適合は必須とされており、農場作業のどれが、この規定に当てはまるのかという形で整理するのが一般的です。
ですから適合されていない事例ではそのためのシステムを構築するため、とても細かくて無意味であると言われるのだと感じます。

例えば、防鳥ネットを設置した農場は多いことと思います。
でもこれを定期的に点検して報酬をするという農場は意外と多くはありません。
大きく破れたので補修すると言うことはあっても、定期的に点検して小さい破れのうちに補修するという意識を持つというが肝心です。

でも農場の作業にそんなものできないし、無理だ・意味がないという方もいるでしょう。

では、農場HACCP認証を持っているのであれば、どのタイミングで点検して補修を支持するのか定めることをするはずです。
これにより、いきなり明日作業をする・今日時間が1時間だけあるのでやるといった行き当たりばったりをなくすことができます。

行き当たりばったりは、今回は出来ても次回同じようにできるような偶然に期待しているだけの状況であり、とても定期的とは言えません。

であれば毎月15日に行う、末日に行うといった規定を作るはずです。

そうすれば、15日は点検日だから、急ぎ作業を今日13日に行い時間を確保しようという発想になるのです。

大事なのは時間をどのように作るのかという意識なのです。

毎日24時間365日忙しい農場は経験から見たことはありません。
時間を作らないのでやれないという、組み立て方の問題がとても多いのです。

でも、飼養衛生管理基準はHACCPしていなければやらなくても良いという規定はありません。

むしろ農家が実施し守るべき基準とされていますので、やらなければなりません。

問題は飼養衛生管理基準を知らないということがとても危険なことです。
飼養衛生管理基準は農林水産省HPでも見ることができますし、家畜保健衛生所での研修でも説明はあるかもしれません。

例えば採卵鶏では35項目ありますが、すべてを知っているという方は認証を持っている農場やそのシステム責任者(HACCPチーム責任者)程度になるでしょう。

ほとんどの方は恐らく理解をされていないと感じます。
これは飼養衛生管理者として現場を預けている方も同じのように見えます。

その要因に飼養衛生管理基準をしっかり理解するような研修があまりないということが挙げられます。
ですから、知らないので知らないし、やらないという形になるのだと感じます。
弊所では法令の基礎になるため十分に趣旨を説明して、構築の参考にしていただいております。
構築する皆さんも法令について今一度確認し、知っておくと必要な農場作業を構築できるでしょう。

しかし農場HACCP認証を構築するのであれば必須なのだから責任者や経営者はわかる範囲でこの基準を理解しようとします。
その意識を作るきっかけが農場HACCP認証になるのではないでしょうか。

法を守るということは当たり前のことです。
その法を知っていなければ意味はありません。

ではどうするのか、自ら学びに行くのか、学ぶシステムに乗っかるのか。

農場HACCPは、うるさい・細かい・意味がない・費用対効果から採算が合わない等様々な意見を伺います。

でも多くは、あり得ない危害にお金をかけられないという資金を意識した発言に聞こえます。

確かにお金は大事です。
でももっと大事なのは、農場の信用です。

安全な畜産物を売る。この1点です。

でも確率が低い畜産物の事故を起こすのもまだ現実です。
その多くは偶然ではなく、ただ毎日起こらなかったという偶然的要因が多いということまで知っている方も多くはありません。

事故を起こさないためには、事故をおこさない方法を確立した方が間違いはありません。

ヒューマンエラーは対策を講じてもなお発生した場合と、何もしないで偶然発生しない場合で比較しても対策をしたうえでのエラーのほうが圧倒的に少ないと言えます。

そしてそのエラーは畜産物という商品の信用を著しく下げる結果に至るということです。

では、その低確率のエラーは無視できるものでしょうか。
それほどその農場は大規模で社会的信用があり、信用回復に至るのでしょうか。
今一度考えてみると、偶然とはある意味皆さんの運気が高い農場なのでしょう。

明日も運気は最高潮でしょうか。
作業者が変わるとその運気は変わらず最高潮でしょうか。
もしかすると、それは偶然というのかもしれません。

JGAP畜産を取得されている農場や取得をめざしている農場に対し、弊所では定期的に報告する「畜産業における事故の型別死亡災害状況」をお知らせしています。

これは、農場での安全対策には何がリスクがあるのか、そしてそれは何が原因で起こるのかといった点を知り、自農場へ事故を起こす前に取り入れて未然に防ぐという目的があります。
全てを網羅しておりませんが、今回は皆さんの畜種では何がリスクになるのか、考える題材にしていただきたいと思います。

2022年は7人の畜産業関係者が何らかの要因で亡くなっています。
例年7件程度発生しており特別多くもなく・少なくもない人数になります。
前年は13人、2020年は8人となります。

亡くなる方の年齢をみますと、30歳代1名、50歳代2名、60歳を超える4名の合計7名です。
傾向としては、30代以降の年代で1名以上の死亡が毎年あり、30代の死亡がない年は2018年、2011と12年程度です。
50代になると、毎年1名か2名の死亡があり、発生がない年は2013年のみです。60代以上は事故がない年はありません。

労働者規模を見ると明らかに小規模が多く、労働者規模9名以下が例年過半数を占めます。
2022年は5人が死亡、10人超え29人以下と、49名以下で各1人となります。
100名を超える労働者規模では1999年に1名がある程度、50人超え99人以下の規模では数年おきの発生で直近は2018年、2014年、2010年と各1名です。

都道府県別で見ますと、北海道が最も多く、2022年で2名で、1999年からの累計死者数は39名となり、毎年1名以上の方がなくなります。
発生がない年は2015年、2013年、2011年、2006年、2001年程度です。

次に多い県は茨城県で累計18名、数年おきに1名以上の方が亡くなります。
直近は2021年、20年、17年、15,14,12,10年と続きます。

その次は熊本県で累計数10名です。
その他鹿児島と岩手が8名、青森と群馬、千葉が7名、大分6名、宮崎が5名となります。

少し古い事例ですが21年度の畜産業の死亡事故例を取り上げます。
・2月豚舎の洗浄のため、高圧洗浄機の水漏れがあったため、修理をしていた人が感電し死亡しています。
・3月ある農場で丸太の運搬をしている際トラックに荷を乗せるため荷台に1名が乗せる作業をしていたところ、フォークリフト技能講習を修了していない操縦者が運転し、丸太が荷台にいた1名に向けて転がり死亡した。

・5月養鶏場では、鶏舎設備の修繕をしていた作業員が、集卵運搬機器の回転軸に巻き込まれ窒息死しています。

・6月豚舎の屋根を洗浄していた作業員が約2.5メートル下へ転落し死亡。

・9月豚舎の集糞機にスクリューコンベアに体を挟まれ、両足太ももから下が切断し死亡しています。

・11月鶏糞が入ったフレコン約650㎏をフォークリフトで釣り上げ、フレコンの下部排出口の紐を解くために作業していたところ、つりベルトが切れて下敷きになり死亡しています。

・12月ある牧場では、軽トラック走行中牧場の道の斜面に乗り上げて横転し運転者が死亡しています。別の牧場では水道管の新設作業をして機械で掘削していたところ、深さ135センチ幅70センチの地面で作業していた者が土砂崩れに巻き込まれ死亡しています。

皆さんの農場では該当するような作業があるかもしれません。
注意喚起のため弊所でも都度お知らせしておりますし、ブログでも紹介しています。
JGAP畜産しか関係ないと思われがちですが、事故を起こした場合農場とその責任者は行政罰を受けることが一般的です。

このため経営者だから知らない、農場長だから勝手にやった事故には責任を負わないということはありません。

だからこそ、安全対策は必須になります。
でもJGAPのように基準書がなければ自己流か、注意喚起しかしておらず、何も対策を講じていなと同じなのですが、それに気づく農場はなく、発生してから右往左往することが多いようです。

農場の常識は世間の非常識にならないよう、皆さんの農場でも起こりうる事例については考える必要があります。
特に外国人技能実習生が事故に巻き込まれた場合の多くは実習取消と欠格5年が科せられることが多く農場運営に支障がでることもしばしばです。

労働者は潤沢でお金があれば問題ないと余裕があればいいのでしょうが、多くはそんなこと言っている余裕はなくなります。

であれば、事故を起こさない仕組みを作る方が結果的にコストを抑えることが出来ます。

そのためには、農場で事故がないから検討しないではなく、他社で発生した事例を参考に自社はどのような仕組みなのか検討すると良いでしょう。

事故農場も意図的に起こしたわけではありません。
だからこそ突発的に被害が発生し大変なことになるのです。

農場での事故しか想定できない場合大きな影響を受けることもあります。
そうならないように今のうちに事故を予見し対策を講じていきましょう。

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