畜産を専門にコンサルティングしている者が見た、今の畜産業をわかりやすくお伝えいたします。

9月になり、地域によりますが一気に秋めいた涼しい風を感じることが多くなりました。
まだまだ残暑も続くようですが、酷暑や猛暑と言った夏の辛い時期は終わりを迎えつつあるのかもしれません。
蝉もさみしく鳴いており、夕方は虫の声を聞くようになりました。

さて、9月は皆さんもご存知のことですが台風災害が心配される時期でもあります。

思い起こせば、2019年9月9日未明千葉県を中心に大きな被害があった台風15号は、千葉県君津市の6万ボルトの送電線2基を倒壊させました。
千葉県南部の畜産農場では停電が続いたことで、家畜への被害が甚大でした。
また、強風により畜舎の破損も相次ぎ復旧するにも時間がかかり畜産農家皆さんがご苦労されたことがありました。
停電による影響は南部地域に限らず、北東部や中央部にも波及し、農場のみならずライフラインに影響を与え従業員へ連絡する通信手段も電波塔のバッテリー切れにより通話不能になり、井戸水を組み上げるポンプが稼働できず、畜舎の換気システムも停止しました。

発電機がある農場は、発電をして最小限の管理ができるよう給電し対応しますが、燃料が底をつき近隣のガソリンスタンドへ行きますが、停電により燃料を供給できない状況でした。
一部は手動ポンプを使用して長い時間かけて給油し何とか農場を維持できましたが、発電機のない農場や発電できなかった農場では家畜への被害が散見されました。

このこともあり、その後補助事業を活用した発電機導入を進める農場も多く見られました。

その後、10月には台風19号が上陸し、12日静岡県や関東甲信から東北地方の広い範囲が河川の越水や決壊による農産物への被害、家畜への被害が発生し、亡くなる方も発生した大規模災害になりました。

この台風は令和元年東日本台風と呼ばれるようになり、激甚災害が指定される大きな災害でした。

2020年は9月1日に台風10号が九州地方を北上し、特別警報級の最大級台風と予測されましたが、直前でわずかに勢力が弱くなったことで予測される被害よりは軽度でしたが、それでも停電を伴う被害がありました。

このように9月は台風による影響が受けやすい時期にもなります。

ウェザーニュースによれば9月の上、中旬は台風の卵は出来にくいと予測しています。
しかし、下旬は台風のもとになる積乱雲ができやすくなり10月にかけて発生が予想されるとしています。

平年最も台風が発生する時期は8月で5.7個で、次いで9月の5.0個となります。
台風規模も大きくなっており、強風と大雨が台風ですが、暴風、災害級の大雨と雨量も非常に多くなりました。

風による停電の他、地域により大雨による土砂災害も散見され農場管理も気を遣うようになります。

発電機は導入できたものの、土砂崩れにより山間部の農場にたどり着けなかったという事例もあり、自然災害への備えは一つ解決できれば全て解決と言うわけにはいかなくなっています。

本年7月から8月にかけて大雨による被害も甚大でした。
特に九州や西日本地域では戻り梅雨と呼ばれる長雨があり雨量も過去最高を更新する地域が多くなりました。
これによる家畜の被害もあり、家畜の斃死もありました。141500頭羽の被害と報告されています。

台風被害も甚大ですが、近年にはなかった大雨による被害も毎年見られるようになり家畜を飼養される皆さんはご苦労をされていることとお察しいたします。

9月の台風も下旬にかけて心配が現実化する可能性もあります。
発電機はあるが、農場へのアクセスを再構築したり、従業員の安全を配慮した出勤方法の確立、発電機の燃料確保も必要になりそうです。

施設の老朽化は、強風で破損がひどくなることもあります。
千葉県でも畜舎の半壊もありますし柱の損傷もあり家畜の導入ができないという問題もありました。
施設の修善も早いうちから必要な個所を施行されることも重要になります。その後の家畜更新等に影響を及ぼすことを未然に防ぐことも必要になります。
できれば災害保険に加入して万一への備えをしておくのも手でしょう。

全体的に畜産物は例年を超える良い収益を上げる環境が続いています。

その利益のわずかでもこのような災害に備えることは結果皆さんの農場の被害を最小限にかつ最低限の期間で回復できることもあります。
今後中旬以降台風に関するニュースも聞くようになるかもしれません。

その時手を打ち出すには限りがあります。被害なく9月や10月を過ごすには早めのできることを考えることが大事です。
涼しいと喜ぶことも大事ですが、大事な家畜のためそして農場のためにも今一度9月特有の警戒にも意識を向けて見てはいかがでしょうか。

畜産家の皆さんは東京オリンピック・パラリンピックの選定食材になるためJGAP家畜畜産物認証取得を進められた方々も多いと思います。

2017年オリンピックへの選定食材の物差しとしてGAPが決まりました。
その流れに乗る青果物等の野菜生産者の方々、私たち畜産農場は認証取得へ向けて歩き始めました。
特に畜産物は、認証制度そのものが始まったばかりで普及するための指導員研修も盛況でしたし、
その内容を理解するために必死でもありました。

その普及のために農林水産省はGAPパートナー制度を作ったりと、流通業者や小売店舗への普及を進めていきます。

現在は畜産物への普及もありますが、青果物(野菜等)への普及が大きくなっていると思われます。

その要因に安全性と生産者がわかること、農薬や化学肥料の使用低減と言った環境負荷への関心、安定した製品の納入があります。
生鮮野菜は基本そのままの状態で消費します。もちろん加熱したりしますが、生食も可能という意味です。
生食の場合消費者が特に関心を持つのが「安全・安心・美味しさ」があげられます。

野菜は生産工程により、美味しさや見た目が変わりやすく消費者の選定に重要な意味合いがあります。
美味しい はどれも同じと考える消費者もいますが、流通業者は美味しいも大事だし、安全でなければならないというまた違う視点もあります。

食品事故は何としても未然に防ぎたい。
そう考える流通業者や販売店は考えます。その物差しとしてGAPが選ばれるというもので、自然の流れであり、自己認証と違い、第三者が認証しているというところに信用が高まっていると見られます。

また、近年は流通業者が農場を運営することも珍しいことではありません。
プライベートブランドのように自社基準をそのまま農場に反映させるメリットや自社は生産物や環境にやさしく対応しているというまた違う付加価値を生み出しています。

美味しさはどれも同じであるならば、それ以外の価値を作り差別化をしていかなければなりません。

それが、他社から優位に立ち消費者への注目と消費に結びつけるというもので、今後は価格が第1で安全安心は同じだから特に対応しないという従前の店舗と明らかに差が生まれることでしょう。

これが二極化になり、安全安心を求める消費者と価格第1の消費者とすみわけが進んで行き、販売店の生き残りが進んでいくと思われます。

では、そのJGAPですが畜産物にはどのような変化があったのでしょうか。
日本GAP協会が公表している畜産物認証数は、2018年26認証(26農場)で、2021年3月時点175認証(218農場)となります。
およそ150認証が3年間で新しく誕生しているという状況です。
では、先行した青果物はといえば、2008年に92認証(210農場)、2021年に1019認証(2341農場)と12年で10倍以上の認証数となります。
青果物も2017年から強い増加傾向が見られています。

畜産物は、その特性から生で食べるものは限られます。ですから加熱し安心な物と思われますが、消費者から見てそれだけで安心であると認識はされていません。

消費者が考えているのは、畜産物への見える安全性です
畜産物に限らず食品事故は報道により大きく影響を受けます。
野菜では、平成8年 生で食した野菜に食中毒菌の混入があり集団食中毒がありました。
これによりその野菜を生産する方々は風評被害を受け社会問題化しました。

畜産物も、BSE問題から畜産物への信頼が一気に低下し、相場安に至り生産者、消費者双方に大きな影響を与えました。
生産者側ではないのですが、食品偽装もあり精肉に対する信頼も低下した時期がありました。

このように消費者は見えない部分の不安が表面化した時、大きな影響を与えます。

畜産物は今やすべて国産の時代から、畜種問わず外国産が共存し販路に影響を与えます。

消費者にとっては選択肢が増え、気分や状況に応じた使い分けができるようになりました。
これにより価格競争が発生し品質の優劣、信用度、価格により国産の消費量は少しづつ変化するようになり、活路を輸出等外国に目を向けるようになります。

ですが、すべての畜産物が輸出対象にならなのが現実で、商社や現地バイヤー等のつながりがない限り独自で開拓するのは困難と言えます。

このこともあり、畜産物への安全や安心という付加価値をつけるため、そして東京オリパラ選定食材になるべく取得される農場が多くなっていくというのが流れのように感じます。

では大きく普及したかと言えば、必ずしもそうとも言えません。

先ほどのデータのように3年で3倍の認証数になりました。それはとても良いことですがまだ途上であると言えます。

数年で大きく普及するのもそれは非現実的であり、時間がかかるのが普通です。

ですから、認証そのものに懐疑的に見る方もいますし、必要性を感じない方もいます。

その中でも、大手流通業は先の通り、GAPパートナーを公言し自社のため、消費者のために仕入れを行うと表明しています。

畜産物を見ますと、
・イオンは「自然・生態系・社会と調和のとれた持続可能な畜産物の調達に努めます」としました。
PB(プライベートブランド)はGFSIベースの食品安全システムやGAPによる管理100%実施を2020年目標にしています。

・コープデリも、畜産物をGAP導入した生産者からの調達を高めることにしており実践中です。海外農産物も同様としています。

このような大手と取引していないから関心ないという声も聞こえそうですが、裏を返せばこのような大手と今後も取引する機会は未来永劫ないということです。

多くは大手がこのような手法をとる場合中小や顧客購買層によっては導入を検討する販売店もあることでしょう。
存続のため何らかの付加価値を探し出します。

先の通り、価格第1の販売店はコストや手間、その認証のために手間を惜しむことはしないと言えます。その分を消費者に値引還元したいためです。

ですが、消費者の消費動向は世代、年収世帯、安全安心への関心により全ての方がそのような販売店を選ぶことはありません。

それが住み分けになるのですが、付加価値は結果薄利多売から脱却できる方法の一つになります。

現在生鮮野菜が値上がりしています。
天候不順や大雨災害等が要因ですが、すぐにプライスカードを変えることは客層により影響を与えます。

価格が安いところほどその影響を受け自社でコスト吸収したりしますが、他商品に転嫁するということもあります。
ですから、そのような店舗ほど野菜は安いが、日用品・菓子類は高いから買い分ける又は面倒なので大手流通店に行き一括購入するという声も現実あります。
販売店にとって一番痛い消費者の声です。

GAPは消費者に認知されているかと言えばそれは疑問です。

それを裏付けるように、販売者もそれを知りません。
少し古いですが、平成30年に日本政策金融公庫が調査した「平成29年食品産業動向調査」では食品関連企業の5割はGAPを知らないと答え、商品を扱う予定がないと答えました。

そこからわずか3年、大手を中心に扱うことをその当時は誰もが予測していなかったはずです。

消費者には知っていただきたいというのが本音ですが、今現在安全であり安心の畜産物にそこまでの関心を持っていただくのも、また難しいと言えます。
ですが、販売店側は今後の流れを見据える時、安全な畜産物であり、人権侵害なく持続可能な生産活動されている体制があることが、将来それが標準になることも十分にあり得ます。

近年は外国産製品にはこの人権侵害というキーワードを聞くことが多くなりました。
コーヒーや茶葉の広告にはこのようなキーワードを入れる商品が多くなり、販売されています。
このキーワード効果により販売されているというより、それだけ世界的な関心事であることがわかります。
日本で購入される方や販売店は「そうなの?」程度で関心としては薄いはずです。
それが温度差として表現されることであり、今の日本だけの意識とも言えます。

日本でも賛否両論ありますが、外国人技能実習制度について国内外から様々な人権侵害なのかどうかの議論を聞きます。そのような議論があり、理解が深まる時人権尊重していないという判断が浸透したら、国際的にまた一部消費者からマイナス評価を受けることもありえます。

正直、この先5年10年先も今も同じ畜産業界の基準で成り立つのかわかりません。
アニマルウェルフェアもそうですが、この2年前まで世間の関心事でないことが表面化しています。
それだけ世間は、自国の狭い基準だけで物を知り考えているわけでないことがわかります。
今も、このGAPが不要で無用の物と考える方も多いでしょう。
ですが、この先も不要と言い切れるのか正直わかりません。

時代は速い流れです。
少し前は不要だから今も不要であると考えるのは自由ですが、流れに乗り遅れます。
大手とは取引をしないし、ありえないと考えるのも自由ですが、今は大手がかかわる提携や統合も見られます。
ですから、うちは未来永劫関係ないとは言えません。
周辺が大型化したり安価に商品供給を受けるような店舗になり違う競争が生まれることもありえます。

東京オリパラを目指し認証を取得した農場は先行組です。
オリパラが終われば何もないと考える方もいましょう。

ですが、国もオリパラのためのGAPを推進しているわけではありません。

その先の消費にGAPがかかわるように何年もかけて計画し実行しているのです。

オリパラだから意味がないだけで判断することはもちろん自由です。
ですがその先その価値が生きるためにレールが引かれていることを忘れてはいけません。

その認証はそのレールに乗るための乗車券です。
ですが乗車しても認証効果は誰もがあやかるわけではありません。

その認証を最大限活用できるかは畜産物への価値、販路先との提携、消費者の認知が必要です。

認証が増えてきた場合、競争もありえます。
その時何を基準に選定されるのか。
先行し実績がある畜産物か、新参者か。
そのようなある意味選別化される時代がこの先やってくるのかもしれません。

まずは、今の水の状況から説明します。
硝酸態窒素による地下水の汚染について、地域によりますが影響を考慮した対応が進んでいます。
日本の水道普及率は98%(平成29年)と高い普及率ですが、いまだ水道を利用できない未普及人口が存在しており、国は早期解消を図る取り組みを進めています。

また、その水道の水源に地下水を使用する団体は多く、その理由にダム等の大規模水源施設を構築するより、安価に水源を確保できることや、水質が良いため浄水コストを抑えるメリットもあり、そのコストを抑えることで使用者が支払う水道料金に反映されています。

平成28年水道事業経営指標によれば、給水原価にダムを主とする水源では182円53銭、河川を主とする場合151円27銭、その他として分類される地下水では142円93銭と原価に変化が見られます。
これが、供給する際の単価に反映され、水道水源により受益者負担に大きな差になります。

このように、水道事業者は水道水源に地下水を活用しており、地下水の使用割合が深井戸、浅井戸、伏流水を合わせた地下水を3割とも8割とも言われます。
ですが、近年は全国的に硝酸性窒素による地下水汚染が問題になっており都道府県によりますが深刻と捉えるところが多く見られるようになりました。

熊本県では地下水の使用割合が8割と高く、危機意識を持っています。
住民と行政の役割を策定し住民に地下水汚染状況を認知し、汚染原因を認識してもらう取り組みをしています。
行政は、対策方法を提示し、その政策を推進させます。又、汚染状況や対策効果の把握をし啓発活動を行います。
これにより、住民と行政による硝酸性窒素の削減を進めているようです。

北海道では、平成13年度に主に農業地域において汚染が広がっていることを確認しています。
硝酸性・亜硝酸性窒素による地下水汚染は網走・胆振・空知・十勝・渡島支庁道内の畑作地域に中心とした広い地域で確認されており、特に網走支庁の超過率は他より高く濃度も高いと認知されました。
その汚染原因は窒素肥料の施肥に由来すると想定しています。

その硝酸性窒素等が高濃度で検出される場合の多くは人間の活動に起因されると考えられます。その主な原因として以下の3つが要因として考えられています。
①過剰施肥によるもの
②家畜排せつ物の不適正処理によるもの
③生活排水の地下浸透によるもの
とされます。

なお自然の状態では高濃度の硝酸性窒素が検出されることは非常にまれです。ですから環境基準の10mg/Lを超える高濃度が地下水から検出された場合は人の活動に起因するとされます。

では、高濃度の汚染が急速に進んでいるのかと言えばそうではありません。

少し古いのですが環境省が平成14年の測定結果によると、硝酸性窒素は、調査対象井戸4207本のうち247本は環境基準を超えていますが、それ以下で検出されるのも多いのです。
例えば2mg/L以下は2264本、4mg/L以下で776本となり、環境基準超過10mg/L超247本は数字的に小さいと言えます。

しかし、2mg/L以下2264本は3年前の平成11年で1862本と増加しています。
同じように4mg/L以下776本ですが3年前は634本、10mg/L超247本は173本と増加しています。

つまり、年々汚染が進んでいることがわかります。

本年は令和3年で、平成にすれば33年になります。およそ20年後の数値はどうなったのでしょう。
それを裏付けるのが各県が地下水汚染に対する危機感の表明になります。

では、本日のテーマになります。
地下水の硝酸性窒素の影響を考えて見ます。

先ほどのように近年は地下水汚染について地方自治体に限らず、環境保全の観点、汚染行為の問題を取り上げる報道が見られるようになりました。
①の過剰施肥によるものは、筆者の地域ではあまり見ることはありません。それは、化成肥料を散布する農家さんは必要量しか施しません。
それは、散布作業の簡便化で少量で広範囲に短時間で作業でき、価格の高い化成肥料を大事に使用する傾向が見られます。

ですが、家畜の肥料を使用する農家さんには少し事情が異なるようです。

通常、堆肥には2種類あると思います。
1,家畜の糞そのもので、発酵させることを想定していない又は発酵途上の物
2,攪拌ローダやコンポストを使用して家畜糞を発酵させ、減容し臭気を軽減した物

資金力がある農場は2を採用されていることと思います。

この発酵は、特に窒素分を少なくさせる効果があるとされます。
分解させることはアンモニアガスが作物を枯死させる原因を未然に防ぎ、過剰な要素を減少化し作物の吸収以上の未使用養分が過剰に地中に残ることを抑制する働きがあります。

しかし、耕種農家さんはたい肥といえば、畜糞そのものと考える方も少なからずいます。
散布が無料や安いことで依頼するという状況も見ます。
また近年は、散布作業までを堆肥搬入としているところが多く、農家さん自身がたい肥を均したりする手間はいらなくなっています。
これにより、依頼し綺麗にならした畜糞を畑に入れてくれるので、覆土するだけで手間がありません。
そして格安や無料であればとても良い話です。
散布を依頼される畜産農家さんも、2トン車等で田畑に均し入れていきますが、適正量で入れるというより、車両1台を入れるというもので作物や田畑により納品量を上下することは珍しいと思います。
一部は耕種農家さんが指定し、車両半量で入れる等指定されることはあるかもしれません。

この場合の多くは、発酵処理をした畜糞を納品していることが多いと思います。
先ほどのように、発酵処理は加工前の糞に比べると窒素をはじめ要素が小さくなり、著しい過剰量になることは稀になります。
ですが、発酵処理前である場合窒素を含め大きい含有量の状態でもあり地中への影響が少しづつ心配されます。
また、一部の消費者が心配するように発酵前や初期発酵状態では糞に含まれる食中毒菌の作物への付着を心配することもあります。

近年は、田畑が広大に広がる地域もありますが、少しづつですが住宅が点在する、又は小さい集落ができて臭気の問題が発生する等近隣とのかかわりが問題になっています。
このため、耕種農家さんも近隣との付き合いを考えて臭気の強い畜糞そのものの使用をやめ、
比較的苦情になりにくい発酵した畜糞を使用する傾向が見られます。

このこともあり、国の補助事業を活用し発酵機を導入するところが増えてきますが、それでも機械の導入ができない農場も存在します。

地下水の硝酸性窒素の影響は、先ほどの通り過剰施肥によるものや家畜排せつ物の関係が注目されます。

肥料の与え方以外にも、私たち畜産家側の問題もあります。
その代表が、発酵していない畜糞を畑に大量に搬入することや、敷地内に穴を掘り埋却したりする野積みも関係します。

その代表例が講談社の現代メディアで「家畜糞尿問題の構造と実態」というコーナーで畜産家の不法な糞処理の実例と問題を提起しています。
地域によりましょうが、いくつかは見たことがある事例が紹介されています。畜産に携る者として心が痛むものですが、現実問題として記事を読み進めて見てはいかがでしょうか。

最近では、2020年12月宮城県の養鶏場経営者2名が鶏糞660tを原野に穴を掘り埋めたり、野積みし適正な処理を怠った容疑で逮捕し、また自社所有地に鶏糞や焼却灰 計240tを埋めたり、野積みした容疑で逮捕しました。
供述では「捨てたほうが楽だった」「たい肥化労力が面倒であった」としており安易な不法投棄に手を染める事例があります。

この問題を解決するためには適正なたい肥の利用と、たい肥処理のあり方が認知されなければなりません。
発酵前の畜糞は栄養素が過剰になるぐらいの成分が保有され、そこに化成肥料を追加することで、更なる過剰施肥となります。
耕種農家さんの問題ではなく、供給する私たちも発酵処理し、畜糞に混入した食中毒菌を取り除き、肥料成分を大きく引き下げ、耕種農家さんが求める配合ができやすいようにお手伝いをして結果排出できるような環境を作っていくことがとても大事です。

また、当たり前ですが合法だから素掘りしたり、野積みした家畜糞や尿を畑に還元することも結果水質を大きく悪化させる要因でもあります。行政はこのような地域への巡視を行っており箇所の把握をしています。ですから、平日の日中何もしなければ認識されないということはありません。
地下水の汚染は行政から見れば先ほどのように水源確保の観点からとてもネガティブなことです。
そのためにも、適正に処理することは行政への信頼につながり、地域住民の理解を得てお互い不満ない関係が築けるはずです。


水質が悪化した場合、その回復までは長い時間がかかることが一般的です。
それは、地中からその原因が取り除けるまで時間がかかるからです。
先ほどの熊本県の硝酸性窒素による地下水汚染について対策を講じて改善に向かうまで長期間要するとしており、
平成15年から平成34年までの20年間を改善計画の期間としており、長期にわたって改善を進めていくようです。

水質は見えにくく、とてもわかりずらい。お金をかけて水質検査をして数値から分かるという現実。
ですが悪くなると考える方は多くなく、穴を掘り糞や死骸といった産廃を埋却することがゆくゆく地下水を汚染すると結びつく方も多くはないと思います。

モラルの問題が問われるわけですが、過剰な量の畜糞を肥料として散布する場合は後々周辺の地下水を汚染させる可能性があります。

その情報を耕種農家さんや私たち畜産農家が知っていなければなりません。

埋めてしまえば、覆土してしまえば目から見えることはありません。
しかし雨水等で地中を浸透し地下水に到達し汚染していく。
そんな発想で想像していくのも必要なのかもしれません。

皆さんも、地下水の問題を考えるにあたって今までと同じ散布方法が適正なのか、
散布でなく、廃棄であると考えるのか。
その考えが結果、自分が良いことは良いという、他者を意識した考えではないのか。
それが、そのうち自身や農場へ帰っていくことはないのか。
考えさせられる事例なのかもしれません。

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